博多祇園山笠が終わり2日が経ちました。博多の町からは祭りの香りが消え去り、少しばかり残った香りも急速に消え、日常に戻っていっています。
博多駅の巨大な山小屋も7月15日から早々と解体作業に入り、昨夜の段階では巨大な柱の搬出だけに。博多リバレインの山小屋は最後の撤収だけになりました。
櫛田神社の桟敷席解体は昨日から始まり、まずは「お席」がなくなりました。時計回りで作業が行われているようです。
ホテルオークラのエントランスロビーには大黒流の舁き山笠人形が期間限定で展示されています。
そして本日、上川端商店街内にある川端ぜんざい広場にて、今年櫛田入りを披露した今年の飾り山笠がぜんざい広場の飾り山笠に再度飾り付けられています。午前8時前より人形師や山大工、流の男が集まり、飾り付けを始めていました。
15日の追い山笠で商店街に戻ってきた八番山笠・上川端通の飾り山笠は、そのまま飾りが取り外され、一旦このぜんざい広場に全て収められました。広場には所狭しと外した飾りが積まれています。
櫛田入りの際にスモークを吐いたヤマタノオロチの首2本が、まず矢切(骨組み)に上げられました。
鎌首をもたげた首の後ろに針金を通し、その針金を引っ張ったり緩めたりすることで、前後の角度を付けていきます。
次は向かって左側の3本の巨大な首が矢切にあげられていきます。巨大なのでこれも矢切の上からロープを渡し、引っ張り上げながら慎重に矢切に上げていきます。
大きい飾りでバランスが悪いためぐるっとひねりながら上がっていくので、複数人で飾りの下を支え真っすぐに上げていきます。矢切の上に上がっている山大工は、人形の背中にある跳木と呼ばれる支柱を何とか捕まえます。
「もうちょっと筥崎にスライドさせてください」「頭が櫛田側に傾き過ぎです」マイクを使って、田中勇人形師が人形を据える位置の角度や場所を細かく指示を出していきます。
表の飾り付けが進む間、見送り側の飾り付けの準備が行われています。山大工が壊れた鉄砲を修理し、麦わらを今一度鉄砲袋の中に詰め直していました。
今年の山笠で話題となった標題『TVアニメ【推しの子】』の人形も、7月15日に取り外された形で所狭しと積まれています。
間近で人形の構成を見れるのはこの時なので、色々見てみました。
登場人物「ルビー」の背中側を見ると、これらの人形がどのように作られているかがよく分かります。田中人形師によると、今回は『スタイロフォーム』という住宅の壁や床、天井などの断熱材として使われる物を使っており、削り込みも発泡より細かく出来るからよく使っている素材との事。スカートの中身は空洞で、数枚のスタイロフォームを繋ぎ合わせて削って滑らかにしているようです。衣装の水玉模様は100均のシールを延々と貼った手の込んだデザインでしたが、見える・見えないところのギリギリまでシールが貼られているのがよく分かります。
登場人物「アクア」の頭も同様の作り方。箱状に組んだスタイロフォームを削り出してこの人形が作られています。
一番大きな人形となる登場人物「アイ」も同じような形ですが、大きい人形であるためスタイロフォームの中に木が組み込まれており、この骨組みを入れる事で強度を増す事ができ、飾付けの際に大きく前に突き出したりする事が出来ようにする事を意識した設計が施されています。
手足の接続には、見えない角度の位置から竹串や金串を刺して強度を補強しているのが分かります。
串とあわせて、手工芸などでもよくつかわれるホットボンドも活用されており、耐久性が低く外れそうな部分や、パーツ同士が当たる部分などは、見えない角度から隋書随所でホットボンドでパーツ同士を接着させています。
表からは見えない部分で、人形師は様々なトライを行って崩れない人形を作り上げていた事がよく分かります。
また間近で見れば見るほど、細かい細工が施されていることに驚きが隠せません。10メートル下から見上げて見物される事を意識して、各パーツは手抜きなく細かい部分まで作り込まれています。
この造形と光沢ぶり!!!
表の人形飾り付けはスサノオノミコトの人形が上がりました。
「もう少し筥崎側に振ってもらえますか」「体の角度を筥崎側に向けて」と指示を出します。山笠期間中は皆山笠を真っすぐ見据えて見るが出来ますが、ここぜんざい広場の入り口は山笠の中心線からずれているため、田中人形師は店に入って来た人の目線が斜めから来ることを意識して、祭り期間中とは異なる角度で飾り付けを行っているのです。
雲が取り付けられ、この雲も少し斜めに取り付けられます。祭り期間中の上川端通の飾りの写真と見比べたら、その飾り付けの雰囲気が変わっているのが分かるでしょう。
、飾り付けは本日いっぱい行われます。早ければ明日土曜から新しくなった飾り山笠を、ぜんざい広場で見る事が出来るかもしれません。ぜんざい広場は基本金曜・土曜・日曜とイベントがある時にオープンし、平日は休憩所として入ることが可能です。展示は来年の7月14日夕方まで。今年の山笠を見に来れなかった方は、是非新しくなった飾り山笠を見に来てはいかがでしょうか。