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承天寺にて山笠の無事奉納を願う”夏祈祷”が行われました

梅雨らしい時折パラパラと雨が落ちる曇天の博多の町。山笠準備期間に入って2日目、山笠の発祥の地とされる承天寺にて、毎年行われている「大般若夏祈祷」が行われました。「大般若夏祈祷」は、毎年6月1日と2日に行われている大般若の眞読の法要で、コロナで山笠が行われなかった年も行われた、承天寺の重要な法要です。

博多祇園山笠は、鎌倉時代、仁治2年(1241年)博多で疫病が流行した際に承天寺の開祖・聖一国師が町民が担いた施餓鬼棚にのって、祈祷水を撒きながら町を清めてまわり、疫病退散を祈願してまわったことから始まったとされており、方丈には聖一国師が乗ったとされる施餓鬼棚のレプリカが置かれています。

2020年、2021年はコロナ禍の影響から、法要に参加する人も、読経する住職さえも減らして行われたこの夏祈祷。2020年はわずか5名、2021年は7名の住職しか法要に参加できませんでした。しかし2022年は山笠が復活したことで読経する住職も増え、今年2023年はほぼ同じ人数まで戻ることとなりました。

祭壇の上には、山笠関係者に配られるお札と山笠に取り付ける木札が並べられています。

読み上げられるのは、全部で16部600巻に及ぶ『大般若波羅蜜多経』。かの玄奘が天竺に行って中国に持ち帰った経典でもあります。

午前10時半に櫛田神社を出発した、博多祇園山笠の関係者が承天寺に到着。東流の駅前地区の男たちが世話当番を務め案内します。

午前10時55分。住職が鐘を打ち、法要の開始時間を知らせます。その鐘の音を受けて法要に参加する住職らが北条に入室。夏祈祷が始まります。

祭壇に置かれたお札らを神保住職が祈りを捧げ、山笠の無事奉納を祈願します。

そして太鼓と鐘が打ち鳴らされる中、住職らによる読経が始まりました。

荘厳で力強い読経が行われる中、鐘の音を機に住職らは前に置かれた櫃を開け『大般若波羅蜜多経』を取り出します。

鐘の音がひときわ強くなると、ひときわ強い読経と続けながら経典を高く掲げて上から経典を落とすかのようにパラパラとめくります。これは『転読(てんどく)』とよばれ、経典の題名と初・中・終の数行を読みあげながらパラパラとめくる事で、全体を読んだことにする読経の方法で、夏祈祷はこの膨大な経典群を転読で読み上げる事のが恒例となっています。

転読の読経が鳴りび引く中、部屋の中央で読経を行う神保住職。
方丈に鳴り響く読経をじっと聞き入る博多祇園山笠関係者。

経典を読み上げていた神保住職が手にした経典を最後まで読み終わると、その経典を転読して再度読み上げます。
その転読を合図に、全員でお経を読み上げる「声明」(しょうみょう)が始まります。

最後に神保住職らが、両手・両膝・額を地面に投げ伏して祈る「五体投地」という最も丁寧な礼拝を行い、夏祈祷は無事終了しました。

住職の退室後、山笠関係者は祭壇に礼拝し、山笠発祥の地で今年の山笠の無事奉納を祈願しました。