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博多祇園山笠用語辞典 YAMAKASA DICTIONARY

締め込み(しめこみ)

山笠の参加者が着用する儀礼装束。
丈夫な綿布製で、長さは約3m程度。色は白、もしくは紺。これは流や町によって決まっている。

素材や締め方は相撲の「まわし」と似ているが、前部に「前垂れ」を残すなど独特の部分もある。

下着を着用しない状態で、長い布を下半身に巻いていく形で着用する。山笠の男達は、締め込みを締めると気持ちも引き締まるという。
緩く締めると道中でゆるんでくることもあるため、かなり固く締め上げる必要がある。そのため着用時には締め上げる着付け手伝い役の人が必要なことが多い。それは同じ町内の人だったり、パートナーだったり。そのため博多の奥様(ごりょんさん)は締め込み着付け手伝いに長けている事が多い。
しかし、ベテランの域になってくると、一人で締め込みを締める事が出来るすごい人がいたりする。顎で締め込みを挟んだり、壁や椅子を使ったり・・・と巧みに締め込みを巻いて締め上げていく様は、達人もしくはマジックの域である。

「締め込み」と「ふんどし」の違い

山笠参加者は、締め込み姿の事を「ふんどし」と言われるとムッとする人が多い。
「ふんどし」と「締め込み」は外見上はあまり代わりがないように見えるが、「ふんどし」は下着であるが、『締め込み』は神事の儀礼装束であり、大きな違いがある。
同様に地鎮の神事である相撲では、関取が本場所で締める絹製廻しを「締込」と呼んでいる。こちらも儀礼装束なのだ。

なので山笠を見物する際は、間違っても『ふんどし』と言ってはいけない。
間違っても『ふんどし』と言ってはいけない。大事な事なので二回書いておく。

“締め込み”を取り巻く長き戦い

とはいえ、『締め込み姿』というのはは西洋文化とはなかなかそぐわないものらしく、戦後すぐの1949年(昭和24年)頃には、新聞への投書にご婦人方から強硬な”フンドシ廃止論”が掲載され、紙面を大いににぎわせた。中には「外人観光客が悪い印象を持つのではないんではないか」と国際的に事態を憂慮する人もいて、攻めるご婦人方、守る博多祇園山笠振興期成会(現在の博多祇園山笠振興会の前身)との間で激しい論戦が行われた。

また戦後以降、思春期を迎える子供達の中にも締め込み姿を敬遠する子供が目立つようになり、山笠振興期成会は学校と懇談会を開くなどして、博多の伝統文化を継承するために後進育成にも力を入れており、その活動は今も「子供山笠」という形で生き続けている。

ハワイ遠征の逸話

昭和55年(1980年)博多祇園山笠は、ハワイ最大の祭り「アロハ・ウィーク・フェスティバル」に招待されることに。
全米に放映される予定のこのフェスティバルだが、山笠の締め込み姿が「セクシーすぎる」との声が上がり問題になる。様々な案が出されるもお互い納得をせず、ハワイにて実行委員長同士で解決の場が持たれたが、平行線をたどる。煮詰まったミーティングの中で、『締め込みが外見上よくないというが、ハワイのカメハメハ大王はふんどし姿ではないか」と誰かが素朴な意見を言った事から、ハワイ側の担当の顔が『おや?』というように変わった。
そこから話は急展開。
そして博多側の「あなたがアロハウィークという祭りを愛し守ろうとする気持ちは十分分かる。しかし、あなたのその気持ちと、われわれが『山笠』の伝統を守ろうとする気持ちは全く同じ物なんです」という熱い言葉により、締め込み姿での山舁きの許可が出、すべて博多側の望み通りにやってよいという事となった

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