昨年の8月、九州産業大学(福岡市東区松香台)の大楠アリーナ1階ロビーに東流の舁き山笠人形の展示が行われていましたが、本日4月25日にこの舁き山笠人形の”山解き”されました。
その山解きの模様は、人形の製作者である白水英章人形師の山笠人形の作り方について講演を聞きながら、リアルタイムで山解きの模様が実演されるイベントとして行われ、100人近くの観客の前で舁き山笠が解かれました。
午前9時半、大楠アリーナ1階ロビーの人形前には椅子が並べられており、このイベントを知った一般の方が続々と来校して、イベントの開始を待ちます。
手伝いの人形師や、山大工、手伝いに来た流の男達は、道具を用意して山解きの準備万端。談笑しながら開始時間を待っていました。
午前10時より、この画期的なイベントが始まります。白水人形師は人形の横で、事前に配られた資料を基に、人形作りについて解説していきます。
当初椅子は70席ほど用意されていましたが、イベントが始まる直前まで次々と来場者が到着。そのたびに座席が足され、最終的には100名ほどの参加者がイベントに参加しました。
白水人形師の話は、まずは製作スケジュールの話から開始します。人形作りのアイデアのインプットやアウトプット、皆が知っているモチーフに近づけるポリシーの話、人形製作以外にも扇子や手拭いのデザインが必要など、初めて聞くような話がバンバン飛び出します。
その講演と同時に、待機していた男たちが山解きを開始。ホールのロビーには白水人形師の解説とインパクト(電動ドライバー)の音が響きます。
人形は枝折(台座)から外されると、足元や見送り(背中側)の飾りが、次々と外されていきます。
飾りが取り外されると、次は人形が着ている”着物”が取り外されていきます。
白水人形師は、素材となる金襴(金糸・銀糸や金箔・銀箔を織り込み、華麗な文様を浮き出させた、京都・西陣を主産地とする伝統的な高級紋織物)の仕入れ先や、仕立て屋の人の話を交えて、山解きに合わせて解説していきます。「金襴は1メートルの反物で5000円するんです。私よりいい服着てますね」という解説に、どっと笑いが起こります。
「人形の体はイメージより少し細く作ります。細かったなと思ったらパンヤ(厚みを出す素材)のプチプチを巻けばいいんですが、細くしたいなと思っても簡単にできない」。その解説を受けながら、人形の素体が着物の下から登場し、厚みを付けるためにまかれたプチプチが取り除かれていきます。
「竹を割いてそれを輪っかにしてつなげて体の形を作っていきます。それに何重に紙を張り合わせてボディを作ります」と使っている糊素材のエピソードや、作り方を説明する白水人形師。後ほど参加されている方に見てもらうために、重ね合わせたボディの紙を破き、中の構造がわかるようにしていきます。
取り外したパーツは脇にあるブルーシートの上に並べていきます。こちらは休憩中に触ってみることも可能で、イベント終了後は欲しい人にプレゼントするとのこと。昨年東流れの総務を務めた梅津竜次さんは、人形から外された帯飾りを腰に巻き「日常で使おうかいな」とジョークを飛ばし、流の男達が大笑いする一幕も。
休憩時間になると、参加者は白水人形師の説明を確かめるかのように、人形に触ったりのぞき込んだり。こういった機会はめったにないので大変貴重な時間です。
「僕は顔はかなりこだわって作ります。」「舁き山笠は動くので堅牢に作ります。そこは博多人形と違う。」「水を浴びるのでサランラップをぐるぐる巻いて防水しています」
真っ黒だった関羽のヒゲが、一年の展示で色あせて黒色が落ち始めてます。白髪交じりのヒゲに見え、まるで年を取ったかのよう。「繊維は麻で、色は自分の工房で染めたのよね。最初から黒色じゃないから時間がたつと色あせてくるんですよ」と白水人形師。まさに一年間のお勤めお疲れ様、といったところでしょうか。
実際に人形が持っていた偃月刀を実際に持ってみる子供達。その長さとその重さにびっくりしていました。
休憩終了後は、事前にもらった白水人形師への質問に答える時間に。「人形師になるには?」「作る人形はなんでもいいんですか?」「人形が他の流れとかぶったときはどうするんですか?」「人形師も山笠を舁くのですか?」といった質問に、結構踏み込んだ回答をする一幕も。それを聞いた山解きを行った男たちは、おおー!と笑っていました。
最後に、東流の冨田勝久さんが挨拶。「この山笠は東流の一番山笠の人形で、梅津君の思いのこもった人形で、その山解きにご参加いただきありがとうございました。今日のご縁で山笠に触れられていただいたことで、東流と皆様のご縁を結んでいただいて応援をしていただけたら大変ありがたいと思っております。我々も先人から受け継いだこの伝統文化を受け継いでまいりたいと思いますので、今後ともご支援をよろしくお願いいたします。」とこれからの抱負を語りました。
博多手一本で締め。
— 山笠ナビ編集部 (@yamakasa_navi) April 25, 2026
今回はいろんな人がいる場ときの、お馴染み手一本の練習からどうぞ^_^
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イベントは約2時間で終了。最後は恒例の博多手一本でイベントが締められました。
イベントが終わったら、取り外された飾りが希望者にふるまわれました。解いた舁き山笠の部品を持って帰ると無病息災になると言われていることもあり、波を複数枚持った手帰える人、金襴を手にする人・・・と思い思いのパーツを持って帰って行きました。
「この足、クリスマスにぴったりですよー!」
最後の最後まで明るい雰囲気で、この画期的なイベントは幕を閉じました。