お汐井取りの際に箱崎浜の砂(お汐井)を入れる小型の竹編みの籠。「お汐井てぼ」とも呼ばれる。
大きさは手のひらサイズ。携帯できるよう藁で作られた持ち手が付けられている。
お汐井取り後は玄関先などに吊し、山笠で家を出るときなどに身を清め厄をはらうために、清めの塩と同じように砂を振りかける。
6月上旬に櫛田神社で作られ、社務所で販売される。お汐井取りの当日には、箱崎浜の鳥居前でも既にお汐井が少量詰められたてぼの販売が行われている。
お汐井を詰める道具はてぼ以外にも、「お汐井升」がある。
お汐井升はてぼよりも少々多くお汐井を詰める事ができ、腰に差した舁き縄に引っかけるのが”粋”らしい。升は山小屋や各町内の詰め所等に吊されている場合が多い。
「てぼ」とは、うどんなどをゆでるのに用いる底の深いざるに柄をつけた道具の事で、今でもラーメン店で麺の湯切りをするステンレス製の道具を「ラーメンてぼ」として販売されている。
九州地方では竹製の籠の総称として使われれる事が多いようだ。八女の方では、田んぼなどで野に出て花を摘んだりして遊ぶ際に使って小さな子供用の竹籠を「花てぼ」と呼んでいたらしい。
湯切りする麺(玉)を”弾”と見立てて「鉄砲」→「てぼ」となまった、という説もあるが、真偽は全く持って不明。