毎年6月2日に承天寺にて行われる行事で、毎年6月1日と2日に行われている大般若の眞読の法要。
1日目は山内(さんない:敷地内)の住職で夏祈祷を行い、2日目は承天寺一派の衆僧が集まり、大般若経六百巻の真読法要が行う。2日目には博多祇園山笠振興会の役員や櫛田神社宮司、各流の総務らが長法被姿で参加して今年の山笠の安全と成功を祈願。七流には、祈祷された安全祈願の札が渡される。
長きに渡って行われている法要で、その昔は旧6月1日から5日まで行われていた。昭和39年3月「博多山笠記録作成委員会」が行った調査では、寛元元年(1243年)に「古来、博多山笠には承天寺のお守りを付け、同寺の授与する大般若転読の木版刷りの守札を山笠に打ちつけたり、守袋に収めてこれを身に帯び災難よけとする風習があり、山笠の外題(標題)は、承天寺でもらうしきたりがあった」との記載がある。
山笠の役員が祈禱を受けお守の木札をもらい受けるというしきたりは続いたが、明治初年、政府が発布した「神仏分離令」と呼ばれる太政官布告、詔書「大教宣布」の発布を受けて廃仏毀釈(仏教を廃すること)が行われ、承天寺と山笠は縁が薄くなり、大黒流以外は役員が承天寺に参り守札をもらう風習が途絶えてしまった。
この風習が復活したのは昭和60年(1985年)。七流の参加と祈祷札請受の復活は実に百数十年ぶり。
承天寺一派の衆僧が読み上げる『大般若波羅蜜多経』は、唐代にかの玄奘が大乗仏教の基礎的教義が書かれている長短様々な「般若経典」を集大成した経典で、全部で16部600巻に及ぶ。
ただ、この全巻全てを読み上げるのは難しいので、「転読」と呼ばれる経典の題名と初・中・終の数行や、般若心経末尾の真言、『転読大般若経中唱文』などを読み上げながら、蛇腹状の経典を高く持ち上げパラパラとめくる事で全体を読んだことにする読経の方法を行って読誦する。