来週末に体育祭を控えた博多中学校(博多区対馬小路)にて、体育祭で披露する「博中山笠」の準備が行わました。博多中の3年生は「博多の伝統文化を学ぶ」という趣旨で、山笠を通して博多の文化を学習・体験を行っており、本日は各生徒それぞれの持ち場で山笠の準備を行いました。
グラウンド横では、校区の大人の男性で構成された「はっぱの会」の指導に従って、生徒の手によって山笠台に舁き棒を取り付ける「棒締め」が行われます。棒締めとは、舁き山笠の土台である山笠台に、台を持ち上げるための6本の長い棒を取り付ける作業で、古来からの技術で釘などは一切使わず縄一本だけで棒を締めあげて台に取り付けます。
通用廊下では、「縄ない」と呼ばれる舁き縄作りが行わます。舁き縄は山笠を舁く時の命綱の役割を果たします。実際に山笠に出ている「はっぱの会」の人達の説明に、生徒達は真剣に耳を傾け、自分たちの命を託す舁き縄作りの早速挑戦しました。
博中山笠の準備を行うのは男子生徒だけはありません。家庭科室や廊下などでは、女子生徒が手拭に年度を刷り入れてアイロンを掛けたり、舁き山笠の飾りを作ったり、標題を筆耕したりするなど、生徒が一丸となって準備を進めます。
棒締めでは、山大工が縄の準備を行ってくれますが、作り上げるのは生徒の力。先週のお汐井取りもそうですが、博多中学校の山笠は「自分たちの力で山笠を作り上げる」という事に重点が置かれています。
「棒締めたー」の掛け声が掛かると、生徒が「棒締めたー棒締めたー」と歌いながらおやし棒と呼ばれる縄を締め上げる棒が下げられ、締め上げられていく舁き棒に掛けられた縄に木槌を振るいます。
「全然声出てないぞ!」「全然締まってないぞ!力を入れろ!」「叩け!叩け!」・・・ちょっとでも生徒の気が緩もうなら、地域の人達から生徒達に檄がバンバン飛びます。山笠はちょっとでも間違えたら危険な祭り。皆で協力してしっかりとした山笠を作り上げることが大事です。
「バキッ!」大きな音を立てて、おやし棒が途中で折れてしまうハプニングも。生徒の力が入りすぎたようです。万が一を考えてスペアのおやし棒が準備されていたので、このスペアを使って作業は続行。
最後の一本では、皆で紐を引っ張って締め上げ、6本の舁き棒は山笠台に無事取り付けられました。
最後に、山笠台の上に「枝折」と呼ばれる山笠の天板が取り付けられ、完成です。
出来上がったばかりの山笠台をグラウンドへ運び入れます。山笠台にしっかりと舁き棒が取り付けられたかを確認する試走「試し舁き」を行い、具合を確認するためです。
山笠台の上には、教頭先生や担当の先生方が台上がり。台上がりする先生の名前が告げられると、何も聞かされてなかった台上がりに任命された先生方は苦笑い。子供たちが「オイサ!オイサ!」と先生達をはやしたてます。
その光景を、笑顔で校長先生が見ているのがとても印象的でした。
目指すは、グラウンドの端の方に立てられた赤地の清道旗。女子生徒が応援で清道の後ろに並びます。
「1分前!・・・30秒前」「10秒ぐらいしか空いてないですけど!」そんなわちゃわちゃしたやりとりの中、一番山笠の舁き出し時間が迫ります。
「ヤーッ!」先生を乗せた姓が作り上げた一番山笠の山笠台が、ドッと駆け出しました。
次に二番山笠の試し舁きです。「5秒前!」のコールから3つ数え、ドンと二番山笠が舁き出しました。
「オイサ!」「オイサ!」の掛け声を響かせ、砂埃を上げながら走る山笠台。清道旗をぐるっと回り切り、折り返してきます。
「まだまだ!ゴール地点はあそこぞ!」檄が飛ぶ中、舁き手の生徒達は一生懸命に山笠を舁き切り、無事試し書きを終えました。
閉会式で、棒締めや縄ないなどで手伝ってくれた地域の人達にお礼を述べた生徒達。
博中山笠は来週土曜日に飾り付けを行い、日曜日いよいよ本番を迎えます。それまで山笠台はしばしの休憩。大人たちの手で通用口に運び入れられました。