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博多祇園山笠用語辞典 YAMAKASA DICTIONARY

商標登録(しょうひょうとうろく)

「博多祗園山笠」「博多山笠」は商標登録されている。博多祗園山笠振興会が特許庁に「博多祗園山笠」「博多山笠」の商標登録を申請し、平成18年12月に正式認可されている。

これは博多山笠の歴史や趣旨などを理解しない企業や団体が勝手に名称を使えなくするのが目的。全国的に知られる祭りになるにつれて便乗商法も目立つようになったため、国指定重要無形民族文化財としての伝統、格式を守るための対応でもある。

2000年(平成12年)の段階で、「山笠」 に関する商標は36も登録されており、土産品目的とみられる菓子などの食品類や焼酎などの酒類、建築施工の登録があった。当然無断で登録しているものもあり、 当時の振興会の石橋清助会長は「このままでは伝統ある博多祇園山笠の権威をおとしめるような商品が出てくる心配もある」と懸念していた。
その後、波多江五朗会長が平成18年3月特許庁に申請。同年12月9日 正式に認可された。

認可の対象は「印刷物」「うちわ・扇子」「布製身の回り品」「被服」「祭りを主とする催事、行事及びイベントの開催」の5分類(10年間有効)が対象となっており、この分野で「博多祗園山笠」「博多山笠」の名前を使用するには振興会の許可が必要となる(有料となるケースもある)。

「博多祇園山笠」の名前を使いたい方は、まずは必ず博多祇園山笠振興会に確認のお電話を。

山笠キティ騒動(2013年)

2013年(平成25年)、日本各地の「ご当地キティグッズ」を製造・販売している 「あすなろ舎」 (神奈川県大和市) が締め込み姿のハローキティをデザインした「博多山笠タオル」の販売をインターネット上で告知した。
デザインがキティの締め込み姿の尻姿を強調した図案だったこともあり、SNSでは大きな話題となったが、肝心の発売許可申請を博多祇園山笠振興会に出していなかったため、振興会が問題視。販売にストップをかけた。
6月28日、両者がこの問題を協議。振興会は「キャラクターであっても図柄が好ましくない」と指摘。
これに対して、同社は販売しないことを約束し、この騒動は一件落着した。

洋菓子の欧州 vs やぐら製菓の「博多山笠」裁判(1977年)

テレビCM「山笠があるけん博多たい」で有名な『伝統銘菓 博多山笠』を製作・販売を行っていた「洋菓子の欧州」が、同名のお菓子を出していた「やぐら製菓」を相手取って商標権侵害差し止め請求を福岡地裁に起こし、1977年(昭和52年)に請求棄却という形で結審。やぐら製菓に軍配が上がった。

欧州は1974年(昭和49年)2月、20年以上前に登録された商標『祇園山笠』の権利を譲り受けてた。
一方、やぐら製菓はその1年前の1973年(昭和48年)6月から製造を始めたお菓子に『博多山笠』の商標をつけて売り出し、特許庁に登録出願したが上記の『祇園山笠』と類似しているとして、登録が許可されなかった経緯がある。やぐら製菓は「祇園山笠というのは全国各地にあり、祇園山笠は櫛田神社の祭礼行事を直接指すとは言えない」などの理由で、そのまま『博多山笠』を製造、販売を開始した。

しかし欧州は「外観や呼び名は違うが、菓子類の商標として登録してある『祇園山笠』の商標を侵害するもの」として1975年(昭和50年)6月に提訴した。

判決は、「櫛田神社の祭りの呼び名は祇園山笠が正しいが、博多山笠といえば櫛田神社のそれ指すことが明かであるのに対し、祇園山笠は全国に祇園神社が多いことから必ずしも櫛田神社の祭を指すとは考えられない」ゆえに「登録商標の『祇園山笠』と『博多山笠』の商標のイメージが同じであるとは一般的には言いがたく、被告の商標が原告の商標と類似し、商品に誤認、混同を生じるおそれはない」と述べて欧州側の主張を退けた。

なお、欧州はやぐら製菓が1973年6月に『祇園山笠』の商標を理由に『博多山笠』が商標登録されなかったことを受けて、1973年7月に『博多山笠』『博多祇園山笠』の商標を出願。1979年に登録が完了している。

その後、欧州の「博多山笠」はこのCMの効果によって博多を代表する菓子となったが、1990年代に入り「洋菓子の欧州」は倒産。その後製造権利を買い取った「菓子処 欧池」は博多駅のデイトスで販売していたが、2009年頃に製造終了している。
なお、現在「商品区分:菓子、パン」における『祇園山笠』『博多山笠』『博多祇園山笠』の商標は、石村萬盛堂が持っている。

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