追い山笠のスタートを控えた12時間前、中洲流、恵比須流、土居流、大黒流、西流の五流は、この年最後の「流舁き」が行ないます。泣いても笑っても自分たちの流地域を走るのはこの日が最後。「追い山笠に向けての最後の調整」「来年に向けてのチャレンジ」「悔いがない山笠を」・・・各舁き手は様々な思いを胸に、最後の流舁きに臨みます。
2週間行われてきた山笠もあとわずか。山笠の終了を惜しむように、各所では男達の和やかな談笑の風景も見られます。
舁き手達の疲れはピーク。それでもこの日の流舁きは今年最後の流舁きとなるので、若手の人は経験を積む今年最後のチャンス。この機を逃したら一年間山笠を舁けません。悔いのないよう、最後の最後まで舁き棒に食らいついていく様子は胸を熱くさせます。
流舁きを終えると、舁き手の間からは自然と拍手が上がり、祭の14日間を過ごしてきた互いの健闘を称え合います。追い山笠を間近に控えた最後の調整日としての意味合いがあるこの流舁きで全ての山舁き行事が終了。男衆は10時間後に始まる『追い山笠』に備えます。
流舁きが終えてから追い山笠が始まる時間まで、博多の町は得も言えぬ緊張感と高揚感による「祭の前の静けさ」に包み込まれます。高まる緊張と興奮と、そして一抹の寂しさを感じながら、ゆっくりと博多の夜は流れていきます。