博多祇園山笠用語辞典 YAMAKASA DICTIONARY

福岡(ふくおか)

「福岡」というと「福岡県」もしくは「福岡市」を指すイメージがあるが、山笠に出る者にとっては福岡は「天神」方面の事を指す。「福岡部」とも言う。

古代から商人の港湾都市として栄えた「博多」に対し、「福岡」は江戸時代に黒田氏が封ぜられ福岡城を中心に栄えた武家町。
このように都市の性格が異なるのだが、明治時代に博多・福岡をまとめて1つの市「福岡市」として市制施行されて以来、現在に至る。

6月28日頃から行われる飾り山の人形飾り付けにおいて、人形師は「左側」を指示する際に「福岡」と指示をする。これは博多から見たら福岡は左手側(西側)に位置するため。
飾り付けの指示をする際、「右」「左」の指示だと「素山」に上った若手が左右の混乱を起こしてしまうので、地元の者なら絶対分かる位置関係を地名で表している。人形師によっては「姪浜」とも言う人もいる。
なお、右側は「箱崎」という地名が使われる。

「福岡」と「博多」

前述のように、「福岡」と「博多」は、発展した過程や町の性格、時代背景が異なった地域であるため、特に博多に長らく住む人には互いを並べる事に違和感を感じる人が少なくない。(逆に福岡側の人はそこまでこだわりがない人が多い。)
そのため、東京など他県で「博多天神名物」や「福岡博多名物」という言葉を使っているの飲食店に対しては、「あそこは福岡の歴史を知らないもぐりだ」と機嫌が悪くなる人もいるとか。
博多の人が博多という土地に対し愛着とプライドを持っている事がよく分かるエピソードである。

有名な話としては、明治22年(1889年)に博多と福岡をまとめて1つの市「福岡市」として市制施行した際、博多部の人から「福岡市」という名前に猛反発があった。主張としては「博多市にすべき」と建議に掛けて議員投票に持ち込むも、わずか1票の差で「福岡市」が採択され、博多の人達は涙を飲んだ。
しかし、その建議が行われた明治22年に博多~千歳川(久留米市にあった仮駅)間の国営鉄道が開業。その駅の名前を「博多駅」という名前にする事で、「福岡市」という名前に反対していた博多部の人達と痛み分けの手を打った・・・と言われてる。

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