博多祇園山笠用語辞典 YAMAKASA DICTIONARY

鎮めの能(しずめののう)

博多祇園山笠は勇壮に櫛田入りを行い、博多の町を山と男達が駆け抜けるイメージが強いが、七流と上川端通りの櫛田入りが終わった後、櫛田神社で能が舞われる行事が行われていることを知っている人は少ない。

櫛田入りは櫛田神社に祀られる素戔嗚尊(祗園宮)に奉納する神事であるが、この荒々しい奉納で荒ぶった神を、能で鎮めるとされている。この能を『鎮めの能』『鎮能』と呼んでいる。この能をもって博多祇園山笠は『無事奉納を執り行った』ということになる。

上川端通の走る飾り山が櫛田入りを行い玉垣の外に飛び出ると同時に「能舞台」では、一声の音色と共に奉納される。櫛田神社の能舞台で鎮目の能は演じられる。素謡「翁」、舞囃子「高砂」「竹生島」「船弁慶」などが演じられる。
江戸時代の頃、町奉行は清道前の舞台から山笠の櫛田入りをみたのち、能の「翁」の舞を一つみて引き上げるのが慣例だった。

かつては博多七流のうち、順番で一流が山笠の奉納をやめてこの任に当たっていたが、明治38年の雷鳴紛争で山笠行事を中止した福神流が大正2年以降「能当番」に当たっていたのだが、宮総代が能当番を務めている。