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博多祇園山笠用語辞典 YAMAKASA DICTIONARY

山笠ナビ博多祇園山笠用語辞典きゃなるしてぃはかた

キャナルシティ博多(飾り山笠)(きゃなるしてぃはかた)

キャナルシティ博多は、福岡市博多区住吉一丁目にある複合商業施設。施設は7つの建物群から構成されており、地下1階には疑似運河(キャナル)が流れている。建築デザインは、六本木ヒルズやリバーウォーク北九州、大阪のなんばパークスをデザインしたアメリカ人建築家ジョン・ジャーディ。
一時間に一回、その運河から音楽に合わせて踊る「サンプラザ噴水ショー」(ダンシングウォーター)が行われており、夜は施設壁面及びガラス面を活かした3Dプロジェクションマッピングと、ウォータースクリーン、コンサートホール並の音響、さらに照明演出が加わった総合エンターテイメント「キャナルアクアパノラマ」が上映される。
サウスビルからは上川端商店街に向かって連絡歩道橋が掛かっており、櫛田神社、上川端通、博多座、博多リバレインに移動しやすくなっている。また福岡市営地下鉄「櫛田神社前駅」へも直結したエレベーターもあるため、利便性が大変高い商業施設となっている。

地下1階中央の運河には円形のステージ「サンプラザステージ」があり、ほぼ毎日様々なイベントが行われており、週末を中心に音楽ライブなどが行われている。

その「サンプラザステージ」に飾り山笠が立てられる。山小屋は建てられない。施設は多階層構造の建物であるため、各フロアから飾り山笠を望むことが出来る。
また完全吹き抜けのステージであるため、上空には巨大な傘が取り付けられ、これでステージの雨をしのぐ仕様となっている。

福岡地所の関係者に大黒流の寿通の人がいた縁から、寿通の人が加勢として参加している。

標題は、表は山笠の伝統的な飾りが、見送りにはキャナルシティ博多での催しを題材にした飾り(「ターミネーター3」「キャッツ」「ゴジラ」)やお伽噺が多かったが、2021年より表・見送りと共に伝統的な山笠飾りが飾られる事が多くなった。

歴史

現在の場所は、鐘紡(カネボウ)の工場や駐車場などがあった「カネボウプール」の跡地で、福岡地所が博多のにぎわいの復活に寄与するとしてマンション建設計画を変更し、大型複合商業施設建設に計画を変更した。

キャナルシティ博多と目と鼻の先にある上川端商店街は、1975年(昭和50年)に商店街近くを走っていた路面電車が廃止され、衰退の流れに危機感を強めていたこともあり、キャナルシティ建設について様々な意見が上がったが、商店街は「大型施設を競争相手ではなくパートナーととらえ、歩調を合わせる道を歩む」事にし、「商店街と施設を結ぶ歩道橋を付ける事」を条件にし、キャナルシティ博多の建設に了承した。

様々な問題や困難を乗り越えて、1996年(平成8年)4月20日にキャナルシティ博多が開業。
同年、キャナルシティ博多から飾り山笠の建設申請があり、博多祇園山笠振興会は「来年以降も継続的に建てること」などを条件にこれを了承した。これによりキャナルシティ博多は改行1年目より飾り山笠の奉納に参加する。初年度の標題は「オープンの年にふさわしいめでたい題材」として、表が歌舞伎の 「連獅子」、見送りが「寿開運宝船」(共に置鮎琢磨人形師)。

アクアパノラマ「YAMAKASA」

2017年(平成29年)より、山笠期間(7月1日~14日)限定で、アクアパノラマ特別プログラム「YAMAKASA」の上映が行われている。

上映は夜の回に行われ、周囲のライトが消えた後、ワシントンホテルの壁面に「櫛田入り」の映像と共に、激しい太鼓の音に合わせて、舁き手らの汗しぶきをイメージしたような噴水が乱舞する。最後に天高く噴水が吹き上がると「博多手一本」が鳴り響く。上映時間は約4分間。

「博多祇園山笠」については商業利用に制約があるが、この上演は博多祇園山笠振興会の協力で実現した。なお、映像に使われている素材は、博多祇園山笠振興会、福岡市、九州朝日放送、八田公子氏(写真家)が行っている。

「雲」のプレート

多階層構造の建物であるキャナルシティ博多は飾り山笠上空を人が通過する形の建物ではないのだが、飾り山笠を見下ろすことが「御神体を見下ろす」という事に繋がり恐れ多いとして、サンプラザステージの壁に「雲」のプレートが取り付けられている。
調査したところ、2022年5月の博多松囃子の「稚児舞」時に雲が初めて付けられたとの事。山笠では2023年からは正式に設置されるようになったらしい。

中国での展示

キャナルシティ博多は2001年に台湾・台北市のショッピングセンター「微風広場(ブリーズ・センター)」と業務提携。2002年(平成14年)3月に「微風広場」から旧正月事のランタンをもらって展示したお返しとして、8月16日から9月8日までキャナルシティ博多の飾り山笠を「微風広場」に展示した。アジアでの飾り山笠の海外展示は初めて。
現地には博多祇園山笠振興会の役員や櫛田神社の阿部憲之介宮司が渡航し、一般公開前に御神入れの神事を行った。記念式典には余政憲内政部長(大臣に相当)も出席。現地の新聞やテレビも詳しく報道した。

2013年(平成25年)には、中国江蘇省南京市の大型商業施設「南京水遊城(アクアシティ)」にて展示された。南京水遊城はキャナルシティ博多をモデルにした商業施設で、この展示は開業5周年の記念イベントとして企画されたもの。(※以下の写真はキャナルシティに飾られた時の飾り山笠)

この時の飾り付け作業が大変ハードだったようで、人形師や山大工らは予定通り南京に入ったものの、山台や矢切材料や人形などを積んだコンテナが検査の時間に間に合わず予定通りに到着しなかったり、到着したのはいいが突発発生した港湾ストに巻き込まれてしまってやっぱり荷物が到着しなかったり、届いた荷物だけで先行して矢切を組むも足りない材料が出てきたので現地で調達したり、この年は例年にない酷暑で気温は41度を超えてたり・・・と予想だにしなかったトラブルが次々と発生。結果、作業日が僅か1.5日しかなくなり、超暑い真夜中に関係者は徹夜で飾り付けを行い、何とか翌日の記念式典に間に合わせた。
この”灼熱の南京山”エピソードの数々は、現場で作業を行った関係者の間では語り草になっている。

「立ちねぷた」人形の展示

2011年3月に発生した東日本大震災で苦しむ東北へのエールを込めて、2011年(平成23年)から2021年(令和3年)まで、青森県五所川原市の「立ちねぷた」の手法を使った山車灯籠が飾り山笠に飾られた。青森県五所川原市出身で古賀市でランタンアーティストとして活躍する三上真輝さんが手がけた。

山小屋の場所

最寄りの交通機関

福岡市営地下鉄「櫛田神社前」より徒歩3分、「中洲川端」「祇園」より徒歩10分
西鉄バス停「キャナルシティ博多前」より徒歩1分

当番法被

「Canal city(キャナルシティ)」の「C」の字をあしらった意匠を使用している。