福岡市中央区天神の博多大丸福岡天神店の本館と東館エルガーラに挟まれたアーケード街「パサージュ広場」に立てられる飾り山笠。
アーケード内に山小屋を建てて山笠を収めるスタイルの飾り山笠で、西日本新聞社、西日本新聞会館、エルガーラ、博多大丸などが共同で運営を行っている。
標題は戦記やお伽噺などからテーマを得ることが多いが、西日本新聞社が運営しているという事で、九州国立博物館での特別展にならった標題や、太宰府に関係する標題も登場する。
2005年(平成17年)に「十七番山笠・天神一丁目」として初奉納。2025年時点でもっとも新しい飾り山笠でもある。2021年のコロナ禍による延期を挟みながらも奉納し続けており、2025年には奉納20周年を迎えた。
西日本新聞社が2004年(平成16年)10月に博多祇園山笠振興会に提出した「飾り山建設願い」では、 「福岡市に本社を置く九州の地元紙として平成19年に創刊130周年を迎える。弊社が寄って立つ『博多』 の行事に、報道する者としてではなく、当事者として参加することで、真に地域に根ざした新聞社を目指すべきではないか、との思いをいっそう強くした」と、奉納する意図を述べている。
初めて奉納した2005年(平成17年)の標題は、表が「義経颯爽鵯越誉」(中村信喬人形師師)、 見送りは「美の国日本」(井上和彦人形師)。
奉納2年目の2006年(平成18年)の見送りの標題は、西日本新聞社の創立130年を記念した「言論百三十年九州に立つ」。明治31年(1898年)、時の福岡県知事が「頻繁に電線を切る」「半裸の舁き手は野蛮」として山笠廃止を提議した時、九州日報(西日本新聞の前身)の古島一雄主筆が「山笠には自治の精神がある」「地方の事情を解せない議論」「山笠を低くすれば電線を切らぬ。半裸が悪ければ法被を着ればいい」などと論陣を張って山笠の文化を守ったという有名なエピソードを飾りにしたもの。
2019年(令和元年)は、天神イムズ(福岡市中央区天神一丁目)がオープン30周年を迎えることを記念して、天神一丁目の飾り山笠をイムズ地下2階のイムズ広場に建てた。(※天神イムズは天神ビッグバン(天神地区の都市再開発事業)により2021年8月31日をもって閉館)
6月に地鎮祭、棒洗い、棒締めを行い、7月1日の御神入れをもって飾り山笠を一般公開する。
参加者は山笠を舁かない人が多いため、棒締めでは棒締めのポジションを前もって割り振ったり、アーケード内の短い距離ではあるが試し舁きを行うなど行う事で、「祭りに参加している」という参加意識を高めている。
2023年より、背中に当番法被柄の「天」と「一」のロゴをに飾り山笠の下絵を重ねたデザインのスタッフTシャツを使用している(胸には紺色の同じロゴのワンポイントをプリント)。デザインは中村弘峰人形師。
天神一丁目の飾り山笠が登場した同じ年の2005年(平成17年)10月16日、九州国立博物館(太宰府市)が開館。その開館記念の一つとして博物館のエントランスホールに天神一丁目の飾り山笠を飾った。以来、祭の期間が終わった毎年8月上旬頃から所蔵品の防虫・防疫処理と同じ燻蒸と冷凍処理を行ったうえで、毎年展示されている。(詳しくは『九州国立博物館』の項を参照。)
福岡市営地下鉄「天神」より徒歩5分
西鉄バス停「天神一丁目」「天神大丸前」より徒歩1分
福岡シティループバス「天神ソラリアステージ前」より徒歩4分
天神一丁目の「天」の字をあしらった意匠を使用している。