博多祇園山笠用語辞典 YAMAKASA DICTIONARY

休む(やすむ)

博多祇園山笠の行事は、必ず毎年7月1日から15日に行われ、時間も全て決まっている。
そのため、行事が平日に行われるのはざらにあり、山笠に参加する者はよほどの事がない限り仕事の時間でも参加する人が多い。そうなると仕事にならないため、お店によっては山笠期間は休みを取る所も少なくない。


老舗のラーメン屋「三九」の営業時間の看板

個人経営のお店ならまだ自由がきくかもしれないが、いわゆるサラリーマンの人はもっと大変である。
地元・博多の企業なら山笠行事を理解を示してくれる所が多く、行事参加を容認してくれるのだが、一般企業だと「2週間仕事になりません」と言えないのが山笠参加者の頭の痛いところである。
仕事の差配やスケジュールなど苦心されている話はちらほら聞くが、人によっては辞表覚悟、もしくは辞表を出して山笠に参加する人もいる。

これが「博多の男性は祭になると仕事をしない」と揶揄される一つなのだが、『山笠に参加すると15日間休みになってしまうので、残り350日は一生懸命働いている』と、山笠のために1年を仕事に捧げている、と理解していただきたい。 
もちろん、これを支えるのはごりょんさんであり、ごりょんさんの理解あってこその山笠である。

山笠期間は興業を行わなかった博多の劇場

明治維新後、博多には宝楽舎、永楽社、教楽社、明治座、川丈座、寿座、博多座、球種愚液状、大博劇場などの劇場があり、人々を毎日楽しませていた。
だが、福岡の演劇史を読み解くと旧歴六月(新暦七月)の山笠期間中は興業予定を入れなかったり、上演中であれば中断したらしい。 山笠に敬意を表してか、博多の人々にとっては芝居どころではないかは分からないが、普通は祭の人出を当て込んで興行するところを山笠期間中に関しては「休む」ようにしていたという。