山笠ナビ チャンネルYouTube

山笠ニュース & レポート YAMAKASA NEWS & REPORT

山笠ナビ山笠ナビ通信山笠ニュース特別インタビュー:”ガンダム山笠”を動かした男たち~第6回「博多人形師 田中勇 ~後編~」

特別インタビュー:”ガンダム山笠”を動かした男たち~第6回「博多人形師 田中勇 ~後編~」

”ガンダム山笠”を動かした男たち ⑥(全6回) もう一回あったら絶対完璧に作ってやると思ってますよ 博多人形師 田中 勇

ガンダム飾りを手掛けた田中勇人形師へのロングインタビューもいよいよ最後。
このインタビューシリーズも最後の最後である。

最後を飾る田中師インタビュー後編はいよいよ飾り付けから。
職人だけが感じる”度重なる違和感”。そして葛藤。
フィナーレの追い山笠、そしてその後。
半年間ガンダムと向き合ってきた田中師は、山笠が終わった今、この半年をどう振り返るのか。
本人の口から語られたのは、「空前絶後のこだわり」と「空前絶後のスケジュール」。
そして「空前絶後のプロ意識」だった。

「この人形師は伊達じゃない」

田中 勇TANAKA isamu

  • 田中 勇 / 博多人形師、伝統工芸士
  • 昭和46年 福岡市早良区干隈で生まれる
  • 平成元年 博多人形師でもある父 田中比呂志に師事
  • 平成 5年 博多人形作家協会に入会
  • 平成10年~ 博多祇園山笠 八番山笠 上川端通の見送りを担当
  • 平成15年~ 博多祇園山笠人形師の会設立に入会
  • 平成21年~ 博多どんたく 大黒流 傘鉾の絵を担当
  • 平成21年~平成23年 博多人形青年部会 会長就任
  • 平成23年~平成25年 博多祇園山笠 櫛田神社内飾り山 見送りを担当
  • 平成28年~ 博多祇園山笠 博多商店連合会 飾り山の見送りを担当
  • 平成29年~ 博多祇園山笠 八番山笠 上川端通 表・見送りを担当
  • 令和2年 伝統工芸士に認定

いよいよ飾り付け! ・・・しかし色々”足りない”

田中人形師
上川端通の人が、飾り付けの10日前ぐらいに取りに来るって連絡をしてきたんですよ。でも「・・・できてないよ?」って話したら「トラック予約しとるんですけど」「取りに来てもいいですけど・・・でも“できてないよ”?」って話をして。で「わかりました」ってなってスケジュールを延ばしてくれまして。そのおかげでその日までには組み上げることは出来たので、飾りの搬出ができましたね。
田中人形師
いやいや、そのまま出しましたよ。飾りを取りに来たみんなも人形の大きさを見て「家から出ると?」って言ってたんですけど「うん、出るよ」って思ってましたね。出す時も「うわ、これどうやって出すと?!」って言うけん、「まず手を出してくださーい、頭出して、はいちょっと上げまーす、ちょっと下げまーす、はい出たー」って。「うわ、出た!」って。
田中人形師
えっと・・・それは作ってみて「出る」と思ったんで。出るように作ったっていうよりも、作ってみて出ると思ってて。だって、出すのはこの窓からだけですし。
田中人形師
玄関はさらに狭いんで、こっから出すしかないんですよね。νガンダムもサザビーも、真田幸村も誰もも引っかかることなく出ましたね。
ただ、とりあえず人形はできたけど、その他の付属品ができてなくて、6月末までかかってたんですよ。あとはちょっと大きく作りすぎて、山笠の幅に収まんなかかったんですね、いろんなパーツが。だから収まらなかった分を付けるのは山笠期間中は諦めたんですよ。「もう付けんめぇ」ってなって。今回誰も突っ込まなかったんですけど、サザビーのスカートの中のバーニアとかも間に合わなくて・・・(笑)。
田中人形師
そうでしたね(笑)。
面白かったのが、中洲流の飾り付けをしてる中村弘峰くん※注がぷらっと見に来たんです。「ガンダム見ていいですか?」って言うんで「どーぞー」って。そしたらガンダム見て「うーわー、もうアニメは田中さんっすね!」って言ってくれて。「あー、ありがとうございまーす」って返して。
『中村弘峰くん』 1986年福岡県生まれ。2009年東京藝術大学美術学部彫刻科卒業。11年に同大学大学院美術研究科彫刻専攻を修了後、博多人形師である父 中村信喬に師事。「中村人形」の4代目を継ぎ、伝統を重んじつつ現代性を取り入れた斬新な作品を手がけている。近年の受賞歴は2020年「九州芸文館トリエンナーレ」大賞受賞、2021年「西部伝統工芸展」日本工芸会賞受賞、2023年「福岡県文化賞」奨励部門受賞など。昨年山笠ナビは中村弘峰師にディープなインタビューを行い、一部界隈から高評価を受けた。 https://www.nakamura-ningyo.com/
田中人形師
で「ただ、田中さんは勝手にシェ●ロンつくったりしますからね」って(笑)。
田中人形師
あと電飾が大変でしたね。 今回は一番大変だったのはサザビーのヒートホークでして、LEDの技術が進んだか知らないですけど、無茶苦茶明るくなったんですよ。スターウォーズの時と同じ同じ電圧なのにLEDが明るく光るんですね。そしたら、明るくなりすぎて光がぼやけなくなったんですよ。スターウォーズの頃までは、グラスマットを1、2枚ひいてたら光がぼやけてたんですよ、ふわーっと。それが今年試したらその時と違って光のラインが出ちゃうんですよ。何とかしてぼやけないかってずっと試行錯誤してて。
で、塩ビの板にグラスマットを敷いて、2センチ離したらぼやけるっていうのが分かったんで、塩ビの透明の板に2枚同じ物を切って、2センチのこういった隙間を作ってそこに外に飛び出るまでLEDを設置すると、中の方はぼやけるけど先っちょだけはピンピン光がでるような感じにして。この仕組みがどうにか飾り付けの前日の夕方に分かったんで、28日の夜から作りだして
田中人形師
ホントぎりぎりです。それまでずーーーっと悩んでたんですよ、どうやっていいか。で、夕方ぐらいに、お!これで出来るわってなって、夜から作り出して。彩色も出来てないから彩色もして、盾も出来あがってなかったから盾の彩色もして。で、朝5時半にやっと完成して、ばたばた飾付け行く用意して出て行ったって感じでしたね。
田中人形師
色々忘れましたねえ。あれ忘れた、これ忘れたって。表の馬の尻尾も、刀も(笑)。
田中人形師
あ、何にも言われなかったですね。「ららぽーとと同じにします」と言ったんで、ららぽーとの動画を見ながら電飾を付けていって。ららぽーとのνガンダム立像は胸だけ回転灯なんですよ。なんで、こちらもLEDを点滅させしようと思ったんですけど、自分が買ったテープタイプのLEDはリレー繋いだんですが点滅しないんですよ。その時、手伝いの友達が持ってきてたバイクのLED繋いだら点滅するんですね。「それ間に噛ましてみたら?」っていうんでやってみたんですがやっぱり点滅しない。苦渋の決断でそのまま点滅しないLEDにしましたね。
でも、アクシズは点滅させたくて、あれはもう最初っからクリスマスの飾りのキラキラするやつの5ボルトのヤツを買ってきて、12ボルトから5ボルトの変換をかまして取り付けましたね。どうしてもアクシズのサイコフレームを光らせたかったんですよ。サイコフレームってキラキラキラーって光るじゃないですか。それをしたかったんで、電飾を急遽注文して取り付けたんですよ。後ろにホットボンドを適当にガーッとつけて。それを取り付けたのが、7月1日の午前5時とか6時(笑)。
田中人形師
あ、確かに御神入れ前ですね(笑)。
面白かったのが、自分は31日の午後9時、10時ぐらいまで色々飾り付けの細かい所をやってんですよ。そしたら上川端通のSさんが「勇くん、手伝えるよ」「朝まで手伝えるけん」って言ってくれて。その言葉は、本当に嬉しかったですね。
ただ、工房では手伝いの友達がまだ作業してたんで、「あ、工房に行かないかんです」って言ったら、Sさんが他の上川端通の人を呼んでくれて「勇君を家に送ってやって」「勇君は運転したらダメだからね。勇君はその間、寝とき」って言ってくれて。で、工房に帰る間は寝かせてもらって、工房に着いたら友達とバトンタッチしまして。そのまま作らないといけない飾りに着手したかったんですけど、友達から「一回ちょっと寝とけ」っていわれて、一時間ぐらい寝まして。
それで、起きてからばーって作って、それで3時前ぐらいに上川端通の人が迎えに来てくれたんで、上川端通に戻ったんですよ。この時点でガンダムもサザビーも全っっっ部電飾の配線が繋がってなかったんで、午前3時から電飾の取り付けをやって。
田中人形師
午前3時から飾り山笠の中に入って、人形に繋いだ線を引っかからんようにバーッと下ろして、「配線、お願いしまーす!」って下にいるSさんにバッテリーに全部つないでもらって。全部繋げてもらった後、朝の6時頃にSさんが「よーし、じゃあ付けてみるよー」「大丈夫かいな、大丈夫かいな」って言いながら「いくよ! いくよ! いくよ! はい!!」って電源ボタンを押したら、全部ビカーンと光って。それを見て「あぁ・・・よかったぁ・・・」ってなりましたね。
田中人形師
なんで、電飾が付いたのは午前6時です(笑)。
田中人形師
あー! そうですね(笑)。午前10時からお披露目イベントがあるので、そのお披露目イベントの通しの練習が予定されてたんですよ。「イベントで点灯式やるから、7時半にちょっと練習するから」って言われてたんで、間に合わせな!ってさすがに焦りましたね。
田中人形師
そうです。ホント配線手伝ってもらってなかったら、ちょっとやばかったですね・・・。
田中人形師
ジェガンでしょ?
ジェガンのポーズなんですけど、ジェガンもプラモデルでポーズを取って、プラモと同じパーツを作ったんですね。なんですが、プラモの表現がちょっと堅くて。ギラ・ドーガの方は表現の自由がきいてたんです、足とかの表現とか。それが、ジェガンの足が意外とポーズが出来んで、お手伝いの友人がもう滅茶苦茶悩んでましたもん。「勇ぅ・・・こんだけしかこれ動かせれんのちゃけどさぁ、どぉ?」とか「肩の位置、これでここまでしか動かんけど・・・」とか。
田中人形師
あれはですね。最初はちゃんと持ち手を持たせてたんでよ
ですが、ジェガンとギラ・ドーガを飾った場所は飾りの中に格納される2段目でして、飾り付けた後に格納テストをしてみたら中に収まんなかったんですよ。だからその時サーベルの持ち手をカットしてギュッっとせばめて格納できるようにしたんですね。だから飾り付けの段階ではLEDが入って光ってるサーベル本体を持っていたんです。ただ、それはおかしいので12日にサーベルを外して白で巻いて持たせ直しました。
・・・でも、よく見てますね(笑)
田中人形師
ミノフスキー粒子はBNFの人も言ってたんですよ。「スモークはミノフスキー粒子でいいんじゃない?」とか。ただ、勢いが強いって(笑)。ふわーっと出ればいいけど。
田中人形師
はいはいはい! その書き込み、私も見ました。岩こぶのところがちょうどですよね! 「あ、おもしれー!」って思いました。
田中人形師
え! そうなんですね!
・・・あ、そうか、ららぽーと福岡のこと知らない福岡以外の他県の人とかもいるのか。女性の人で「νガンダムは腰の所に赤青の線なんか入ってないですけど」って言ったんですけど、そっかー、福岡の立像を知らなかったら分かんないよなーって思って。アムロのユニコーンのマーク自体はあるんですけど、トリコロールカラーのあの彩色じゃないんですよね。
田中人形師
サザビーも映画とはちょっと違うんですよ。映画の方はまだ足がまだ細いんですよ。他にも映画と違うっていうのが結構あったんです。カニばさみ(ダブルホーンファンネル)もないでしょ。あれもららぽーと福岡独自なんで。映画は普通の小っちゃなファンネルで、あの長いファンネルじゃないんすよ。
田中人形師
ですね。改めて映画見たらちょっと違うと思います。

記憶にない”お披露目イベント”

田中人形師
イベントの台本は2、3日前から渡されてたんですが、台本には流れしか書いてないんで、自分が何するか何も聞かされてなかったんですよ。通しの練習の時に「田中さんは森口さんとトークします」って言われて「え? 森口さんとお話しするの?」って驚いて。それまで知らなかったんですよ。
田中人形師
あははは(笑)。読んでないですねえ。全然読んでないですねえ。
しかも、博多駅の御神入れが11時からじゃないですか。で、上川端通のお披露目イベントが10時からだったんですよ。ホントぎりぎりでしたね。森口さんとのフォトセッションもあったし(笑)。
『ガンガル』 正式名称は『モビルフォース ガンガル』。ガンプラブーム時に数多く登場した便乗商品の一種。元は『超メカモデルシリーズ』として売られていたキットをガンダム風のパッケージをでっちあげ名前をそれっぽく変えた代物らしい。その怪しい風貌から、現在では一周どころか三周ぐらい回ってマニア受けする存在となっている。なお、発売元は現在はモデルガンメーカーの印象が強い『東京マルイ』だったのが驚きで、『東京マルイ』と聞いてプラモデル、モデルガンどちらを連想するかで年がばれるという。
なお、田中師はトークで子供の時にどんなプラモデルを作ったかという流れで「ガンガルとか変なロボットも・・・」とぶっこんだ。
田中人形師
飾り付けの時、ガンガルTシャツを着て飾り付けしようかな~と思ってたんですよね。時間がなくて作れなかったんですけど。いやー、やっぱりガンガルのTシャツは作っとくべきだったなぁと。作って、長法被の下に着とくべきでした(笑)。
田中人形師
ぶっこもうとは思ってなかったんですけど(笑)。
田中人形師
解らないと思ってましたから問題なかったですね。
・・・ってか、本番直前まで飾り付けしてて、そのまま本番だったので朦朧としてたから、何も考えてない状態でイベントの本番に挑みましたもので(笑)。

大雨の中、走る「ガンダム山笠」

田中人形師
ですね。なんかずーっと本番まで修理とか調整とかが相次いで。顔がちょっと納得いかなかかったんで12日に当たったり(※修正したり)とか、さっきのジェガンのサーベルの修正とか。いつもだったらそれまでに山笠見物とかに回る予定だったんですけど、今年全然時間がなくて回れなくて。
しかも他の地域の山笠も作ってましたからね。だからそれを作る時間と、飾り付けに行く時間とかで、あまり余裕はなかったですね。
田中人形師
意外と大丈夫でした。飾り付けの時、大工さんも「大丈夫?」「大丈夫?」ってずっと言ってたんですけど、自分の中では大丈夫だったんですよって思ってましたから。・・・っていうのも、関節は絶対折れない作り方してたんですよ。どうしても細くなるから関節自体を三重構造にしてたんで、折れることはない!ってのも確信はありましたね。
田中人形師
どっちかというと、木でボディをガチッと作っちゃったんですよ。手足もバーッと作って、それにFRPをはめ込む感じ。はめ込んでこの位置ってところで間に”止め”を4つ作って固定したんですよ。
田中人形師
そうです。関節部分は大丈夫なんですよ、三重構造で組んでどっちにも曲がらないようにしてますので。ただ、関節と関節の間が長い分、”捻じれ”が出てきちゃうんですね、しなる感じで。この捻じりを抑えるために、飾り付けの時に、後ろから跳木を入れて支えて。それを入れた事で動かなくなったんで「あ、これでいいや」って言って。
田中人形師
外れることがない、と。安心はしてました。意外とみんな言いよったけど、自分は大丈夫と思ってたですね。経験上じゃないですけど「ん? なんでえらい騒ぎよっちゃろ?」って自分は思ってましたね。
田中人形師
自分も「誰も『νガンダムは伊達じゃない』って言わんなぁ」と思ってました(笑)。
田中人形師
わはははは。ほんとですか。
後で映像見てびっくりしたのが、一般の人が後ろをついてきてたんですね、追い山の日。
田中人形師
これ、多分国体道路から大博通りを通ってずーっと付いてきてきてるんでしょ? すごいなって思って。
あ、そういやと思ったのは、12日に後ろに縄を持って、後押しの後ろに縄をもった人がいたんですよ。わーって。あの人たち何しよっちゃろなって思ってたんですよ。練習だったんですね。人がついてきてもここから入らないようにっていう。
田中人形師
みんな、山解きの時、人形が全部降りるまでスマホでずーっと撮影しながら見てましたね。
山笠台を運び終わってきれーいになくなるまで、2人だけ最後まで残ってましたね。2人とも女性で「ガンダムの大ファンなんです」って言ってたらしくて。ファンの熱量ってすごいなぁって思いましたね。
田中人形師
ありましたね。ギラ・ドーガの指がグワシになっとるとか(笑)。
田中人形師
あ、BNFの人、15日も来てましたよ。漫画の1ページのTシャツを着てたんですよ。シャアが博多弁を話してる、なんか限定で出てたTシャツらしくて。
田中人形師
そうですそうです。それを着て来てたんです。BNFの人が。うっわ、すげえって思いましたよ。
やっぱ面白いですね、あーゆー仕事の人。ほんと色々話を聞きたいなーって思いよったんですが、あんまり聞く時間がなかったのが残念でしたね。

ぜんざい飾り付け

田中人形師
それが、ぜんざいの時がですねぇ、すんなり飾れたらよかったんですけど、15日が大雨だったじゃないですか。ガンダムの飾りに使ったFRPがゴム寄りのFRPなんですが、普通のFRPより柔らかいんですよ。だからちょっと当たっただけで穴がほげるんですよね、ボコン!って。だから取り扱いが厳重だったんですけど、それがもう15日の大雨と、山解きの作業でぼっこぼこになって。
7月17日にぜんざい広場の飾り付けだったんですね。じゃあ16日に来て直しゃあいいやんってなるんですけど、16日は甘木と飯塚の山解きが入ってたんですよ。だから朝に甘木行って、昼に飯塚行って、帰ってきて下ろして・・・ってなるからもう到底ガンダムの修繕にいけないんですね。だから飾り付けの17日の朝早くからしか修理ができなくて。
それで自分は5時半に商店街について、6時にシャッターを開けてもらって修繕始めたんですけど、とてもじゃないけど修理するだけで手いっぱいで。FRPって雨に当たっただけであんなにぼこぼこになるんだと思いませんでしたよ。塗膜が浮いたんですよ。だからサザビーも全部赤塗って、ガンダムの方も白塗ってどうにか見た目を戻すだけで終わってしまって。
田中人形師
そうですねぇ。作ったまんまで付けてなかったパーツは持って行って付けれたんですけど・・・筋彫りとかは間に合わなかったですねえ(苦笑)。バーニアは手伝いの友達に頼んでたんですが「この辺に持ってくるけん」「いやいやいや、その日じゃ間に合わんけん」「え?そうなん?」「その日に持って出るけん」ってなって、そこで諦めました。
田中人形師
そうですね。見てないですねぇ。えーっと、15日は午後9時にぜんざい広場の飾り山笠を解いて、午前0時に博多駅を解いて、一旦家に帰ったのが午前3時ぐらいです。それから16日出る準備もしないといけなかったのもあるし、朝も持って帰る物もあるなぁーと考えながら、ちょっともう汗だくだったので風呂に入って、テレビで山笠が始まるまでをチラ見しながら用意しつつ、今年はもう一番山笠が出た途端にもう商店街に向かったんですよ。七隈線が出来てから現場まで七隈線で行ってるんですよ。地下鉄にインパクト※注もって(笑)。
『インパクト』 正式名称『インパクトドライバー』。電動式の衝撃(打撃)を加えてネジ締めを行うドライバー。回転方向に対して衝撃・打撃を与えながらネジを締め付けるのが特徴で、パワーが強いので錆びて人力では外せないネジ、固い素材にネジを打ちたい時、沢山のネジを素早く打ちたい時、長いネジを打ちたい時に重宝する。
田中人形師
ですです。
で、行ったころにはまだ八番が出たばかりぐらいだったんですよ。櫛田神社の周りには近寄られんめぇと思ったんで、先にぜんざい広場に行ったら大工さんとか来てたんで、そこでくっちゃべりながら、待ってた感じですね。
田中人形師
それが全然ゆっくり過ごせてなくて(笑)。午後9時に博多に入って、午前3時に一度帰って、それから午前5時ちょいにまた商店街に向かって、ぜんざい広場に着いて、それから八番山笠の山解きをして昼までいたんですよ。昼までいて、帰ってきて、次の日の16日は甘木と飯塚に行かないといけないから、トラックに乗ってた飾りを全部下ろして。甘木と飯塚の分をまた運び入れることになるんで、それを全部片づけたんです。
仕事場を空け終わったのが夜の7時。それで家に帰って。
田中人形師
その日は寝たかな?・・・ぇー・・・寝たかな・・・?
・・・それで16日の出発が午前5時半。甘木で6時半から飾りを解いて10時ぐらいに終わって、それから飯塚に2時間近くかけて移動して、とりあえず飯塚でお昼を食べて午後1時から解いて、それから福岡に帰ってきて、夕方6時だったんでそれを全部下ろして、7時までにトラックを返しに行ったんですよ。
田中人形師
ですねぇ。だから14日から15日に渡っては一睡もしてないですね。15日の夜は3、4時間は寝たかな。で、寝たら夢でずーっとガンダムを作ってる(笑)。
田中人形師
17日のぜんざい広場の飾り付けが終わって帰ってきた時は、ここの作業場のすべての部屋に飯塚と甘木の飾りがわーってあったんですけよ。なんかダラダラしたくなかったんで、すぐ済ませろうと思って18日の昼から夕方にかけて一人で全部片づけて、山笠が始まる前の状態にしたんです。
田中人形師
自分がどっちかというと、ちょこちょこちょこちょこ動くたびに片付ける方で。次これやろうと思った時に、「あれ?これどこやったっけ?」「あれ?どこやったっけ?」って道具がないのが嫌なんですよ。なので、作業が変わるたんびに一回片付けるんですよ。全部道具とかちゃんと置いて、終わったやつは並べて、っていうのをやるんです。一回リセットしないと気が済まない奴なんで。
やけん、片付け出して次の段階のために片付けだしよるだけなのに「あ、終わりですか」ってなる人がいて。いやいや、次やるよって(笑)。

今年の山笠を”ようやく”振り返る

田中人形師
いやー・・・あのですね、消化不良なんですよ。
田中人形師
単純に時間が足りない。こんなに時間が足んねぇかと思いました。
っていうのも、第一段階の各パーツを作る時に時間をかけすぎたんですよ。で、“時間かけすぎた” プラス “パーツが多すぎて見落としたところがいっぱいあった” んですよ。組み立てた後に「あ、ここ違う」っていうのが見つかって、また調整に入ったり作り直したんで・・・パーツ作りを初っ端からきっちりやっときゃよかったなぁ、と思って。そこでの消化不良がちょっとあるんですよね。
田中人形師
足りなかったですねぇ・・・
田中人形師
いや、ホント「最初にここ気付いとけばこんなに時間かからんかったのに」っていうのがいっぱいあったんですよ。ここでの調整が入ったせいで半日損したとかとか。そういうのの繰り返しがちょっとあって。なんでここ忘れたっちゃろとか。
田中人形師
あーーー・・・いやー、それあると思いますね。どうしても納得いかんところがいっぱいあって。ガンダムの頭と、サザビーも、もうちょっと綺麗にできたじゃねえかなあと。
前のスターウォーズの時、手伝いを頼んだ後輩3人が3人とも「そこまで手を掛けんでいいんじゃないですか?」って言うんですよ。自分としては「いやいや、なんで?」って。作るとやったら正確に作ろうやって思う方なんで。
今回も友達からも「そこまでする!?」って言われましたけど、ガンプラ大好きな連中なんでそいつらもこだわって作ってくれて、結局はそいつもこだわって時間が掛かってるんです(笑)。
で、自分は手伝ってくれた事に「手伝ってくれてありがとー! 本当にありがとー! もー助かったー!」って言ったんですけど、友達は「いやいやいや・・・あまり役に立たんかったろ、時間が掛かりすぎて」って、申し訳なく言うんですね。確かに時間はかかってるんですが、それでも助かったですね、適当な仕事じゃなかったんで。友達にお願いした分は納得できるものが出来たんで、それでかなり助かったんです。
田中人形師
ちょっと、消化不良でしたね。まーだ。まーだまだです。もうちょっとスケジュール管理ができたんじゃないかなあって。全然舐めてなかったけど、それでもちょっと舐めとったなあっていうのがあって。満足はしてないです。もう一回あったら絶対完璧に作ってやると思ってますよ。

ニュースカレンダー

2024年12月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  

山笠ニュース 最新記事

ニュース年間アーカイブ

61