山笠の役職を表す手拭いのひとつ。
最初に授かる役員手拭であり、赤一色で染められた手ぬぐいから「赤手拭(あかてのごい)」と呼ばれる。舁き手の間では略して「あかて」とも呼ばれる。
各町内から数名選出された「赤手拭」は、山笠を実際に担ぐ若者で、取締を補佐し若手を統率する役目を担い、山を運営するためのあらゆる仕事に従事する。いわば、山笠を動かす”実戦部隊”である。
その昔は、若者組の中から年功や出場日数などを考慮し、年寄が厳選して任命していたため、絶大な権威があった。山笠運営の現場指揮官として若者たちを督励する役目から、山笠に参加する若者たちにとっては「赤手拭いになる」という事は憧れの的であったという。
仲人の「この人は赤手拭いをしとります」という紹介は何よりの人物評であったし、結婚相手も「赤手拭いなら嫁にやろか」と判断されていたことからも、赤手拭い=一人前という判断をされていた。
「土居流山笠記録行町書抜き」によると、1856年(安政3年)「昨年設けたる山笠世話役に本年の当番(行町)より赤手拭を渡す。これより右世話役の名を赤手拭と称するなり」と記されている。