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博多祇園山笠用語辞典 YAMAKASA DICTIONARY

山笠ナビ博多祇園山笠用語辞典さじきせき/さじきせきけん

桟敷席/桟敷席券(さじきせき/さじきせきけん)

櫛田神社の境内に作られる、立体型の座席。
いわば櫛田入りの「アリーナ席」である。

毎年6月中旬から櫛田神社内に資材が運び込まれ、清道を取り囲むように建設される。
この桟敷席が作られるようになったのは昭和32年から。見物しやすいようにとの判断からで、丸太で桟敷席を作っていた。当初の収容人数は約800人。昭和51年に今と同じ鉄パイプでの桟敷席になった(その時は板の上にむしろを引いた座席だった)。
今のようなスタンド式になったのは昭和58年からで、プロゴルフ大会のギャラリー用スタンドを建設する専門の業者に依頼しているらしい。

桟敷席の販売日・価格

まず、大事な事を最初に書いておく。
結構勘違いしている人が多いのだが、桟敷席券は「エリア入場券」であり指定席ではない。いい席を取りたいのであれば、追い山・追い山ならしの当日も早くから並ぶ必要がある

桟敷席のチケット販売は、毎年6月26日午前9時より櫛田神社にて販売される。ネット販売等は行われない。
(※ただし、まれに社務所にて販売されていることもある。その時は境内に”桟敷席券あります”の立て看板が立っている。)

販売されるのは、7月12日の「追い山ならし」の桟敷席300枚と、7月15日に行われる「追い山」の桟敷席300枚、合計600枚である。
桟敷券が買えるのはこの日・この場所・この時間のみの対人販売のみとなっており、入手がなかなか困難であるため「プラチナチケット」とも呼ばれる。追い山笠・追い山馴らしが土曜・日曜・祝日に重なると、さらに競争率が上がる傾向がある。
プラチナチケットであるため、ネットオークション等に法外な金額で出品される事が毎年起きており、山笠ファンからしたら大変苦々しい由々しき問題である。なお、この問題については、後述の「ネットオークション/転売問題」も参照してもらいたい。

桟敷席券の価格は、追い山馴らしの桟敷席券は1枚3000円(1人2枚まで)、追い山笠の桟敷席券は1枚7000円(1人1枚限り)となっている。(※2024年時点)

桟敷席券を買う様子は、山笠ナビが詳細レポートを入れているので、桟敷席券を購入したいと考えている人は、ぜひ下記のレポートを参考に。

席の種類

すべて平仮名がふられており、「あ」「い」「う」「え」「お」「か」「き」「く」まで席がある。
ただし、一般の人が購入できるのは「あ」「い」「う」「え」「お」の5種類だけ。「か」「き」「く」は関係者席である。

一番人気の席は、櫛田入りでまっすぐ山笠が入ってくる光景を見ることができる「あ」「い」席で、”山笠好きなら一度は座ってみたい”と言われる席でもある。そのため、桟敷席販売日の前日である25日のお昼から並んで待っている人も多く、25日の夜前に席を取りに行っても取れないことも多い。
その人気ぶりから、翌日の朝のニュースでは「あ」席を最初に購入する人にテレビカメラや新聞記者が殺到する光景が見られるのも、26日午前9時のおなじみの光景。

「お」席は、土居通りから櫛田神社清道に入ってくるトップスピードの舁き山と、清道の外に駆け抜けていく様子が見ることが出来るためか、「あ」「い」に続いて人気である。

「う」席は、能舞台の対岸に位置する一番席数が多い席種である。席数が多く桟敷席自体が高めに作られているため見やすいのが特徴。初めて桟敷席券を手に入れて見に行くのには最適な席ともいえる。実は2階席もあるのだが、後ろの方はちょっと見づらい。

「え」席は、鳥居側に位置し、もっとも清道の出入口に近い席となる。2階席もあり、一番最初に八番山の高さを実感する事が出来る。唯一屋根のある席となるのだが、その屋根が視界を狭める可能性もあるため、場所取りに悩む席種でもある。クセの強い席種であるが、ファンの間では「通好み」として認知されており、この席を取るために並んでいるファンは結構多い。

なお、「う」「え」席は、用意されている席数が多いため、販売当日の6月26日の朝7時ごろに櫛田神社に到着しても取れる可能性が高い。

桟敷席内のルール

桟敷席内での明文化されているルールは以下の通り。

  • 雨の際は、傘の使用は禁止(カッパ着用のみ)
  • カメラの一脚、三脚の使用は禁止
  • 一時退出の際は、入出口で外出証をもらう(戻ってきたら返却)

桟敷席内での飲食は可能だが、当然だが持ち込んだゴミなどは必ず持って帰ること。
また子供の入場に関しても”基本的”に桟敷席券が必要と考えた方がよい。その辺りの詳しい規定については、一度櫛田神社に問い合わせをしてみるのが賢明である。

桟敷席の当日の流れ

追い山笠馴らしの7月12日は午後1時より、追い山笠の7月15日は午前2時より、桟敷席の門が開き入場が可能となる。前日は桟敷席に無料で入れるからといって、座席を取っててもしっかり撤去されるので、正々堂々と席取りを行う事。追い山馴らしは午後3時まで、追い山笠は午前4時までには桟敷席に入る必要がある。

開門待ちは、「あ」「い」席は入口を先頭に飾り山前の桟敷席の下の通路で並ぶことになる。
「う」席は入口を先頭に境内に、「え」席は入り口を先頭に中門方向に壁に沿って、「お」席は清道内の入り口を先頭に壁に沿って清道内に並んで待つことになる。
開門のための順番待ちはいつからでも出来るが、「お」席だけは7月14日の夕刻から午後9時頃まで清道内でラジオ番組の生収録が行われているため、その収録が終ってから並び始める人が多い。

席は自由席なので、入場後は好きな場所を選んでもよい。ただし、人数の問題からスペースを詰めたりすることがあるので多少左右にずれることは覚悟する事。桟敷席から退出する際は、出入り口で外出証を貰うことでエリアを退出できる。

八番山が櫛田入りを終えた後は、清道への入場が許可される。
追い山の「う」席は混むため、直接清道内に降りることが出来る階段が取り付けられる。
追い山の後の清道は午前6時より「鎮めの能」が行われるため、清道内には座席の準備が行われる。

ネットオークション/転売問題

入手方法が「毎年」「6月26日」「午前9時」「櫛田神社」と条件が決まっているため、前述の通り毎年桟敷席券は「プラチナチケット」となる。そのため購入後ネットオークションなどに出品されることも多く、その様子を見て関係者やファンからは、その様子を苦々しく思われている。

しかし、2019年6月14日より「チケット不正転売禁止法」が施行された。この法は、チケットに記載された価格(※送料や手数料もこの値段に含む)で高く転売できない事になった。

そのため、追い山ならしの桟敷席券を1枚1万円で売るような”暴利”な販売は事は非合法という事になる。賢明な方は落札しないように。

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