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櫛田神社 飾り山の山解きが行われました

6月も半分を過ぎ、例年のこの時期は市内のあちらこちらで山小屋建設が進められ、棒洗いや小屋入りの神事が行われて、山笠の熱が徐々に上がっていってる頃のはずですが、残念ながら今年はその熱気を感じる事ができません。

山小屋や山笠台があるはずの場所を巡ってみたのですが、今年はその姿形を見ることができません。

それでも、今は山笠の時期なのだということを、明治通り沿いにある杉田写真館さんのショーウインドウを見て感じとることができます。

川端商店街も、アーケード内につるしている博多弁番付大ポスターの一部を疫病退散ポスターに差し替えました。

また、上川端商店街主催でアマビエの塗り絵コンテストを開催する事を発表しており、少しずつではありますが活動を戻そうとしています。

今年の山笠は延期となりましたが、博多祇園山笠も少しずつ動きだしています。今年は櫛田神社の飾り山だけが飾られるということが発表されており、6月5日のニュースにて標題が公開されました。今年の標題は、表が中村信喬人形師による「清正公虎退治誉(せいしょうこうとらたいじのほまれ)」、見送りは中村弘峰人形師が担当する「桃太郎鬼退治誉(ももたろうおにたいじのほまれ)」です。

この今年唯一の飾り山の飾りをつける準備として、本日6月17日(水)、現在の飾り山から飾りをすべて外す「山解き」が行われました。
梅雨入りしてるはずの福岡ですが、本日は強い日差しが降り注ぐ快晴。しかし山解きの作業としてはとても助かる天気となりました。

一年間、博多を見つめてきた川﨑人形師と室井人形師の飾り。この飾り山も本日で最後となります。

午前8時過ぎ、櫛田神社に人形師、山大工らが次々と集まってきます。

作業用のビニールシートが広げられ、人形を積むトラックが山小屋横まで入れられるなど、すぐに作業の準備が行われます。舁き棒の上には厚めの板が敷かれ、山大工の足場が作られます。

午前8時50分、山大工が飾りを取り外しを開始。山解きが始まりました。

名残惜しそうに一年間飾られた人形飾りを見つめる室井人形師。写真を1枚撮影しました。

旗が外され、山笠台を囲う杉壁が取り外されます。取り外された杉壁から、鉄砲や横笛などの部品をさらに取り外します。鉄砲も一年間の展示で色あせてしまい、一年間の砂ぼこりがついています。

山大工らが手慣れた手つきでビスや針金を外していき、波や岩こぶなどの飾りを取り外していきます。

取り外した飾りは、山小屋の前でさらにバラバラに分けられていきます。

ある程度飾りが外されると、次は館(やかた)飾りが取り外され、飾り山の下におろされていきます。

わずか30分で3分の1が終わりました。

今回は珍しくテレビや新聞などの取材も入った山解きとなりました。テレビのインタビューを受けた川﨑人形師が「いつもの櫛田神社の山解きでは取材を受けたことがない」とコメント。確かに櫛田神社の山解きで取材陣は山笠ナビしかいない事がなく、今年は山笠がない年だけに唯一飾られる飾り山のすべてに注目が集まっているようです。

館もある程度外されたところで、人形が外されていきます。表に飾られた巨大な金の龍がいよいよ外されます。

4人がかりで慎重に外し降ろし、舁き棒の位置まで下ろしたところで一旦分解して、山小屋前に降ろされていきます。

降ろされた龍についた飾り付け用の針金等を川﨑人形師が外していきます。内側はまだ金色に輝いている龍の肌ですが、外側になると完全に色あせており、一年間飾られ続けてきた厳しい環境がうかがい知れます。

見送り側も人形の取り外しが始まりました。人形にロープが掛けられ、慎重に下へ降ろされていきます。

見送り側の難関は、馬に跨った上杉謙信。馬に人形が据えられているので、矢切に上った山大工らが片手で矢切をつかみながら片手で針金を断ち切り、跳木と呼ばれる支えの支柱を取り外して慎重に上杉謙信と馬を分けていきます。

取り外した上杉謙信にロープに掛けて、下に降ろすことができました。

そして巨大な馬を下ろします。ロープを引っ張る人、針金等を外す人、支える人、下で受け取る人と、5人がかりでゆっくりと降ろしていきました。

降ろし終わった人形はトラックに積み込まれ、人形師の工房へ運ばれることとなります。

1時間経過で3分の2が終了しました。

13時に行ってみたところ、すでに完全に飾りは取り外されていて搬出が終了しており、山笠台も分解されていました。山笠台は今年の飾りのために清掃・メンテナンスを行われ、再び山笠台に組まれ、飾り付けを待つことになります。

毎年、櫛田神社の飾り山がないこのような状態(素山)になるのはわずか2週間程度。飾りがない姿を見る方が、逆に貴重ではあるのですが、飾り山を見に来た人は素山状態の飾り山を見てびっくりした表情をしていました。

現時点で市内で飾り山が見る事ができるのは、6月5日から営業を再開した上川端商店街内にある川端ぜんざい広場の上川端通のみとなります。