北海道と小笠原諸島を除く東アジアの広範囲においてみられる特有の気象現象で、5月から7月にかけて来る曇りや雨の多い期間のこと。雨季の一種。
語源としては、この時期に梅の実が熟す頃という説や、湿度が高くカビが生えやすいことから「黴雨(ばいう)」と呼ばれ、これが同じ音の「梅雨」に転じたという説、この時期は「毎」日のように雨が降るから「梅」という字が当てられたという説などがある。
博多山笠の祭礼期間は、6月1日から準備期間が始まり、7月1日に開幕、7月15日に追い山笠で閉幕・・・と、完全に梅雨の時期と被るので、雨模様にになりやすい。山笠見物では雨具や雨対策の用意が必要である。なお、ナビ編集部の中の人、雨のためデジカメを一台壊してしまった苦い経験がある。
博多ではよく『山笠が終わると夏がやってくる』『山笠が終ると梅雨が明ける』『山笠が夏を連れてやってくる』と言われている。本当にそうなのか、 ウェザーニュースで2000年以降の梅雨入り・梅雨明け宣言の日を調べてみた。その一覧が以下の表である。
年 | 梅雨入り | 梅雨明け |
---|---|---|
2000年 | 5月26日頃 | 7月17日頃 |
2001年 | 5月21日頃 | 7月19日頃 |
2002年 | 6月10日頃 | 7月21日頃 |
2003年 | 6月9日頃 | 7月31日頃 |
2004年 | 5月29日頃 | 7月11日頃 |
2005年 | 6月10日頃 | 7月17日頃 |
2006年 | 6月8日頃 | 7月26日頃 |
2007年 | 6月13日頃 | 7月23日頃 |
2008年 | 5月28日頃 | 7月6日頃 |
2009年 | 6月3日頃 | 8月4日頃 |
2010年 | 6月12日頃 | 7月17日頃 |
2011年 | 5月21日頃 | 7月8日頃 |
2012年 | 5月30日頃 | 7月23日頃 |
2013年 | 5月27日頃 | 7月8日頃 |
2014年 | 6月2日頃 | 7月20日頃 |
2015年 | 6月2日頃 | 7月29日頃 |
2016年 | 6月4日頃 | 7月18日頃 |
2017年 | 6月20日頃 | 7月13日頃 |
2018年 | 6月5日頃 | 7月9日頃 |
2019年 | 6月26日頃 | 7月25日頃 |
2020年 | 6月11日頃 | 7月30日頃 |
2021年 | 5月11日頃 | 7月13日頃 |
2022年 | 6月11日頃 | 7月22日頃 |
2023年 | 5月29日頃 | 7月25日頃 |
2024年 | 6月17日頃 | 7月22日頃 |
梅雨入りが最も遅いのは2019年の6月26日、最も遅かったのは2009年の8月4日。平年データーを取ったら、梅雨入りが6月4日、梅雨明けが7月19日頃となっている。このデーターだけ見ると『山笠が終ると梅雨が明ける』といえるようだ。
ただ、24年間の間に追い山笠後3日間のうちに明けたのは3回しかなく、1週間後に明けたのは7回。割合としては3割程度の確率しかない。梅雨はいつかは明けるものなので「すぐに明ける」となるとこのジンクスは何気に当たっていない気はする。ただし、追い山笠前に梅雨が明けたのは7回もあり、それを含めると約6割の確率。『山笠が終ると梅雨が明ける』わけではないが『山笠が夏を連れて来る』のは、あながち当たっているのかもしれない。
また、山笠の天気のジンクスについてまことしやかに語られるのが『追い山笠の日は晴れる』というジンクスである。直前までどんなに雨が降っていても、午前4時59分には雨が上がる事が多い・・・というイメージがある人が多い。
このジンクスについて、昭和44年(1969年)の西日本新聞が『追い山の出発はなぜ7月15日午前4時59分なのか?』という事を科学的に分析している。
それによると、1890年から1959年まで70年のという統計では、7/15に雨が降ったのは15回だけ。その前後と比べると10日は雨が22回、20日は17回、つまり福岡地方の梅雨は15日頃に開けることは統計的にもいえる。追い山の朝はほぼ5年に一度しか雨が降っておらず、7月には珍しく晴れた朝が多い・・・らしい。
では、近年ではどうか。天気.jpで2015年から2024年までの過去10年間の「福岡(福岡県)の過去の天気」を調べてみたところ、7月15日の晴れ率は60%と出た。これは12日追い山馴らしと13日集団山笠見せが晴れ率が30%なので遥かに高い数字とも言え、あながちこのジンクスも当たっているのかもしれない。
ただし、コロナ禍が明けて山笠行事が復活した2022年は雨が降り、そして2024年は土砂降りの中の追い山笠と、近年は続いて雨が降っている。地球温暖化による異常気象が叫ばれているこの最中、このジンクスも変わってくるのかもしれない。
なお、もう一点、まことしやかに言われる「集団山笠見せは雨」というジンクス。これも意外と参加者の間でも認識が強いジンクスとなっており、7月上旬が天気が良くても「まあ、13日には雨が降るから」と苦笑いして語られることもある。
上記の天気.jpで調べてみたところ、12日追い山馴らしの雨率は10%、15日追い山笠が20%に対し、13日集団山笠見せは雨率50%となった。半々の確率で雨が降る13日、こちらのジンクスもなかなか的を射ているようである。
なお、地味にすごいのは12日追い山馴らしで、曇り60%・晴れ30%、合計90%と雨知らずな行事であり、ナビ的には『追い山笠馴らしはカッパ不要』という新しいジンクスを提唱したい。