山小屋や山笠を不眠で警備する役目。
山笠は御神体であり、また山小屋内は神域であるため、山小屋に勝手に入って山笠に触ったりする人がいないように警備したり、夜の舁き山笠見物に来た人の案内を行ったりする。
警備する人は、山小屋の中に椅子を置いて座ったり、山小屋前のバンコに座って、一晩山笠の監視を行う。交代する者は山小屋近くの屋根のある場所で待機していることが多い。
夜警の当番は流によって異なるが、各町が持ち回りで担当し、午後6時から午前6時まで警備を担当する。
山小屋に山笠台が収まってから夜警の役目が始まることが多い。
舁き山笠の山笠は寝ずの番を行うが、飾り山笠は参加人数の問題もあり、警備会社などに依頼する事が多い。ただ、警備費用もかかるのでその辺りは飾り山笠側の悩みの種だそうだ。
昔の新聞を読むと、戦前以前は、ライバルの流を妨害するために夜中に山笠台の八文字縄を切断しにきた不逞な輩がいたりしたそうで、そのいたずらを防ぐために夜警が付くようになった・・・とか、山笠の飾り物を家に飾れば無病息災・家内安全という厄除けの云われから、追い山笠前にこっそり飾りを拝借しにくる輩もいる可能性があるため・・・とも言われている。
1977年の新聞には、この事が堂々と書かれており「いまは聞かんばってん、昔ゃ、カミソリをもって(他の流の)ツナを切りに…アタキも、ウヘヘ。」「いまの若いモンはおとなしか」となかなか物騒な内容が書かれている。
なお、1977年の新聞には、博多仁和加で夜警が紹介されている(※一部省略)。
「”御神入れ”したら夜警ばおかんならん。寝ずの番をせんならんけん。」
「・・・って言うとは口実で、ほんなことは家ばあけて酒飲まるるし、一晩中将棋も指さるるし、買うて出たっちゃろうもん。」
「分かってしもうとるばいねえ。これも山笠の楽しみの一つたい」
「ところで相棒のまーだ来なれんことあるが、呼うで来うか?」
「行くこたーいらん、あの男も楽しみでやりよるとじゃけん、時間になりゃあ、呼ばん(夜番)で来る」
現在は、夜警を行っている間に若手が集まり、山舁きの勉強会や後押しの勉強会などいかにきれいに奉納できるかを勉強する時間に当てられるなど、長い夜警の時間を積極的に有効活用している光景が見られる。