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博多祇園山笠用語辞典 YAMAKASA DICTIONARY

水当番(みずとうばん)

舁き山笠の走る先に先回りし、沿道に準備されている水桶から勢水を山笠と舁き手にかける役。
当番町の若手がその役割を担ったり、各町から選出された水当番が交代で勤めたりと、流によって選出方法は様々。
常に水桶(携帯用の布バケツ)を持って舁き山笠の先を走り、水を掛け続けなければならないため、非常に体力を要求される役割である。

古来は数個の担桶たご(天秤棒で担って運ぶ桶)に水を入れて二人に担がせて山笠の前後に付添わせたり、山笠通過の町々では担桶に水を汲入れ柄杓をつけて共の門口に出してたり、水当番の各町の若者は酒樽に水を溜めておいて山笠の勢水とした・・・という。

この担桶に水を入れて運ぶ習わしは大黒流や西流などに残っている。現在でも道中で担桶を運ぶ舁き手の姿を見ることができ、この水を柄杓で汲んで台上がりに手渡す光景を見ることができる。

とにかく勢水は舁き山笠の命綱である。水の把握は都と絵も重要で、沿道には数多くの水を溜めたポリバケツや、120リットル入るゴミ箱用の大型バケツなどを用意している事が多いので、水当番はバケツがあると素早く「ここに水がありまーす!」と手を上げて他の水当番に大声で伝達しバケツのある場所を伝える。

単に水を掛けるだけ見えるが、「安全に」「効率よく」「大量に」勢水を掛けることができるかが大事なので、卓越したテクニックでバンバン水を掛ける人を見ると、「このままこの人の見事な水の掛け方をずっと見ていたい」と思ってしまうほどである。
私が見た事がある古老は、先走りには足元に掛け、舁き山笠が来ると弧を描くように上から水を掛け、舁き山笠が真横を通る時はバケツが舁き手に当たらないように小さいモーションで足元に掛け、山笠が過ぎ去る際は締めとして大量に上から降り注ぐように掛ける・・・と、様々なパターンで芸術的に水を掛けたりするので、水当番の動きは要チェックである。

ちなみに、2024年に聞いた新情報としては、山舁きが始まる前は、舁き縄を腰に差した状態で布バケツの紐を舁き縄に通して下げておくが粋なスタイルらしい。なお、この情報についてはナビ的には保証はしない。

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