棒締めの際、麻縄と舁き棒を締め上げる際に使用される棒状の道具。
長さは約2.5メートル。片側の先頭側面付近に「雁首(がんくび)」とも呼ばれる短い棒が垂直に取り付けられている。おやし棒によっては逆側にも細い棒が取り付けられているものもある。
語源は不明。漢字も不明。意味も不明。どの文献を見ても「おやし棒」と書かれている。人によってはおやし棒を倒すことを「おやす」という人もいるのだが、「おやし」「おやす」自体には各地の方言で色々な意味があり、現時点では把握不明の言葉である。
おやし棒への縄をかける際、このような絡め方で縛り込んで、縄を引っ張って舁き棒を山笠台に固定してます。
— 山笠ナビ編集部 (@yamakasa_navi) May 11, 2024
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まず、雁首を山笠台の「への字」と呼ばれる部分に当てて紐で縛る。次に、山笠台と舁き棒を縛った太い麻縄をこの「おやし棒」に結えつけ、山笠の男数人で棒の端を押し下ろす。
雁首を支点としたテコの原理で麻縄が引っ張られ、山笠台と舁き棒がギリギリと締め上げられていく・・・という寸法である。
力が大きくかかるため、支点となる雁首は丈夫なことが条件であるため、樫で作られた雁首でないと折れやすい。
なお、への字に引っかけて支点となればどのような形でもよいため、雁首のような棒である必要はなく、おやし棒によってはおやし棒にスリットを入れて引っかけるようにしていたりしていても問題ないらしい。
雁首の逆側に付いた細い雁首は、雁首とへの字を縛る縄がずれないようにするためのストッパー的役割の棒として使用されている。