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一番山笠・東流が棒締めと試し舁きを行いました & 上川端通が飾り付けを行いました

明日で6月が終わります。明日30日の夕方には、櫛田神社をはじめ各神社で一年の半分の折り返しとなる6月の大祓行事いわゆる「夏越祭」が行われます。そして明後日はいよいよ7月1日、博多祇園山笠が開幕します。
櫛田神社には桟敷席が出来上がり、太鼓櫓と山留櫓が作り上げられ、山笠の開幕待ったなしの状態となりました。

6月最後の日曜日となった、本日6月29日(日)、飾り山笠の飾り付けの最後を務めるかのように、八番山笠・上川端通の飾り付けが行われました。

午前6時半、手伝いの人や上川端通の男たちが集まり、山笠台に掛けられていたブルーシートを取り外し、台の下に置いていた飾り付けの道具や跳木などを取りだして飾り付けの準備を開始しました。

搬入した飾りは一旦ぜんざい広場の中に。人形飾りをはじめ様々な飾りが所狭しと並べられています。

今年の表の標題は『ヤマタノオロチ』。8本の首を持つ巨大なヘビ「八岐大蛇」に使われている鱗の数は何と1,100枚以上、全て貼りつけるのに一週間かかったそうです。

そして、なんと言っても今年の標題で話題となっているのが、見送りの『TVアニメ【推しの子】』。【推しの子】の山笠飾りが初めてその実体を現します。

昨年”ガンダム”山笠を手掛けた田中勇氏の今年の作品で、SNSでは「田中人形師が作るなら間違いない」というようなコメントも見受けられおり、今年もその期待にそぐわない妥協しない出来具合です。

例えば「ルビー」が着用しているこの衣装、一見布地を使っているように見えますが、実は発泡スチロール的な素材を切り出して作ったもので、切り出して削ったスカートを彩色し、それに百円均一ショップで買ってきた黒ドットシールを一つ一つ貼って出来ているそうです。下に着用している衣装も、百円均一ショップで買ってきたレース地を加工して活用しているとの事。

髪の毛やスカートの翻る形状もすべて造形として作り上げられており、その凄まじい手間暇具合が一つ一つのパーツに垣間見えます。

山笠の上に上がったらあまりわからない瞳の彩色も近くで見るとこの通り。作品のイメージを完全再現した彩色がほどこされています

飾り付けの準備は進み、山笠を商店街の道の中央に移動させます。

上川端通の飾りの命である三段伸縮式の矢切の動作を確認し・・・

山大工はミーティングを行い、杉壁に付けられた鉄砲などの芯の部分を竹で覆っていく作業を行いました。

落下物などでケガ人が出ない様、作業の安全を確保するため、通路側にメッシュネットが張られます。

午前8時、田中人形師が到着。現場は残りの飾りの搬出と、飾り付けの準備が急ピッチで進みました。

飾り付けはまずは表側から。須佐之男命の人形が山笠の上にあげられ、そして巨大な八岐大蛇が上げられていきます。

上からロープで引っ張り上げられながら慎重に慎重に持ち上げられ、素戔嗚尊の向かって右側に差し込まれます。

「もうちょっと冷泉側にずらしてもらえますか」「頭だけを冷泉に傾けて」と、距離を取って確認する田中人形師。人形の視線などを確認しながら「なるほどなあ、そう見えるか」とぼそっ。「もう何年も飾り山笠の飾付けをやってるけど、一年に一回しかやらないから、毎回新しい発見があるんですよ」と話します。

上川端通りの男達も上を見上げて、飾りの具合を見守ります。

下では次にあげられるオロチの舌をグルーガンを使って止めていく作業が行われていました。

表に一通り大きな飾りが付き終わると、「じゃあ、見送りに移りましょうか」と田中人形師がマイクを通して伝えました。その場の者に”ついに来たか”というピリッとした空気が張り詰めます。話題の飾りであり、そしてガンダムとはまた違う繊細な作りをしている人形を飾ることになるためです。ぜんざい広場から慎重に慎重に見送りの人形が運ばれてきます。

山笠のセンターに配置される「アイ」の背中にある台座との接続をインパクトドライバーで一つ一つ解除していきます。

田中人形師は、パーツが脱落などしないか各接続部分を確認して回ります。

散歩していた保育園の子供達も興味津々で”大きい人形”をじっと見ていました。

さあ、いよいよ人形を引き上げます。大勢の人が人形を支えながら、ゆっくりと慎重に引っ張り上げます。

「足!足!」「指!」「髪の毛!!!」少しずつ引っ張り上げられるたびに、地上から飾りの真下から注意喚起の声が飛びかいます。皆上を見上げながら、不安そうに見守ります。それだけ今回は繊細なつくりをした人形なのです。

「究極のアイドル」が山笠のセンターに配置される様子を、商店街を通行していく方々が歩みを止めて見守ります。

田中人形師は下絵を何度も見ながら、表側と同じように遠目に立って位置と角度を慎重に確認。マイクを使って指示を出していきます。

「アイ」が据えられると、他のアイドルも次々と。上げられるたびに「足!足!足!」「指っ!」「引っかかりそう!」の声がやはり飛び交い、慎重な作業に山笠の上に上がっている山大工から「この人形、繊細なんであまり触りたくないんですけど!」と悲鳴が上がると、皆から同情混じりの笑いが上がりました。

午前中に大きな人形は上げ終わり、午後から細かな飾りが付けられていきます。アーケードの天井を開けて伸縮矢切の二段目を伸ばし、梅雨明けの真っ青な空の下、作業が行われました。

表に使われる飾りは、クラシックな波や岩などが彩色された飾りですが、見送り側はアイドルのステージをイメージしたピンクに彩色された飾りが用意されており、飾り山笠のテーマに合わせた柔軟な飾りが準備されています。

表側には巨大なオロチが鎮座しているため、他の飾りを引き上げるのも一苦労。一旦横側から真上に引き上げられ、天辺のオロチの後ろに差し込まれました。

次々と飾りが上げられていき、田中人形師は細かな角度の指示を出して、飾り付けを進めていきました。

田中人形師がデザインしたこの標題「ヤマタノオロチ」の下絵が描かれた記念扇子が、在庫次第ではありますが山笠期間中に販売される予定の事。もし見つけたら一本記念に購入してみてはいかがでしょうか。

一番山笠・東流は、本日午前8時半より舁き山笠の棒洗いの神事を行いました。櫛田神社浜宮に舁き棒を運び入れます。

櫛田神社の神職のお祓いを受けると、御神酒を注いだ海水を舁き棒に掛け、棒に付いた一年間の汚れを洗い落としました。

洗い清めた舁き棒はトラックに積んでそのまま山小屋へ。本日一気に棒締め・飾り付けまで行う予定なのです。

今日の東流の棒洗いで、櫛田神社浜宮で行われる全ての棒洗い行事が終了しました。注連縄が外され、棒洗いの神事を伝える看板も取り外されて、櫛田神社に返却されました。ここに注連縄が掛けられるのは来年の山笠の時期になります。

舁き棒が山小屋に持ち帰られると、早速棒締めの準備が始まります。一番山笠だけあって注目度が高く、メディアの撮影クルーの人達も多く集まっており、呉服町ビジネスセンタービルの前はちょっとした人ごみになっていました。

棒締めに使われる記念の木槌がきれいに並べられていました。

流の小学生たちが、人ごみの後ろの方から見物していると、流の男が「おい、小学生。特等席に連れて行ってやる。ついておいで。」と、人が少なく屋根があって扇風機が回っている涼しい見送り側に入れてあげました。博多の人の子供達を大切にする風景が垣間見えました。

準備が整うと、梅津総務が手拭を頭に巻きながら棒締めの現場に入ります。山大工の棟梁から先ほどの記念の木槌を手渡されました。

「今から棒締めを行います。よろしくお願いします。」と挨拶した梅津総務が乾杯の音頭を取ると、安全無事な山笠を祈願して御神酒を皆で飲み干し棒締めを開始しました。

「棒締めた!」と最初の掛け声を掛けた梅津総務。「棒締めたー棒締めたー」の合唱に合わせ、自ら木槌を振るい縄を叩いて締め上げました。

棒が締まっていくたびに、次第に山小屋の周りに地下足袋を履いた東流の男達が集まってきます。彼らはもう少しでやってくる試し舁きの時が来るのを待っているのです。

六本の舁き棒がしっかり縛り上げられた山笠台が山小屋からゆっくり引き出されます。

山笠台に梅津総務ら役員が台上がりを行います。辺りは緊張感にあふれ、男達は道を開け、見物人は安全な場所に移動して、その時を待ちます。

信号が変わったタイミングで、カウントが入り「ィヤーッ!」の掛け声と共に、山笠台が凄い速さでスタート。道路に出ると「オイサ!」「オイサ!」の声の中、試し舁きが始まりました。

上東町の坂を一気に下り、明治通り前で引き回されると、今度は一気に坂を上ってきます。

坂を上り切った先の90度の曲がり角を、棒の両端に付けられた鼻縄を持った鼻取りが絶妙なタイミングで力を入れて鼻縄を引き、山笠台をきれいに90度カーブさせていきました。

「入れ!入れ!」「変わっちゃらんかっ!」台上がりからの指示に合わせ、魚町の道を一気に駆け抜け、山笠台は再び山小屋に戻ってきました。

棒締め具合は上々。最後に梅津総務の音頭で手一本が入れられて締められ、午前中に行なわれた棒洗い・棒締め・試し舁きは無事終了しました。

午後からは東流と中洲流は舁き山笠の飾り付けを行い、7月1日の山笠開幕に向けて最終段階に入りました。

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