流舁きが終わり、しばしの平穏が訪れた博多の街でしたが、夜のとばりが落ちた頃、静かに追い山笠の準備が始まります。
午後9時前から上川端商店街の川端ぜんざい広場では、一年飾られた昨年の八番山笠の飾り「慶 歌舞伎十八番押戻」と「外郎売」の飾りが飾り山笠から降ろされていきます。作るのは数か月、飾り付けは2日、そして解くのは僅か数時間。飾りは人々の記憶に残って、飾り山笠はみるみる骨組みだけになっていきます。次にここに来るのは今年の人形飾り。一年のお勤めをねぎらうかのように丁寧に下ろされていきました。
飾り山笠は追い山笠が始まる前にすべて解かれなければなりません。人形師や山大工は大急ぎで担当した飾り山笠の山解きを行っていきます。
日が変わり、7月15日になると、追い山の準備は急ピッチで始まります。東流では役員の集合を伝える「もーろーろー」が始まりました。雨脚は強弱を付けながら断続的に降り続いています。
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— 木原英雄 (@totsukagumisawa) July 14, 2024
今年の山笠も終わったんだなと感じた https://t.co/EDewen49ze pic.twitter.com/xDFwRdErAD
— すーさん (@susanAOI_yellow) July 16, 2024
昨晩の福岡です。
— ピーちゃん (@bdfb6obo) July 15, 2024
山笠が終わりました。
今年の飾り山も、このように壊されました。
(いつものように、写真のポストが出来なかったんです。) pic.twitter.com/bV0ngQI8fu
雨を耐え忍びながら桟敷席の開門を待つ人たち。午前2時、予定通りの時間に開門され雨の中、夢に見た追い山笠の桟敷席に入り、自分が選んだ席に着席していきます。
午前3時を過ぎると、桟敷席の沿道は人垣でびっしり埋まりました。空からは雨。時折激しく降る悪天候。時折拭く強い風。それでも追い山笠を見たいという人がこの場所に集まっています。今年は安全強化のため、「沿道での傘が禁止」が強くアナウンスされ、雨が降る中警備員などからも「傘は閉じてください!」と注意が飛び交っていました。
この悪天候に参加者も四苦八苦。山列入りの途中、先走りの子供達はバスタオルにくるまって、コンビニでホットコーヒーを買う舁き手の人も。「この雨と風の中、あと一時間もこの格好で待たないといけないんですよぉ。寒い寒い。」と苦笑いしながら手打ちに行った舁き手もいました。
タクシーで見物乗り付けた人もたくさんおり、国体道路ではお客を下ろしては引き返していくタクシーがひっきりなしに続きます。この時点でまだ午前3時です。
今年話題をさらった上川端通の見送りのガンダム飾りは、闇夜にLEDが映え、まるで宇宙空間で戦ってるかのような雰囲気を出しており、山据えの見物に来た人の注目を集めていました。
午前3時になると、混雑の状況から櫛田神社の正門が締められ、拝殿では祇園例大祭が開始します。
午前4時を過ぎると、西鉄電車やJR、市営地下鉄の追い山特別運行が博多に到着。承天寺から旧東町筋の辺りは一気に人が増え、身動きが出来ない状況になってきます。
午前4時を過ぎると、西鉄電車やJR、市営地下鉄の追い山特別運行が博多に到着。承天寺から旧東町筋の辺りは一気に人が増え、身動きが出来ない状況になってきます。これは他のエリアもそうで、この午前4時を機にどっと博多部は込み始めました。
止む気配がない雨、時折激しく降る雨により、清道内には水が浮き始めています。それでも追い山笠は齋行されます。
午前4時50分、激しい雨の中、一番山笠大黒流の先走りの子供達が招き板を持って清道に駆け込んできます。清道の旗を一周し、口上を述べた後、博多の町へ飛び出していきました。
そして、7月15日午前4時59分。その時がやってきます・・・!
大太鼓の音と共に、一番山笠大黒流の舁き山笠が清道へ。能舞台前に据えられると、大黒流の男達は素早く手拭を外し、博多祝い唄を唱和。大雨の中、桟敷席に座り続けた見物客や沿道の人達が一体となって、共に祝い唄を歌いました。
その後、二番山笠以降が五分毎に次々と櫛田入りを奉納。博多の街に飛び出していきます。
ここの辺りから、桟敷席に座っている山笠ナビのサポートスタッフのカメラに異変が。あまりの大雨と、休みなく降り続いたことにより、カメラのレンズが曇り始めてしまいました。
櫛田神社の清道を出た舁き山笠は、二本目の清道旗がある東長寺を表敬した後、三本目の清道旗がある承天寺を表敬します。そしてその勢いで道幅が狭い旧東町筋へなだれ込んでいきます。
なお、この時点で山笠ナビ編集長のカメラも大雨で動作トラブル。以降の撮影はスマートフォンでの撮影を余儀なくされました。
旧東町筋から道幅が広い大博通りを走った後は、再び道幅が狭い旧西町筋へ。旧”難所”の90度のカーブをぐいっと曲がると喝采が上がります。今年から安心安全対策として、従来より一、二歩後ろに下がった場所にロープが張られ、見物客はそのロープの後ろから難所を曲がる舁き山笠を見ました。
舁き山笠は浜側のエリアへ。いよいよゴールの須崎の廻り止めが近づいてきました。
舁き山笠が次々と廻り止めの幕の下を潜り、最後七番山笠土居流の舁き山笠が通過すると、大きな拍手が上がり、全ての舁き山笠の奉納が無事行われました。
石村萬盛堂横にタイムの掲示が行われ、皆今日の追い山笠をを思い返すかのように携帯で写真に収める姿が見られました。
舁き山笠は山小屋に戻り、飾りを取り外して来年の山笠に向かいます。
一番山笠の当番町を務めた大黒流の麹屋番は、飾りを外した後、やってきた来年の当番町である古ノ一に山笠台を引き渡します。
手を入れた後、素山に両町が表・見送りに棒に付き、古ノ一に山笠台を持って行き、当番町を引き継ぎました。今年の山笠は終わりましたが、また新しい山笠が今日から始まるのです。