6月最後の週末がやってきました。山笠開幕まで残すは3日間。飾り山笠の飾付けが急ピッチで進められています。
櫛田神社の桟敷建設もほぼ完成。建設を行っていた巨大なクレーン車もお役御免で撤収しており、久々に広い清道を見る事が出来ます。その清道の桟敷の壁には板が張られました。
本日6月28日(土)、午前7時より一番山笠東流が飾り山笠の飾付け作業を開始しました。
まずは、矢切の天辺に三神の額を飾った天心が取り付けられます。
この時しかハッキリ見ることができない『雲』の紙もしっかり貼られました。
最初の人形を引き上げ始めた所、突如白水英章人形師が「ちょっとちょっと!ごめん!一回その人形降ろして!大事なのを付け忘れた!」と指示したので、引き上げられつつあった人形が降ろされます。急いで白水人形師が出してきたのが・・・
義士の髷!それはそれは武士にとっては大事なパーツです。ポンと付けた瞬間、どっと笑いが起きました。
髷が付いた”完全体”の人形は、無事矢切の上に引き上げられました。
飾りが一つ上がるごとに、白水人形師を下絵を見て飾りの具合を確認。運び込まれた次の人形の準備を施しまていきます。長い槍はぶらぶらしないように、柄の先を針金で足首と繋いで固定しました。こうやって準備が終ると、一つ、また一つと人形を上げて飾り付けを行います。
いよいよ忠臣蔵の主人公、大石内蔵助の登場です。
手に陣太鼓と太鼓をたたくバチを持たせ、背中の針金部分に紐を掛けて山笠に引き上げられていきます。
「もう少し『地下鉄』側に。体は『ドトール』側に傾けて。」と方向を示す言葉で指示。横側に回り込んであとどれぐらい傾けられるのかなどを確認していきました。
一番山笠という事で、テレビ局のカメラも撮影で入っています。
表側の人形が付け終ると、一旦表の作業は終了。続いて見送り側の飾り付けを開始します。
梅津総務も上がっていく飾りをじっと見上げて作業を見守ります。
見送りも白水人形師の指示に合わせて、次々と飾りが山笠に引き上げられ据えられていきました。
二番山笠・中洲流の飾り山笠も本日から飾り付けを開始。午前8時前から山小屋前にはテントが張られ、人形や飾りが運び込まれました。
運び込まれた人形の手足や背中に、表側の飾りを担当する溝口堂央人形師が飾り付けの際に角度を付けたりする針金を取り付けていきます。
見送り側の方にも見送りの飾りがずらっと並べられています。
人形の背中には跳木と呼ばれる人形用の支柱を取り付ける穴が付けられています。この穴に出っ張りを付けた棒を付けて、山笠に引き上げた後に前後左右に動かし、また先ほど取り付けている針金を引っ張ったりしてさらに細かい角度を付けれるようにしています。(※この跳木を取り付ける部分は、人形師によって形状が異なります)
見送り側の担当人形師である中村弘峰人形師が到着。表の溝口人形師とは兄弟子・弟弟子の関係。近況などを確認して談笑していました。
館の裏側には山笠に留めるための跳木を取り付けていきます。
館の細かなあしらいもすべて手作業。山笠の上に上がったらほとんど見えないのですが、見えなくてもこのような細かい細工を施すのが人形師のこだわりなのでしょう。
黒田長政の人形の兜の位置を調整し、兜の緒をきれいに締め直して固定します。
本日の出し忘れ。
— 山笠ナビ編集部 (@yamakasa_navi) June 28, 2025
中洲流飾り付け前の手一本。#yamakasa #山笠 #博多山笠 #博多祇園山笠 pic.twitter.com/ZTS3NGHW6S
午前9時前、飾り付け作業の前に飾り付け作業を行う者が集まり、今村総務が溝口・中村人形師に「人形師さんにお任せいたします。豪華絢爛な飾り山笠にしてください」と挨拶。作業開始前の手一本を入れました。
その後、飾り付けを行う中洲流の男達が集まり、表と見送りの担当の町の発表、安全対策についての注意事項、作業の注意事項の申し渡しが行われました。
男達は手拭をぐるぐるッとしぼって頭に巻き、いよいよ飾り付けに入ります。
まずは表側の大きな飾りから。ヘルメットを着用した中洲流の男達が棒の上まで飾りを引っ張り上げ、そこからフルハーネスを着用した山大工が上まで引っ張り上げていきます。
中洲流は二番山笠なので、今年は偶数の堂山の担当。天心(天辺の飾り)は三神額ではなく立派なお堂を飾ることになります。溝口人形師がマイクを使って飾る位置や角度を指示していきます。
飾りが次々と山大工らによって引き上げられ、溝口人形師がイメージに合った飾り付けの指示を出していきます。
見送りの方は、表が飾り付けを行っている間は、飾り付けの準備を行います。まずは天心で使う館を組み上げていきます。
中村人形師は、下絵と組みあがった館を見比べて、イメージに合ったものが出来たか何度も確認しました。
時間の経過と共に、夏の日差しが強くなってきます。溝口人形師は日傘の下から、飾り付け指示を出していきました。
9時45分、一旦表の飾付けは休憩に。飾り付け作業は見送り側に移ります。
先程組み上げていた天心の大きな館が引き上げられました。
次々と館の飾りが引き上げられていき、中村人形師は見上げながら飾りの位置の指示を出していきました。
十一番山笠・キャナルシティ博多も本日飾り付け作業を開始しました。
飾り山笠が建つ地下1階のサンプラザステージには飾り付けに使う飾りが所狭しと並べられ、飾り付けの準備が進められていました。
地下1階のサンプラザステージには飾り付けに使う飾りが所狭しと並べられ、飾り付けが進められていました。
見送り側の飾りを担当する室井聖太郎人形師は、下絵とイメージ図を手伝いの方と確認を行います。
午前10時、キャナルシティ博多が開店。開店の時間を告げる噴水ショーが開始し、飾り付けを行う前で華麗な噴水が飛び交いました。
まずは表・見送りの天心を飾った後、表が最初の人形を引き上げて飾りました。そこで一旦表側は終了。見送り側の飾り付けが開始します。ロープを使って矢切の上に人形が引き上げられていきます。
矢切と人形師の距離はこれだけありますので、人形師は拡声器を使って矢切の上にいる山大工に指示を出していきます。
いよいよ大物の飾りが上げられていく順番です。まず最初に巨大な鳳凰の飾りが上に引き上げられていきます。
引き上げた後、頭の部分を角材でグッと押し出して角度を付けていきます。
飾り山笠は下から見上げて楽しむ飾り。下にいる人に飾りがよく見える用の飾り付けられます。室井人形師は、見物客に鳳凰の飾りがよく見える角度になる様、細かく指示を出していきます。
今年の見送りの標題は『北斎三十六景縁(ほくさいさんじゅうろくけいのえにし)』。葛飾北斎が描いた『富嶽三十六景』をテーマにした飾りで、あの巨大な波で知られる「神奈川沖浪裏」の巨大な飾りが山笠の上に引き上げられていきます。
室井人形師は手に「神奈川沖浪裏」の絵を持って飾りと見比べて位置関係を確認します・・・が、山笠を固定するために貼られたワイヤーがあるため、イメージした場所に飾りを据える事が出来ません。
室井人形師は自ら山笠台の上に上がり、矢切に少し上ってカッターで飾りに切れ込みを入れてワイヤーが通るようにしました。
これで無事、イメージ通りの場所に『富嶽三十六景』の絵が据える事が出来ました。買い物客が飾り付けの模様を見物する中、キャナルシティ博多の飾り山笠は次第に姿を現していきました。
午前9時から飾り付けを開始した中洲流は、一旦昼休憩を取った後、午後1時から作業を再開。午前中でほぼ大きい飾りを上げ終えたので、午後は表・見送り同時に細かい飾りを付ける作業に入ります。
午前中は表側に日が差していましたが、午後からは見送り側に日が差すように。中村人形師は頭に手拭を帽子のように巻いて午後の飾り付けを行います。
波の飾りを上げたものの、自分のイメージに合わなかったのか、「橋を少し天神側に移動させること出来ますか」と午前中に飾り付けた橋を少しずらすことに。山大工もビスを外し橋の飾りを移動させます。大事なのは人形師のイメージ。人形師のイメージに合った飾り付けが行われます。
移動させたことでダイナミックに波飾りを配置する事が出来ました。そのイメージがあったのか中村人形師もマイクを通し「OKです!」と山大工に伝えました。
溝口人形師も、岩こぶの飾りの位置と角度で細かい指示を山大工に出していきました。
午前7時から飾り付けを始めていた東流は、午後に入ると最後の仕上げ作業に入っており、次々と隙間がある部分に飾りが飾られていっていました。
テーマが忠臣蔵という事で、岩こぶには白い絵の具を散らして『雪』を表現。
山笠では必ず波の飾りを下から上に繋げないといけない習わしがあります。ダイナミックに角度を付けて取り付けられた波飾りが橋の下を潜り、そして岩こぶに波濤となって飛び散る様は見事の一言です。
飾り山笠は本日中に終了する予定で、7月1日の御神入れと一般公開を待つことになります。
梅雨明けと言っても今年は追い山まだまだ先。新天町の飾り山も製作中。いつもなら梅雨明けと山笠はセットみたいなものだけど。 pic.twitter.com/q6CG0seuTx
— KENZ.K@北九州 (@KENZK_kitaQ) June 28, 2025
そのほか、十四番山笠・新天町の飾り山笠も本日から飾り付けを開始しています。
早めの夏到来となった博多の町。山笠開幕までであと3日です・・・!