2025年6月1日になりました。7月1を一か月後に控え、いよいよ本年度の博多祇園山笠の準備期間に入ります。本日より博多祇園山笠は長法被(当番法被)が解禁。祭りのシーズンがやってきました。
4月末から飾られてきた鯉のぼりも昨日5月31日を持って外され、清道旗を立てられる態勢になりました。
準備期間突入という事で、各流は山笠の準備を開始。本日早朝から長法被姿の男達が早速作業を開始しました。
八番山笠・上川端通は本日棒洗い。舁き棒を櫛田神社から借り受けるため、朝7時前から当番法被に身を包んだ男達が櫛田神社に集まります。
作業前に、長崎正洋総務から「怪我をせずに準備をしましょう」と挨拶があり、まずは皆で櫛田神社に参拝しました。
御利益がある様、御神牛を一さすりする人も。
神庫のシャッターが開けられると、預けておいた舁き棒を全員で慎重に下ろしていきます。なにしろ一年間、預けておいたので一年分の誇りと汚れが付いており、運び出すたびにもうもうと上がる誇りに「うわっ!」と苦笑いする声があがります。
6本の舁き棒をすべて降ろしたら、軽トラックに積み込んで博多湾の埠頭にある櫛田神社浜宮に運び入れます。浜宮で海水を掛けて舁き棒を洗い清めるのです。
博多区呉服町では、先日地鎮祭を終えた五番山笠・恵比須流が注連下ろしの行事の準備を行っていました。神事後、山小屋が建つ場所の辻に張る注連縄の笹竹の選定を行っていました。
博多湾の埠頭にある櫛田神社浜宮は、少々日差しが強く感じながらも程よく風も吹き、気持ちのいい天気に包まれています。
櫛田神社より運び出された上川端通の舁き棒は、浜宮の境内に運び込まれていきます。
上川端通の棒洗いは、6月に入って一番最初に行われる山笠神事であるため、マスメディアが毎年多く取材に訪れます。今年もたくさんのメディアが取材にやってきています。
岸壁では紐をつけたバケツを海面に降ろし、棒を洗い清めるための博多湾の海水を汲み上げます。
午前8時30分、上川端通の棒洗いの神事が始まりました。
櫛田神社の神職は祭壇を祓い清めた後、汲み上げた海水と舁き棒を祓い清め、いよいよ棒洗いが開始です。
まずは汲み上げた海水を舁き棒に掛けながらタワシを使ってゴシゴシ洗い進め、ある程度洗ったら真水を掛けながらさらに磨き上げていきます。時折棒を回転させて返しながら、表・裏まんべんなく洗い進めていきます。参加者からは「濡れた木の匂いが山笠の匂いやな」と笑顔で話す人もいました。
「すみません!迫力ある水をお願いします!」とマスメディアのリクエストに笑いながら答える上川端通の人達。「掛かっても知らんよ!」と言って派手に水を上げてリクエストに応えます。毎年お馴染みのやりとりなので、撮影側もしっかり防水ガード。カメラにレインコートを掛けて準備万端の撮影風景です。今年は参加者同士で水を誤爆しびしょびしょになるなど、笑いが絶えない撮影タイムでした。
最後は長﨑総務が玉串を奉納し、これから始まる1か月半の安全な奉納を祈り、上川端通の棒洗いは無事執り行われました。
準備は流の行事だけではありません。各町でも山笠の準備がスタート。舁き縄作りや芳名板立て、山小屋の準備などの風景があちらこちらで見られました。
午前9時からは、恵比須流の注連下ろし行事が開始。当番法被姿の男達が、山笠準備期間最初の行事に参加しました。
櫛田神社の神職が、参加者を祓い清め、祝詞を奏上します。
祝詞があげられた後、浄め祓いの儀が行われ、山笠に使う道具や手拭、辻々に張る注連縄と笹竹が祓い清められます。道具らを祓い清めた後、山小屋が建つこのエリア(通り)の出入り口を、神職が大幣を振り切幣を撒いて祓い清め、この地を神格化・清浄化しました。こうやって祓い清めた事で、神が下りる山小屋を建てられるようになります。
最後に藤波総務が玉串を奉納し、無事神事は執り行われました。
神事後の囲み取材にて藤波総務は「皆同じ思いを持って心を一つにし、共同作業をする事が大事。今年の山笠は安心安全なケガがない山はもちろんだが、きれいな山笠を奉納したい」と気持ちを語りました。
神事後に参加者は注連縄を張った笹竹を、神事で清め祓ったこの場所の出入り口の辻にそれぞれ立てかけ聖域化しました。
午前9時からは七番山笠・大黒流の当番町である古ノ一が棒洗いを行いました。
こちらもメディア用のリクエストタイム。「もう少し水大目で」などのリクエストに応じて棒を洗っていました。
神事が終ると、舁き棒はきれいに噴き上げられ、再びトラックに積み込まれました。後日行われる小屋入り神事で祓い清められた後、棒締めが行われる予定です。
大黒流の新島啓二総務は取材にて「お祭ですから安全に楽しい山笠にしたい」と抱負を語りました。
本日行われているのは行事だけではありません。本日博多の街では、NPO博多の風が主催する毎年恒例のイベント「博多のおいしゃんと歩こう 第22回追い山笠コース探訪」が行われ、長法被姿のメンバーが案内役となって7月15日の追い山笠コース(約5km)をウォーキングするイベントが行われました。
5キロの追い山コースを、いろいろな話を織り交ぜてメンバーが道中を案内。参加した人は山笠コースの5キロメートルを楽しみました。
午前10時30分からは、四番山笠・千代流が小屋入りの神事を行いました。
千代流の専用倉庫には、山小屋や舁き山笠に使う部材や道具、鉄砲などに使う藁などが並べられられ、神事でお祓いを受けます。
櫛田神社の神職が参加者を祓い清めたあと、きれいに並べられた部材や道具を祓い清め、今年の山笠の無事奉納が祈願されました。
また、千代流も山小屋が建つ場所に繋がる道の辻々に注連縄を張った笹竹を立てて、山小屋が建つ場所の聖域化を行いました。
午前11時からは、今年の一番山笠を務める東流が山大工の作業場にて小屋入りを執り行いました。
整然と積み上げられた山笠台に使う部材や道具の前に祭壇を作り、小屋入りの神事を行います。
山笠台を作り上げるこの作業場の四隅を櫛田神社の神職が祓い清め、ケガや事故がなく無事作業が出来るよう祓い清めて回ります。
場所を祓い清めた後、山笠台の部材も大幣と塩によって祓い清められました。
最後に梅津竜次総務が玉串を捧げ安全奉納を祈願。参加者も共に祈願し、一番山笠としての無事奉納を祈願しました。
午後3時からは、法被姿で参加する今年初めての山笠総会が行われ、各流、各飾り山笠、その他関係者の代表が一堂に会して、これから本格的にスタートする山笠の詳細な内容の議題についての審議を行いました。
武田忠也振興会会長は「法被を着ると気持ちが違うと思います。どうか7月15日までよろしくお願いいたします。」と挨拶を行いました。
また櫛田神社の阿部憲之介宮司は「今年は遷宮の年を迎えますが、お宮の本来の目的は『地域の平安と繁栄を祈る』です。山笠を通して地域に活気を取り戻してもらいたいと思っています」と、来賓として出席した高島福岡市長は「今、博多・福岡天神と町が変わっている時ではありますが、歴史を持つ山笠の変わらない伝統をしっかりと守っていってもらっている皆様に敬意を表します」と挨拶しました。
総会の議題では山小屋に関する事、宣伝に関することなど多岐に渡る内容が確認され、一番山笠・東流の梅津代表が「暴力追放・飲酒運転撲滅宣言」を読み上げ全員一致で承認されました。
いよいよ始まった2025年度の博多祇園山笠。明日6月2日には今年の飾りの標題が発表され、毎年恒例の承天寺での夏祈祷が行われます。