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山笠ナビ山笠ナビ通信山笠ニュース特別インタビュー:”ガンダム山笠”を動かした男たち~第3回「博多人形師 田中勇 ~中編~」

特別インタビュー:”ガンダム山笠”を動かした男たち~第3回「博多人形師 田中勇 ~中編~」

”ガンダム山笠”を動かした男たち ③(全6回) 夢の中でもガンダムを作ってましたね 博多人形師 田中 勇

田中人形師インタビュー前編では、なぜ『逆襲のシャア』が選ばれたのかが語られた。
そして今回の中編では、いよいよ飾り製作に入っていく。
しかし、一筋縄ではいかないガンダム飾りの制作。
製作の苦労はもちろん、驚愕の睡眠時間まで、余すところなく語ってもらった。
ビーム弾が飛び交うような話題の応酬はまさに宇宙戦並みである。

田中 勇TANAKA isamu

  • 田中 勇 / 博多人形師、伝統工芸士
  • 昭和46年 福岡市早良区干隈で生まれる
  • 平成元年 博多人形師でもある父 田中比呂志に師事
  • 平成 5年 博多人形作家協会に入会
  • 平成10年~ 博多祇園山笠 八番山笠 上川端通の見送りを担当
  • 平成15年~ 博多祇園山笠人形師の会設立に入会
  • 平成21年~ 博多どんたく 大黒流 傘鉾の絵を担当
  • 平成21年~平成23年 博多人形青年部会 会長就任
  • 平成23年~平成25年 博多祇園山笠 櫛田神社内飾り山 見送りを担当
  • 平成28年~ 博多祇園山笠 博多商店連合会 飾り山の見送りを担当
  • 平成29年~ 博多祇園山笠 八番山笠 上川端通 表・見送りを担当
  • 令和2年 伝統工芸士に認定

博多、飯塚、甘木・・・圧倒的に時間がない!

田中人形師
4月6日からガンダムのパーツを作り出してますね。例年だと5月から山笠飾りの製作に着手します。
毎年、来年の山笠ができるぐらい在庫を作っていたりするんです。今までのストックがあるから大体作り足しみたいな感じでやっていってるんです。必要な時にまた作るぐらいでで。なので、いつもだったら頭と手足だけ作って、あとは竹を組んで着物きせるだけなんですよ。
それが、今年の見送りの全ての人形が新しい物。全部フルスクラッチ。人形が新規ってなると、お手伝いの人も一ヶ月から作業に取り掛かってもらって。とにかく一ヶ月前倒しでスタートして。
5月6日にバンダイナムコフィルムワークス(以下『BNF』)の人達が工房見学に来た時も、まだ組んでなくて、全部パーツの状態だったんですよ。足、腰、腿、全パーツを作業場にがーっと並べてたんですね。それを見て「え? これをどうやって組むんですか?」って言われて。なにしろ大きいの2体(νガンダム、サザビー)と、小ちゃいの2体(ジェガン、ギラ・ドーガ)のパーツじゃないですか。どんだけパーツあったかな・・・
田中人形師
ですね。通常の人形の5、6倍ぐらいはあると思いますね。それを全部フルスクラッチで。4月開始からパーツを作り出して、組んだのが6月末ぎりぎりでしたもんね。
田中人形師
準備自体は前もって始めてましたね。FRP(繊維強化プラスチック)※注とか塗料とか、そういうのを揃えだしましたね。3月ぐらいから。材料費だけでも、簡単に言うと例年より3倍近くいったので。結果今年も大赤字だったですね(苦笑)
『FRP』 「Fiber Reinforced Plastics(繊維強化プラスチック)」の通称。エポキシ樹脂やフェノール樹脂などに、ガラス繊維や炭素繊維などの繊維を複合して強度剛性を著しく向上させた強化プラスチック。安価・軽量で耐久性がよく、成型や加工が比較的容易なことから、小型船舶の船体や、自動車・鉄道車両の内外装、ユニットバスや浄化槽などの住宅設備機器など多くの用途で使用されている。
田中人形師
どれを先に終わらせるかですね。今年は、飯塚の飾り山が半面、甘木が両面飾り。で、新規で飯塚の子供山笠が2基あって、あと上川端通が両面、博多駅半面じゃないですか。
田中人形師
もう順序立てましたね。まず、上川端通ですが、サザビーとνガンダムは早い段階で体をばーっと作っちゃいました。
そして、飯塚の飾り山は馬の人形を使う予定だったんで、それを先に作って、6月の頭には飯塚の飾り山分を全部作り終わらせて、工房の応接の方に全部置いて。で、空いたところで飯塚の子供山笠を作ったんですね。飯塚の子供山笠が6月12日に搬出されるから、11日までぎりぎりまで作って。ただ、子供山笠が2基ってことはこの作業場の半分はそれで埋まっちゃうんですよ。すると、この作業場はガンダムとサザビーと飯塚のでほぼほぼ埋まっちゃって。
で、12日に飯塚が飾りを取りに来て搬出して、それからガンダムの装飾に入って。
田中人形師
ですね。そこから博多駅も作りはじめて。人形3体と龍だったからもうバタバタで。で、人形3体は全部坊主頭じゃないですか。頭のストックの中から使える骨格のベースの頭を3体選んで、木粘土で形を作って強制的に乾かしてから下地を終わらせて、気合で顔を描いて。骨組み、肉付け、着付けも3体同時に。龍の頭も一度作り直したんで、6月末にバタバタと作りあげた感じですね。龍のパーツのウロコとかは、お手伝いに来てくれている人に「このデザインを何枚、これを何枚、これを何枚・・・」ってお願いして作ってもらってたんですけど、そしたら面白いぐらいにぴったり余らんぐらいにウロコが付いて。うわ、ちょうどやった!とビックリしたんですよ。逆に余らんかった事で修理の時が大変だったですけど(笑)。
田中人形師
そうそう。甘木の山笠はコロナで去年も中止だったんですよ。で、今年の5月に入って連休明けてから「今年やりますんで」って電話がかかってきて急遽受けましたね。
甘木は全部納品した後に、飾り山の表と見送り、舁き山2個を作って。舁き山は「信長と家康」というリクエストだったので、似たような頭を探して、それを削ってパテして乾かして彩色して・・・って感じで。で、飾り山は見送り側は桃太郎ってリクエストされたんですが、桃太郎にぴったりの頭がなくて「うわ、新規で作らないと!」ってなって、桃太郎、犬、サル、キジを5日で作って。
田中人形師
そうですね。大体あります。これまで作った山笠飾りの頭は、工房に100個近くストックされてるんです。似たような頭を探して、それを削ってパテして乾かして新しいものを作り出すんですね。これは山笠人形師の財産ですね。手足もストックしているから、同じようにその中から抜粋して加工して、それで大体人形はできますね。どうしてもない時は、最近は100均のマネキンヘッドを買って、100均の木粉粘土で肉付けして作るんですよ。だから100均があってすっごい助かってますねえ(笑)。
それで、飯塚の山笠の飾付けが6月16日と18日。いやー・・・忙しかったですねえ・・・。

救世主、現る

田中人形師
5月18日ですね。
田中人形師
無茶苦茶器用で、自分がかなわんぐらいの器用なヤツで、プライベートで仮面ライダーのヘルメットを作ったりするヤツで。しかも、ヘルメットに仮面ライダーを被せとんじゃなしに、自分の頭の型を取って仮面ライダーのヘルメットを作ったりするんですよ。だから、ピッタリなんですよ。もう、アゴをはめたら喋られんぐらいピッタリで。ほいで、100均の電球仕込んで目が光る様にしてみたりするんです。他にもスパイダーマンのも作ったり。
前は受注生産のバイクのカウルを作るお店で働いてて、今は町工場で働いてるらしいんですけどね。そこも受注生産で「こういう機械を作って」って注文されたら、その機械をオリジナルで作るような所らしいです。そういう趣味をするために仕事をしている感じですね。
田中人形師
いや、突然ですね。5月から作業してたんですが、手拭いの下絵とかぜんざいの中に入れるシールとか色々なちょこちょことした修正依頼の対応をしていたら、カレンダー見て「あれ・・・1ヶ月半かかって、まだ進捗はココ?」「うわ、これ間に合わねえぞ・・・」って気が付いて
まずいぞと思って、5、6年ぶり・・・いや10年近くぶりかな? その同級生に「久しぶり」ってメールを送ったら、「うわ! びっくりした!」ってみたいな感じで返事が返ってきて。で、「なん?」って来たけん、「山笠手伝って」って言ったら「じゃあ、ちょっと明日話を聞きに行くわ」って。で、翌日来てくれて「なーん?」って言ってきたけん「今これ作りよっちゃん」ってガンダム見せたら「うわっ、まじ?! 面白そう! 手伝う! 手伝う!」って言ってくれて。それから毎日来てくれましたね。彼、昼間は働いて、仕事が終わったら夜9時から午前2時ぐらいまでやってくれて。土曜と日曜も朝9時から夕方6時まで手伝いに来てくれて。5月18日から6月30日までお手伝いしてもらったんですよ。しかも最後の3日間はほぼ徹夜ですからね。悪いなーと思いながら・・・でも本当に助かりました。
田中人形師
ですね。でも、その友達が来てくれたから他所の山笠の飾り製作が出来たんですよ。それ来てもらわなかったら他所のできなかったですもんね、多分。ギリギリだったんで。まあ、手伝いにきてもらっても自分は一日2時間睡眠でずっと働いていたんですが。
田中人形師
いうたら、3月中ぐらいから。
田中人形師
ほぼ2時間ですね。もともと3、4時間しか寝ないんですが、なんか・・・今年は気疲れが多くて。今回はずーっとガンダムの事を考えていたんで、その気疲れですかね。すっげえ疲れてるから、寝てる時も夢の中でガンダムを作ってるんですよ。で、目が覚めて「あれ? 作ったやつどこ置いたっけ?」ってなって。
田中人形師
その夢は7月20日ぐらいまで続きましたね、ずーっと。山笠終ってもガンダム作ってたんですよ、寝とる間も。で、起きて「あー! あれ作らな!」ってなって、「・・・あ、終わっとるやん」って気付くのが20日まで続きましたね
田中人形師
もう、ほんとそんなでしたね・・・ずーっとですよ(苦笑)。

もともとあの記念手拭いは、販売も製作も予定されていなかった!

田中人形師
手拭は急遽作る事になったんですね。「手拭は決定してないから」って言われてたんですよ。なんか「もったいないなあ」って思って、勝手に手拭の下絵を描いてたんですよ。
田中人形師
勝手に(笑)。そしたら飾りの製作に入ってる5月の半ばぐらいに「手拭のデザインを使ったパッケージのぜんざいを販売します」っていう連絡が来て、その後に「じゃあ手拭いも作るか」ってみたいになって手拭を製作するってことになった感じですね。
そっからサイズ変更の依頼が来て、手拭いにするんだったらここがこう潰れるからこう修正してくれってのが手拭屋さんから連絡がきて。このガンダムの記念手拭の染め物は印刷なんですね。裏抜きしない、裏側が真っ白な普通のヤツ。やけん、デザインが潰れる・潰れないって所で修正がいっぱい入ったりして。
田中人形師
下絵の修正ってちょっとした修正でも、やっぱ5~6時間はかかっちゃうんですよ。大きさぐらいならいいんですけど、線を太くとか細くとかになるとね。ペイントソフトでなぞったりしたら出来るんですけど、ただそうやると線がガタガタになるから嫌いなんですよね。だからまた全部書き直してとか。
田中人形師
いやー、もうパソコンで。手書きで修正だったら時間のやりくりが到底無理です(笑)。
あー、それにしてもillustrator※注のデーターでのやりとりって、どうにかならないんですかね。みんなillustratorばっかりでデーター受け渡しが大変なんですよ。うちは扇子と団扇と手拭ぐらいしかしか使わないんで、最新版のillustratorを使うにはもったいないんですよね。
『illustrator』 Adobe社が販売しているベクターイメージ編集ソフトウェア。イラスト制作は勿論のこと、ロゴタイプや図面、広告、パッケージなどをデザインする描画ツールソフトとして、印刷業界やデザイン業界などあらゆる分野で使用されている。専用ツールであるため価格は結構お高めで、現在の価格はサブスクリプションサービスで年間34,680円。 https://www.adobe.com/jp/products/illustrator.html
田中人形師
『クリスタ』※注ってやつで。
『クリスタ』 株式会社セルシスが販売しているイラスト・マンガ制作アプリ「CLIP STUDIO PAINT」の通称。イラスト描画、漫画制作、アニメーション制作、写真加工、3Dデータ加工ができる。機能の豊富さ・質の良さからも、アマチュアからプロまで使用している有名ペイントツール。現在の価格はPROのパッケージ版だと8,000円(EX版は34,000円)、 https://www.clipstudio.net/ja/
田中人形師
そうですそうです。自分、クリスタの販売当初からのユーザーなんです。そん頃は『Photoshop Elements』とか『Gimp』とか、フリーのやつを使ってたんですよ。確か2012年頃に『クリスタペイント』っていう面白そうなのが出てるのを見つけて買ってみたんですね。最初はGimpそこそこの性能だったんですけど、バージョンアップをどんどんしていって、むちゃくちゃ高機能になったんですよ。
田中人形師
クリスタが賢かったのは、日本中のアニメーション学院とかにバーッて配ったんですよ。そしたらシェア率が90%越えちゃってたらしくて。そうすると、そこを出た人はクリスタばっかを使い続けるんですね。
6~7年前にテレビ局の取材を受けた時、撮影スタッフのアシスタントの人が「うわ! 田中さん、クリスタ使ってるんですか?」って言って。「僕もアニメーションの学校で使ってまして、いまだに使ってるんですよ」って言ってて。だから今でもシェアがゴン!と高くて。しかも、今世界中に結構ユーザーが広まってて、世界中の人が自作したブラシをアップロードしてくれるから、それが共有されてるのが便利で。
田中人形師
そうなんですよ。大体の人はillustratorなんですよ。でも、自分はクリスタで描いてるじゃないですか。クリスタってPhotoshopフォーマットで出力ができるんですよ。クリスタからデーターをPSDファイルに一度変換して、それを今度自分が持ってるillustratorで読み込んでフォーマットし直して。
田中人形師
でしょ!? マジ、めんどくさいです。
田中人形師
崩れるんですよぉ!
今年データーを送った時に「当たれない(※編集できない)」っていうんです。「ファイルがJPGみたいになって当たれない」っていうんです。で、あれ!?と思って、ファイルを開いてみたら確かにレイヤーが統合されてるんですよ。
いろいろ調べてみたら、パソコン自体のメモリはあるんですが、自分の使っているillustratorがあまりメモリを確保できない状態で、解像度を下げないと駄目って分かって。色々調べて試しまくったところ、どうにか崩れずにフォーマットできる方法が分かったんで、それで改めて送ったんですがど・・・やっぱ多分illustratorのバージョン違いが原因じゃないかなぁと思ってますね(苦笑)。
『illustratorのバージョン違いって結構シビアですもんねぇ・・・』 ホント、シビアなのである。印刷用のデザイン入稿時、印刷会社のサイトにはillustratorのファイルについてのバージョンレギュレーションが明記されているぐらいである。
田中人形師
あと、印刷も大変なことがありましたね。今年の博多駅の扇子は金色でやるって事だったんで、最初背景なしの下絵を作ったんですね。金色の扇子に印刷したらOKって感じだったんですが、「あ、田中さん違うんです」って連絡が来て。「金は一緒に印刷するんです」って言われて。つまり背景と一緒に印刷するって事ですね。うわー金色ってどうしよーって話になって。
『「金色」って色は実はかなり再現が難しい』 ホント、難しいのである。平面上では『金色』という色は存在しない。和色に「金色(こんじき)」というカラーはあるが
こんな色である
光沢は黄色系から白への濃淡グラデーションを使う事で、
光沢感を出している
田中人形師
難しいですね。金「ぽい」色なんですよね。金って色は、結局黄色のグラデーションと光沢感の雰囲気出しだけですからね。色的に表現するのは難しいんですよね。
で、考えて金屏風風の壁紙に細かい波の和柄がばーってはいった素材があって、それを印刷したら金っぽくなるやつだったんで、その壁紙に絵を描いて「これどうですか?」って送ったら「じゃあこれでいきましょう」ってOKが出たんで安心しましたね。
田中人形師
あ、そうですか。ありがとうございます。
田中人形師
あー、それこそ、15年前までは絵は描いてなかったですよ。今、博多松囃子の傘鉾の絵を描かせて頂いてもう15年目ぐらいなんですけど、そこからです。
15年前に傘鉾を担当させていただく事になった時に、中村信喬さん※注が若手を集めて「お前ら、絵の描き方を勉強をしろ」と。そこで3年間ぐらい信喬さんのところで傘鉾の絵の練習をみんなでしたんですよ。「こういうふうに描くんぞ」とか、「和紙を買ってきて書きなさい」「描いたのをもってこい」って言われて、信喬さんから手直ししてもらって、また書き直して見てもらって・・・ってのを3年続けたかな。
『中村信喬さん』 博多人形師。福岡県福岡市生まれ。人形師中村衍涯(福岡県無形文化財)の長男で、中村人形三代目。人形作家林駒夫(重要無形文化財保持者)、陶芸家村田陶苑、能面師北沢一念へとそれぞれ師事。伝統工芸人形展、日本伝統工芸展にて多数の入選・受賞を果たす。2011年にローマ法王、2019年にローマ教皇に人形を献上。博多祇園山笠、博多松囃子にも作品を提供。現在は、日本工芸会理事、日本工芸会人形部部会長、九州産業大学美術館教授。全国の山・鉾・屋台保存連合会の保存修復事業にも携わっている。 https://www.nakamura-ningyo.com/shinkyo/
田中人形師
人によってですね。こういう人形を作りたいって絵を描く人もおれば、イメージだけで作る人もおる。自分はどっちかと言えばイメージだけで作る人間でして。
田中人形師
それまでは意外とちゃっちゃっと描いてって、そんなにこだわってなかったんですよね。それが傘鉾の絵を描くようになって「あー、ちゃんと描かなイカンなぁ」ってなって。それぐらいからですね。
絵を描くようになって。そこでやっと着物の形とか「あ、こうなんや」とか気付くようになったりと、いろいろ変わってきましたね。
あと、櫛田神社の飾り山笠を受けた頃ぐらいにはタブレット使うようになったんですよ。下絵っていちいち紙に描いてたら大変なんですよ。大きさの調整とか、もうちょっとこれ小さくしとけばよかったとか。筆だったら別の紙にまた描かないといけないんですが、タブレットだったら全部レイヤー分けしとけば、拡大縮小だけで終わるじゃないですか。描き直しも前のヤツを下絵にしとって、またそこから書き変えればいいだけなんで。なので丁度櫛田神社の飾りを始めた頃から、がっつり絵を描くようになりましたね。
『液タブ』 液晶ペンタブレット。画板のように液晶画面に直接デザインが描けるのが特徴。対してパソコン画面などを見ながら操作する装置はクリエイティブペンタブレット、通称「板タブ」と呼ばれている。
田中人形師
最初から液タブです。板タブは慣れなくて(笑)。画面のサイズの違いと板タブの違いがどうしても慣れなくて、ずっと液タブです。

「なんだか・・・なんだかなんだよなぁ」

田中人形師
一番の苦労・・・は、ガンダムの頭が決まらなかったですね。最終日までガンダムの頭を当たってましたね。目も何回も当たって。もう・・・難しいっすね。後で改めて「あー、そうかー!」って思ったのが、ガンダムって目が小っちゃいんですよ。なおかつ「あ、こうすればよかったんだ」っていうのが後で分かって。実際に立体で作ってたら分かってなかったんですけど。やけん、そこまで見てなかったんですけど、もうひさしで隠していいんじゃねえかってぐらいの目のサイズにすればよかったなと思って。・・・ちょっとでかすぎたんですよね。プラモデルとかでかいんですよ。なおかつ目にLEDを仕込んだじゃないですか。バーッと明るくなって、よりでかく見えるんですよね。やけん、もっと細く、間をがーっと空けりゃあよかったなぁと思って。νガンダムってこうなってるんですよ、上のひさしが。それが、自分は前の方にやってたんで、こう見ると、ほぼほぼひさし、これが見えない。こう状態になるんで、あー目でけぇなあって思って。
で、12日に舁き棒の上にベニヤを置いて、その上に脚立を置いて、脚立の一番上に立って、目を当たりました。
田中人形師
ずーーーー・・・っと納得いかんかったですね。手伝いに来てた友達が「それでいいやん」って言ってたけど・・・うーん・・・なんか違うって。
田中人形師
いろいろ気に入らないところが出てきたんですよ。股関節が狭すぎたとか。サザビーもうちに置いとった時より、全然納得いかなく見えてきて。・・・サザビーも、もうちょい・・・できんかったかなあと思って。奥行き感とか。なんかベタ~ッて見えたんですよね。なんでこんなにベタ~ッて見えるんだろうと思って・・・彩色なんかなあ・・・。
田中人形師
立体感・・・ですかねえ。丸みの立体感が全然形が整って無く見えて。
田中人形師
ですね。上に上げた時に「なんじゃこりゃ」と思って。
田中人形師
そういえば、面白かったんですが、5月7日にBNFの方が工房にいらした時に、出来上がってたのがパーツだけだったって話をましたけど、BNFの方はガンダムの腿とすねと足先を見て「やっぱこれ上にあげるから大きく作ってるんですか?」って言われるんです。たしかにガンダムの足って胴体に比べて凄くでかかったんですよ。
でも、自分、もらったららぽーとのνガンダム立像の図面を2メートル60cmに縮尺して、このでかいプリンターで印刷して各パーツを作ったんですよ。なので「でも、これ等サイズなんですよ」って言ったら「ええー!」って言って。
田中人形師
そうです。等倍数で計算して印刷してそれに合わせてパーツを作ったんで、ここにあるパーツは等倍数なんですよって言ったら「ええー!」って驚いて。「え、この胴体の小ささでこの足の大きさなんですか?」って。
田中人形師
多分そうじゃないですかね。バラバラにして見下ろしてるからかもなあ。で、「足の大きさはこうですよ」って簡単に組み合わせてみたら「うわ、でか!」って言って。ずどーんとなったんですよ。「あー、こんななんですねー」って話になって。プラモデルとかみてても、小っちゃいから分かりにくいんじゃないですかね。やっぱ足とかがすげえでかかったんで。BNFの人だけじゃなく周りの人も「うわ、これサイズ、合っとうと?」と言われましたもんね。各パーツが凄いでかかったですからね、やっぱ。
ガンダムの頭ってこれ(バスケボールぐらい)ぐらいですもん。こんぐらいですよ。サザビーとかもすっげえ小っちゃかったですよ。ちゃくちゃ小さくて小っちゃ!と思って。手伝いに来てた友達が、ずっとガンダムの頭を持って「欲しいなぁ」ってずっと言ってましたけど(笑)。

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