舁山が今年初めて走った10日からわずか12時間後、日がまだ昇らぬ早朝5時、博多の町のあちらこちらで「おっしょい」の声が響き渡ります。11日は「朝山」と呼ばれる流舁きで山笠はスタートします。
朝山は、その名の通り11日午前5時から午前6時にかけて各流で行う行事で、各流それぞれ流域を早朝から舁いて回ります。
朝山は別名「祝儀山」とも呼ばれており、特別な行事でもあります。この日は、功績のあった年寄りを招いて縁起物の神酒や肴を出しもてなしたり、子供達が大人が舁く山に台上がり出来る唯一の日であったりと、とてもおめでたい山舁きが行われます。また、まだ薄暗い明け方の中、ライトアップされた舁き山や男衆の姿は、とても神々しく見えます。早朝スタートではありますが、各流ごとに行事の風習が異なるなど、見所がたくさんある通好みな行事ともいえます。
夜明けにスタートするのは同じなれど、フィナーレの追い山とは違って観客がほとんど見あたらないのは朝山。人気がほとんどない明け方の博多に、威勢の良い「オイサ!」の声が響く光景はとても不思議で夢のように感じます。
朝山は5時~7時頃まで行われますが、流によっては8時近くまで行われることも。出勤前に、朝山の追っかけをする人も少なくありません。
早朝から博多の町を舁き回った男衆ですが、この朝山が終わった12時間後には「他流舁き」。朝山は、男衆の大変な一日が始まる行事でもあります。