雨予報でコンディションが心配されていましたが、曇り空で7月12日(金)を迎えました。いよいよ『追い山笠馴らし』の日がやってきました。7月15日の『追い山笠のリハーサル』とも呼ばれていますが、走る以上は追い山笠と同じ気持ちと気合で男達は臨みます。櫛田神社では早朝から追い山笠馴らしの準備や設営が急ピッチで進められていました。午後3時過ぎからテレビ中継もあるので、FBS福岡放送も準備を急ピッチですすめます。
午後になると参拝者が増え、桟敷席に入るための開門を待つ人の長蛇の列が櫛田神社境内に広がります。午後1時開門されると、桟敷席券を持った人たちは好きな席に座ると、眼前に広がる光景から2時間59分後に始まる追い山笠馴らしに思いを馳せます。
午後2時を過ぎると、各流は土居通りに集結するため、山小屋を舁き出します。雨と報じていた天気は何だったのか?と思うぐらい、空は晴れ渡り、初夏の日差しが燦燦と博多の街に降り注ぎます。
土居通りに七つの舁き山笠がずらりと勢ぞろいしました。
そして今年話題をさらっている八番山笠上川端通も山列入り。二引の旗を伸ばし、風に二引がたなびきます。やはり注目されるのは見送りの「ガンダム」。博多祇園山笠振興会の山見ではスモークが惑星アクシズから噴き出され、辺りから「おお!」と喝采が上がります。
すべての山笠が揃ったぐらいから、各流は手打ちを開始。あちらこちらで「オッショイ」「オッショイ」と声が上がり、拍手で出迎える音が土居通りを埋め尽くします。
舁き出しの時間まで、参加者は記念撮影や、先輩たちに教えを請うたりするなど、しばしのゆっくりとした時間を楽しみます。
そうこうしているうちに、桟敷席はほぼ満員に。
暑いので、水を頭からかぶる参加者も。「雨でやる追い山馴らしはしろしかやけど、晴れは晴れでつらいねえ」と苦笑い。
今年は「安心・安全」を重視した祭りの開催となり、土居通りでは昨年以降に福岡市が準備した道路に出ないようにするための安全ポールが初めて活用。ポールに黒黄色の紐が通され、道路に出ないようにするよう注意がなされました。
この安全対策は、山笠コースの各所でも多く見られ、承天寺の清道旗の周りや、旧西町筋の難所などでは、従来よりも二歩ほど見物位置が下げられ、ロープが張られそれ以上入らないよう、警察の指示が現場で行われました。
刻一刻と追い山笠馴らしのスタート時間が近づいてきます。各流、各参加者に次第に緊張が増しています。
午後3時になると桟敷席は超満員。桟敷に男達が入ってきて人垣で舁き山が通る道を作り上げていくと、”その時”を待ちます。
午後3時59分。「5秒前!」のアナウンスを受けて、一番山笠大黒流がものすごいスピードで櫛田神社の清道内に駆け込んできました。
清道旗をぐるりと回った舁き山笠は、ドンと能舞台に向けて据えられると、♪祝いめでたの・・・と一番山笠のみが許される「祝いめでた」が謡いあげられ、清道内の男達、そして桟敷の見物客が全員で共に謡いあげます。
うたいあげられると、男達は素早く手拭を頭に巻くと「ィヤー!」の声と共に、博多の街に飛び出していきました。
一番山笠が清道を出た後は、5分おきに二番山笠以降も櫛田入りを披露。見物客の拍手と驚嘆の声の中、6つの舁き山笠が清道を回り、博多の町へ駆け出していきます。
博多の街に飛び出した舁き山笠は、男達の「オイサ!」の声と共に、博多の街を縦横無尽に駆け巡ります。
承天寺では、お寺の前に立てられた清道の旗を、台上がりが手にした鉄砲を目の高さに掲げる「目一本」を行いながら清道廻り。山笠発祥の地である承天寺を表敬し、狭い道が続く旧東町筋へ向かいます。
櫛田神社では、八番山笠がついに登場。巨大な体躯を揺らしながら、人力のみで2トンの飾り山笠が走ってきます。驚嘆と歓声のなか、見送りのガンダムからスモークが吐き出されると、ひと際大きい歓声が。SNSでは「こいつ、動くぞ」と言われていたガンダム飾りの山笠が、その動く雄姿を見せつけます。
舁き山笠は旧西町筋へ。狭い道を走り抜けながら、勢い水処の大量の勢い水を頭からかぶり、最後の直線へ。
七つの舁き山笠が奈良屋町の「廻り止め」の幕を潜り抜け、無事追い山笠馴らしは無事終了しました。
しかし、各流は今日の山舁きに満足していません。今日の山舁きをもとに、各流は問題点や改善点を洗い出して勉強しなおし、7月15日に向けて最終調整に入る事でしょう。
・大黒流 40秒00
・東流 31秒23
・中洲流 36秒18
・西流 35秒14
・千代流 32秒55
・恵比須流 35秒32
・土居流 35秒30
・上川端通 1分14秒58
・大黒流 28分09秒
・東流 27分38秒
・中洲流 31分02秒
・西流 29分40秒
・千代流 27分07秒
・恵比須流 31分21秒
・土居流 29分12秒