櫛田入り4時間前になると、七流の舁き山笠と八番山笠上川端通の飾り山笠が冷泉公園横に勢ぞろいします。間近に各山笠を見る事ができます。
博多の町を舁き山笠が走る7月12日の「追い山笠馴らし」、7月15日の「追い山笠」で舁き山笠が走るルートをご紹介します。
あわせて編集部がオススメする見物スポットもご案内。追い山笠・追い山笠馴らしの見物の際は、ぜひ参考にしてみてください。
7月15日の「追い山笠」は、櫛田神社の山留(スタート地点)から、須崎町の廻り止め(ゴール地点)までの約5キロを駆け抜けます。
その追い山笠の練習とも言える7月12日の「追い山笠馴らし」は、追い山笠と同じコースを走りますが距離は1キロ短く設定されており、廻り止めは奈良屋町となります。
また、櫛田入りで一番最後に登場する八番山笠 上川端通は、7月12日、15日共に全コースは走らず、東長寺の清道を廻った後は大博通りをそのまま北進して、商店街に戻ります。
櫛田入り4時間前になると、七流の舁き山笠と八番山笠上川端通の飾り山笠が冷泉公園横に勢ぞろいします。間近に各山笠を見る事ができます。
『山留め』とは櫛田入りのスタート地点。時間が近付くにつれて舁き手達から気合と緊張がにじみだし、ピリピリとした雰囲気を肌で感じる事ができます。場内アナウンスで「5秒前!」の声が掛かると、舁き手は鬨の咆哮と共に山笠を持ち上げ舁き出します。「静」から「動」へのこの瞬間こそ山留前の見所です。
山留を舁き出した舁き山笠は、太鼓の音が鳴り響く中、勇ましい「オイサ!オイサ!」の掛け声と共に清道になだれ込んできます。重さ1トン以上もある舁き山笠が驚くようなスピードで走り抜ける様は、見る人全てを圧倒します。また、一番山笠のみに許されている「祝いめでた」は桟敷席の見物客も共に歌い上げ、鳥肌が立つような感動を覚えるはずです。
この感動に立ち会えるのは6月26日に桟敷席券を入手できた人のみ。入手できて良かった!と思える瞬間です。
山留をから向かってくる舁き山笠を、そして櫛田神社から博多の町に出て行く舁き山笠を目の当たりに出来るのが、ここ清道の正面です。迫力のある山笠の醍醐味を味わえますが、その分だけ競争率が激しい人気見物スポットです
博多の町へ駆けだした舁き山笠は、ここで2つ目の清道・・・日本最古の真言宗寺である東長寺の正面に設置された清道旗を回ります。清道旗を山笠が回る際、アスファルトと山笠台の足が時折接触して「ゴッ!ゴッ!」という迫力ある音を立てて豪快に走り抜ける様は、櫛田神社の「櫛田入り」とはまた違った見所があります。
また、八番山笠の迫力ある姿を見る事が出来るのもこのスポットならでは。巨大な山笠が人力のみによって動く様を堪能する事が出来ます。
山笠の発祥の地といわれている承天寺前には、敬意を表して3つめの清道旗が立てられています。承天寺の住職は施餓鬼棚に乗って、通過する舁き山笠の表敬を受けます。
ここでの見所は何と言っても狭い路地を山笠がヘアピンカーブを描きながら駆け抜ける大迫力の清道廻り。大量の勢い水が飛び交う中、全力で舁き山笠を引き回す様は、まさに舁き手の腕の見せ所です。
承天寺の清道を回った舁き山笠は、聖福寺や妙楽寺が並ぶ狭い道幅の御供所地区に入ります。狭い御供所の道は大人数が広がって走れないため、舁き手の交代が難しいエリアです。
しかし、狭い道の分だけ見物客は舁き手の迫力を間近で見る事が出来ます。勢い水も真横から飛び交うので大変迫力ある光景を見る事が出来ます。
魚町の四つ角から上東町に入る道は、緩やかな下り坂になっています。舁き山笠はこの坂を下るため、自然とスピードが上がります。
明治通り側から舁き山笠を見ている見物客には、坂を下る参加者の波がまるで「壁」のように見え、その壁が勢いを増して坂を駆け降りて来る迫力ある光景を楽しむ事が出来ます。
旧東町筋から真っ直ぐに走ってきた舁き山笠はここで直角に曲がります。道幅が狭い道路を真っ直ぐに走ってきたことでスピードが出ており、鼻取りや舁き手達は90度のカーブで膨らむ舁き山笠を押さえつけながら左折します。スピードと力のせめぎ合いの迫力を感じる見物スポットです。
ここを曲がると舁き山笠は博多のメインストリート「大博通り」に飛び出します。
博多を真っ直ぐ貫くメインストリートです。舁き山笠は堂々と勢いよく広い道を駆け抜けます。道幅が広いので舁き手は交代しやすいのですが、交代の際に蛇行しやすくなりスピードダウンしてしまう事もあります。蛇行を押さえつつ交代し続けるという、意外な”難所”でもあります。
大博通り沿いは舗装された広い歩道があるので、安全に見物する事が出来るスポットで、毎年たくさんの見物客が駆け抜ける舁き山笠を楽んでいます。
舁き山笠は、道幅が広い大博通りから再び狭い「旧西町筋」へ入っていきます。大きく右にカーブして狭い道に吸い込まれていく山笠の迫力は必見です。
この時間帯の大博通りは大規模な交通規制が掛かっているため、見物客はその舁き山笠のカーブに合わせて壁を作り、堂々と大博通り上で見物する事が出来ます。
山笠のコースで最も狭い道を直角に曲がる「難所」で、一昔前は「山笠最大の難所」とも称されていました。狭い道なので迫力抜群の光景を目の当たりにする事が出来ますが、大変危険なので警備に当たっている警官や山笠の交通係の指示に従って安全に見物してください。
この角を曲がり、狭い道を真っすぐ駆け抜けていくと、廻り止めのある奈良屋町、須崎町方面へ入ります。
道幅が狭い旧西町筋の途中に設置された「勢水処」。コース上で最も勢い水が用意されている場所であり、舁き手達はここの勢い水をたっぷり浴びて後半戦に挑みます。コース最大の”火力”とも言われるように、勢い水が何重も弧を描いて飛び交う様は大変圧巻ですが、道幅が狭い分見ている人にも勢い水が飛んでくる率が非常に高く、ここで見物する場合はびしょぬれになる覚悟が必要です。
「追い山笠馴らし」のゴール地点です。1キロメートル短いとはいえ、流のプライドに掛けて、男達は1秒でも早くゴールしようと最後の力を振り絞って力を爆発させて加速する迫力は見ものです。廻り止め通過後、全コースのタイムがすぐに掲示されるので、それにもぜひ注目してみてください。(※7月15日の廻り止めはここから1キロ先にある須崎町になります)
博多祇園山笠のクライマックス「追い山笠」のゴール地点です。舁き手は、最後の力を振り絞って「オイサ」の掛け声を叫び、1秒でも早くゴールしようと山笠を加速させます。参加者の喜びに満ちた歓声と見物客から送られる拍手の渦が巻き起こり、山笠はこれにて無事奉納となります。廻り止め通過後、全コースのタイムがすぐに掲示されるので、それにもぜひ注目してみてください。
「追い山笠」で八番山笠が櫛田入りを終えた後すぐに、櫛田神社の能舞台では能の奉納が行われます。櫛田入りであらぶった神を鎮めるためで、静かに響く能の囃子が染み入ります。この奉納能をもって、博多祇園山笠は無事奉納となります。
近年はこの能を楽しみに櫛田神社に見物に来る人も多くなりました。