流舁きを終えた約10時間後、舁き山笠は再び動き出します。まだ夜が明けぬ午前5時より「朝山笠」行事が行われました。
まだ空は真っ暗な午前3時過ぎより各流は準備を始め手打ちを開始。闇夜に「オッショイ」の声が響き渡ります。予報では大雨でしたが、奇跡的に天気が変わり、時折雨粒が落ちてくるものの、何とか持ちこたえてくれています。
七番山笠土居流は、午前5時の舁き出しに備え、舁き山笠を山小屋横に据え、舁き出しの時が来るのを待ちます。今日は「祝儀山笠」なので、台上がりは白い帷子(かたびら)を着込み、山笠台の中に子供を乗せて走る特別な行事です。
午前5時、時計の長針がゼロに重なった瞬間、鬨の声をあげ一気に土居通りを南下。目指すは櫛田神社の清道です。
数少ないライトで照らされた薄暗い清道を一気に回ると、再び土居通りへ。
今日ばかりは舁き山笠をポイントポイントで一旦止め、杉壁(すいかべ)に子供を入れ替えながら乗せて山笠の魅力を体験させます。中には何が何やらわからない子が乗せられながら泣き出すのもお馴染みの光景。大人たちから笑顔がこぼれます。
舁き山笠は、街頭以外の電気がついてない、空調も止まっている、そしてまだ誰も通らない上川端商店街に進路を取り、一気に商店街の端まで舁き入れます。アーケード内はよく響くので、オイサの声が何倍にも膨れ上がって聞こえます。
徐々に空が白み始め、子供達も大人の山笠を笑顔で楽しむ様子が見られました。
しかし、午前5時半頃から激しい雨が降りはじめます。この時間帯、福岡一帯を1時間に2mmから8mmの雨量をもつ雨雲が通過。舁き手達は激しい土砂降りの中、山舁きをする事になりました。「しろしくて(博多弁で”雨がうっとうしい”という意味)いかんですね」と苦笑いする舁き手も。
午前6時に入るとその雨雲が去って激しい雨が止みます。激しい雨の中でも山舁きを行い続けた恵比須流が綱場町の道を駆け抜けていきます。
午前6時から中洲流が舁き出しを開始。春吉橋で舁き山笠を引き回すと、那珂川沿いを北上していきます。
中洲五丁目エリアを駆け抜けた舁き山笠は、山小屋に戻り、手一本を入れて朝山笠を締めました。
朝山笠を終えた各町の男達はオッショイの声を上げて走って帰っていきます。
当番町の中洲一丁目は飾り山笠と入れ替えていた山笠台を入れ替え、片付けを行いました。
午前5時から舁き出した東流は後半戦に。午前7時前に、上浜口公園横を舁き入れます。
上浜口公園横には子供の神様を祀る萬四郎神社があるので、東流は毎年このエリアは大人の山笠に子供だけが台上がりを行い、萬四郎神社を参拝するのが恒例です。台上がりは子供だけ、そして棒に付くのは大ベテランたち。山笠を支えているベテランが、将来の山笠を担う子供を子供の神様の前まで運びます。
子供が神社前で博多一本を入れ、大人たちも共に手を入れました。
萬四郎神社の参拝を終えると、東流の朝山笠も終わりに近づきます。魚町の坂を上り、大博通りに出て山小屋に戻っていきます。
「午後からは他流舁きがあります。よろしくお願いします。」と橋本挨拶が述べられ、皆で手一本。無事朝山笠の行事が終わりました。