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博多祇園山笠用語辞典 YAMAKASA DICTIONARY

山笠ナビ博多祇園山笠用語辞典山笠トリビアきゅうしゅうこくりつはくぶつかん

九州国立博物館(きゅうしゅうこくりつはくぶつかん)

2005年(平成17年)10月16日に開館した「日本文化の形成をアジア視点から捉える」をコンセプトにした福岡県太宰府市にある国立の「歴史系博物館」。
日本では4番目、九州では初めての国立博物館。国立博物館が作られたのは京都国立博物館以来108年ぶりとなる。また国立博物館初の「歴史系博物館」でもある。

九州が日本におけるアジア文化との交流の重要な窓口であった歴史的かつ地理的背景がある事から、旧石器時代から近世末期(開国)までの日本の文化の形成について展示。
「海の道、アジアの路」をテーマとする「文化交流展」をメインに、魅力ある特別なテーマを設定した様々な「特別展示」を常に開催している。
来場者数は年間100万人以上。2005年(平成17年)には入館者数が1500万人を突破、2022年時点では1800万人を突破している。
九州で最も参拝客が多い太宰府天満宮の裏に位置するため、元旦から開館する珍しい博物館でもある。

なお、公式キャラクターは、所蔵作品である元行と名乗人物が記した医学書「針聞書虫はりききがき」に描かれたハラノムシ(※昔は病は体に住む虫が引き起こしていたと考えられていた)をモチーフにした「はらのむし」である。

飾り山笠の展示

「博物館に訪れた人に博多の文化を肌で感じて欲しい」として、毎年8月中旬頃から翌年の3月上旬頃まで博物館のエントランスホールに天神一丁目の飾り山笠が展示される。
2005年(平成17年)の開館の際、開館記念の一つとして始まったもので、それ以降、コロナ禍を除いて毎年展示されている。なお展示の際は山小屋は作られない。
7月15日以降に飾り山笠を見る事が出来るのは、櫛田神社と川端ぜんざい広場以外ではここだけなので、観光客にも大変人気がある。

博物館に展示する際は、側面にも新たに飾りが取り付けられる”四面飾り”となるため、様々なアレンジなどが加えられており、山笠期間の趣とはまた違った山笠となる。側面を見ると表と見送りの人形師の飾りが入り組む形で飾りが組まれるなど、興味深いポイントは多い。

1階のエントランスホールと3階の特別展示室を繋ぐ階段の踊り場からは、飾り山の天辺付近と同じ目線で飾り山笠を見る事も出来、そのの大きさを実感することも出来る。

貴重な資料が所蔵されている博物館という場所の性格上、防疫・防虫対策にはかなり気が使われており、2005年(平成17年)のデーターでは山笠が終わって解体した後、薫蒸、消毒などの虫害対策を行ったうえで組み立てたという記録が残っており、現在は所蔵品の防虫・防疫処理と同じ燻蒸と冷凍処理を行っている。
また、人形を制作する際の素材にも工夫がなされており、白水英章人形師(2023年現在の見送りの担当人形師)は、虫が寄りやすい竹でなく固い紙テープを使って人形の骨組みを作り上げている。

この飾り山笠を設置する際は、3日間の設営日(棒締め1日間、飾り付け2日間)が設けられており、2010年(平成22年)からはこの棒締め・飾り付けの様子を公開。博物館を訪れた人は、実際に飾り山笠を作り上げる様子を見る事が出来る。御神入れ際は8月下旬頃に行っている。なお、山解き(飾り山の解体)は休館日に行われるため見学することはできない。

博物館が開館する前々日となる2005年(平成17年)10月14日、皇太子殿下の行啓があり三輪嘉六館長(※当時)がご案内した際、当初は素通りの予定であった飾り山笠の前で皇太子は歩を止め、実に興味深げに見入られ「これが有名な博多祇園山笠ですか」と山笠と人形師の関係についてご質問されたという。

また、2007年(平成19年)年10月31日には、天皇、皇后両陛下が九州国立博物館をご視察。そのご視察の中で飾り山笠をご覧になられた。両陛下が博多の山笠を見られるのは初めての事。
当時の博多祇園山笠振興会会長の波多江五朗氏、副会長の瀧田喜代三氏、豊田侃也氏らがスーツの上から当番法被を羽織ってお出迎えした。飾り山笠の前に立たれた両陛下はじっくり鑑賞された後、標題の「黒田長政関ヶ原合戦」について「これが黒田長政ですね」「夏のお祭りですか」「長く続けてください」などと笑顔で語られた。なお、お答えした波多江会長は「間近でお声をかけられたのは初めて。『後世に伝えていきます』とお答えするのが精いっぱいでした」と感想を述べている。

2016年(平成28年)11月30日、山車が登場する全国33の祭り「山・鉾・屋台行事」がユネスコの無形文化遺産に登録。その祭の中に『博多祇園山笠』も含まれているため、12月19日に福岡からユネスコ登録された『博多祇園山笠』と北九州の『戸畑祇園大山笠』を合わせての記念式典が、九州国立博物館のエントランスホールにある飾り山笠の前で行われた。

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