朝から小雨が降りつづき、午後に入って強めの雨が降るという、博多弁で言う「しろしか」一日となった6月12日(木)。櫛田神社の砂地の清道にも、水たまりが何個も浮かびあがっていました。
【週間天気予報】この先1週間の天気のポイント
— ウェザーニュース (@wni_jp) June 12, 2025
・土日は広い範囲で雨 梅雨前線が活発化
・台風1号 熱帯低気圧に変化後も影響に注意
・来週は35℃近くまで気温上昇 熱中症対策を
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予報を見ると、このぐずついた天気は来週半ばまで続くと報じられておりますが、雨が降りながら気温もぐんぐん上昇しており、今年の山笠も暑そうな予感がします。
そんな雨の日でも山笠の準備は行われており、昨日小屋入りの神事を終えた十番山笠・博多駅商店連合会は、昨夜のうちに山小屋の建材や部材の搬入を行いました。
櫛田神社では、午前7時から清道に大きなクレーン車が入り、桟敷席の建材の搬入を開始。こちらもいよいよ山笠への衣替えが始まりました。
そんな雨が降りつづく本日早朝より、櫛田神社の飾り山笠の飾付けが行われました。今年は様々なスケジュールの兼ね合いで、約2週間ほど早い飾り付けとなります。
本日飾りつけが行われるのは、櫛田神社の飾り山笠の見送り側。午前8時ごろから山大工と、今年の見送りの担当を務める人形司武平人形師らが櫛田神社の山小屋に集まりました。「いやー、しろしかねえ」と苦笑いしながら屋根の下に入る武平人形師。「櫛田神社の飾り山笠の飾付け、3年連続雨だよ」と3本指を折って数えてまた苦笑いです。
山小屋前に飾り付けに必要な道具や飾りが到着。雨を避けながら皆で山小屋の中に運び入れていきます。
今年は二週間も早い飾付けとイレギュラーであるため、山笠台にはまだ舁き棒が付いていません。通常であれば舁き棒の上に板を置いて足場にする所ですが、今年は山笠台に枝折(天板)を乗せて少し引き出し足場を作りました。
午前8時45分、飾りを積んだトラックが到着。
トラックの中には、山笠人形と装飾に使う飾りなどがずらり。恵比須会館前に横付けされたトラックから、一つ一つ飾りを丁寧に降ろして運び入れていきます。
飾り付ける人形たちがやってきたら、いよいよ作業を待つだけ。現場はあわただしくなっていきます。武平人形師はお手伝いの石田人形師と共に下絵を見ながら配置を最終チェックします。
矢切(飾り山笠の骨組み)の上に登って飾り付けを行う山大工は、フルハーネスを着用。安全対策も万全です。
飾りの館には跳木と呼ばれる支柱の角材が取り付けられていき、飾り付けの準備が整いました。
まずは、最初に飾り山笠の天辺に飾る天神(三神額)を矢切の上に引き上げていきます。大きい物なのでロープを掛け、ゆっくりゆっくりと引き上げていきます。
引き上げられた天神はグッと下の方を向けられます。飾り山笠は下から見上げて見る飾りなので、下から見上げた時に視界に飾りが入る様に角度が付けられます。飾りの下からは石田人形師が角度と中心線を確認。
雨を避けて屋根の下から見上げる武平人形師は、遠目からの角度も確認し、指示を出していきます。
次々と館や壁の飾りが上げられていき、武平人形師の指示に合わせて飾られていきます。武平人形師は下絵を見ながら、自分のイメージに合った位置や角度で飾りが付いているかを確認します。「次はー・・・君の好きな飾り持ってきて」と武平人形師。「え!飾り付けの順番とかないんですか?!」と聞くと「うちはそういうスタイルだから」と笑顔で答えられました。
「橋は館の下に」
「もうちょい恵比須会館側に移動して。そうそう・・・」
「んー、館の頭を恵比須会館側に傾けて」
山笠の飾付けの特徴である「櫛田側」「恵比須会館」など地名や場所を使った符丁を使いながら、細かく飾りの指示が飾りの下にいる武平人形師から飛び、山大工もそれに合わせて飾りを取り付けていきます。
巨大な松も矢切の上へ。
午前9時ごろになると旅行者や参拝者が飾り付けの模様を見物。海外からの旅行者は、巨大な飾りが次第に出来上がっていく様を興味深く見つめていました。
平行四辺形状に作られた平面の壁も・・・
飾る位置と角度を付けたら、この通り奥行きのある壁に早変わり。
いよいよ山笠人形が矢切の上に上がる番です。
恵比須会館から運び出された弁慶の人形にロープを掛け、山大工らが慎重に抱えて引っ張り上げます。武平人形師が角度や高さの調整の指示を細かく飛ばしていきました。
見送り側の飾付けは本日中で終了予定で、表の飾付けは今週土曜日に行われる予定の事。しかし、飾りが出来上がっても皆さんの目に触れるのはもうちょっと先になります。櫛田神社の飾り山笠の御神入れは6月30日、一般公開は7月1日からとなっておりますので、あと2週間ちょっと、今年の飾り山笠に出会うのを楽しみに待ちましょう。