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「博中山笠」に向けて、博多中の男子生徒が「棒洗い」と「八文字掛け」を行いました

本日より5月に入り、今週の土曜日には博多の春のお祭り「博多どんたく港まつり」が始まります。

明治通りには、どんたくパレードの出発点となる呉服町本舞台の準備が進められています。

そんなどんたく直前の博多の北のエリア、6月に入ると山笠の棒洗いが行われる櫛田神社浜宮。まだまだ棒洗いの看板も出ておらず静かなのですが・・・

台車の音を響かせて、浜宮にやってくる一群が。

彼らは博多中学校の男子生徒達。博多中は今月18日に行われる体育祭を控えており、そのプログラムの中で男子生徒は毎年「博中山笠」を披露しています。今日は舁き山笠の舁き棒を洗うための海水を汲み上げに来ました。まずは浜宮の祭壇に向かい、全員で拝礼します。

本来であれば舁き棒を浜宮に運び入れて境内で棒を洗うのが通例ですが、博中山笠は合計12本の舁き棒を浜宮に持ち込むことが難しいため、博多湾の海水を汲み上げて持ち帰り、持ち帰った海水を使って「棒洗い」を行っています。

指導教員から「バケツにロープをしっかり結んで」「バケツを海に”放流”しないよう、ロープの端っこはちゃんと握って」とし指示がある中、男子生徒たちはワイワイ言いながらバケツにロープを括り付け、次々にバケツを博多湾に投げ込みます。

汲み上げた海水は、台車に乗せて持ってきた大きいバケツに移し入れていきます。この時間は満潮の時間帯だったので、海面が高く海水を組みやすく、生徒達は競うように水を汲み上げていきます。

「あーーーーっ!」

やってしまったバケツの”放流”。現場は蜂の巣をつついたような大騒ぎに。生徒は、バケツでバケツを救おうとしたり、近くに落ちていた棒で何とか手繰りよせようとあらゆる手を講じます。

浜宮の向かいの野母商船の方が手助けしてくれて、教師が紐を手繰り寄せ、何とか落としたバケツをすくい上げました。

・・・が、「あーーーーーっ!!」。バケツをすくい上げた直後、別の生徒が誤ってまたバケツを”放流”。あきれ返った笑いが起きる中、再びバケツをすくい上げられました。

にぎやかな空気の中、棒洗い用の海水汲み上げが終了。

バケツをひっくり返さぬよう、慎重に慎重に中学校までの約1キロの道を、ガラガラと音をたてながら引き返していきます。

博多中学校のグラウンドには12本の舁き棒が並べられ、棒洗いの準備が整っていました。

待っている生徒は、鼻冠で張り付けた金色の紙をきれいにはがす作業を行います。

海水が到着し、山大工が生徒を集めます。山大工は棒洗いの神事の大切さと神聖さを説明し「安全安心に作業を行えるよう声を掛け合って怪我がないよう行ってください」と伝え、生徒の呼応と共に棒洗いが始まりました。

汲み上げてきた海水を舁き棒にかけ、縄を束ねて作ったたわしで舁き棒の汚れを落としていきます。

洗い終わったら真水をかけ、雑巾で水気を拭き上げていきました。

渡り廊下では、山笠台に何重も縄を掛ける「八文字掛け」を行います。山笠台も生徒たちが作り上げたもので、小縄巻と呼ばれる縄掛け作業も生徒たちが行いました。
博多の伝統を学ぶため、山笠を作るために行われる棒洗いの行事も行い、山笠台作りも最初から生徒が手掛けるのが、博多中の博中山笠の特徴です。

「八文字掛け」とは、山笠台の対角線の足の上部・下部に麻縄を掛けて締めていく作業です。台脚の「八」箇所を締めあげ、出来上がると対角線状に張られた形が漢字の「八」に見える事から、この縄の部分を「八文字」と呼ばれます。

山笠はとても重く、大勢の男が持ち上げ、しかも勢いをつけて走るため、山笠台には大きな衝撃が発生しますが、その衝撃をこの八つ文字が吸収してくれるという重要な役割を持っています。

山大工の指示に従い、一巻き一巻き力を入れながら締め上げながら幾重にも縄を掛けていきます。11回回し掛けたら一本目がようやく終了。残り3箇所にも縄を掛けていかなければなりません。

山大工は釘を使わずに、縄の間に縄を通す古来からの手法で縄の両端を繋ぎ留め、掛けた縄が外れない様にしていきます。

ゴールデンウィークが終ると、山笠台に舁き棒を締めあげる「棒締め」、そして「飾り付け」「お汐井取り」を行います。本番の「博中山笠」に向けて博中が動き出しました。

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