博多祇園山笠用語辞典 YAMAKASA DICTIONARY

きゅうり(胡瓜)(きゅうり)

ウリ科キュウリ属のつる性一年草。
夏野菜として、生のまま味噌をつけて齧ったり、サラダ、寿司(かっぱ巻き)、酢の物、和え物、塩揉みなどで供されるほか、ピクルス、オイキムチ、かっぱ漬け、奈良漬け、醤油漬けなどの漬物の材料として使われる。

胡瓜断ち

博多では祗園山笠期間中、舁き手は祭り期間中、きゅうりを食べない事は知られている。舁き手が怪我をしたら「キュウリを食べたけんたい」と言われる事も。
その由来は、山笠の祭神である素戔嗚尊(すさのおのみこと)の神紋が輪切りにしたキュウリの形に似ており、畏れ多いと氏子が食べることを遠慮したものと思われる。
ただ、祗園神の紋は木瓜(ぼけ)の花が由来なのできゅうりが由来ではない。1765年に書かれた当時の福岡の歴史を伝える「石城志」では「俗説のまどい、笑うにたへたり」と記されている。

このきゅうりにたいするタブーは小学校の給食献立表にも表れており、7月1日から15日までの山笠期間は献立表に「きゅうり」の文字がない。食材豊富な現代にあえてきゅうりを出して山笠に出る子供がきゅうりを食べた・食べないで争いになる事を考えたら・・・という意図があると言われている。

ただ、迷信や言い伝えの一種であるので、近年では食べる事を気にしなかったり、「きゅうりを縦割りにしたら祇園紋じゃないから大丈夫たい!」という舁き手もいるらしいのだが、怪我をしたら「キュウリを食べたけんたい」と言われる事もあるわけで、その真偽はともかく一歩間違えたら大怪我をする危険な祭に参加するという事で今もなお「禁忌」として守られている。

また、最近は同じ理由で「オクラ」を食べない舁き手もふえているらしい。なるほどと言える形状である。新しいタブーとして「定着」するかも知れない。