7月1日、夜明けと同時に注連下ろしや御神入れなどの神事が行われた博多の町。本年度最初の博多祇園山笠が開幕しましたが、夕方早速山笠の行事が始まります。各流の当番町が中心となって行う『当番町お汐井取り』が行われました。
一番山笠・東流は、午後4時50分よりお汐井取りに向かう参加者が役員に挨拶を行う手打ちを開始。各町の提燈が道を作り、手打ちに来る各町を迎え入れます。
「オッショイ」の掛け声を響かせながら各町が役員らと対面し、手一本を入れていきます。
午後5時20分に山小屋を出発した東流は、中呉服町にあるお汐井取りスタート地点となる石堂橋にやってきました。
スタート予定は午後5時30分。「次の信号から渡ってください」と警備の警察官の指示を受けて、信号が変わる時に歩道から車道に降り、信号が変わり警察官のGOの指示を待ちます。
「行くぞっ!」掛け声に合わせ、「オッショイ、オッショイ」の声が石堂橋に響き渡ります。当番町お汐井取り、スタートです。
東流が出発すると、二番山笠・中洲流が石堂橋にやってきます。
東流が出発して5分後、信号が変わるタイミングに合わせて、中洲流も筥崎宮の箱崎浜に向けて走り始めます。中洲流が出発したら次は三番山笠・西流が到着します。
信号が変わると同時に、赤手拭の舁き手がダッシュで先導し、その後ろを「オッショイ」の掛け声を掛けながら当番町が歩を進めます。
高提灯には鈴が付いており、オッショイの掛け声に合わせて走る当番町の走る姿に合わせ、リンリンと涼やかな音を響かせます。
この後も次々と各流が到着。5分おきに石堂橋を出発し、一路箱崎浜へ向かいます。
東区の筥崎宮にある箱崎浜。鳥居の前では多くの山笠ファンが七流の男たちが来るのを待っています。
今年も箱崎浜の警備は、博多祇園山笠をサポートする山笠公式ボランティア団体「博多祇園山笠 讃合会」の皆さんが担当。会長の兼國朋弘氏が先頭に立って浜の警備に当たってくれました。(※讃合会は、山笠のサポートを行って山笠に関わりたい方を募集しています。詳しくは讃合会のホームページをご覧ください)
讃合会の方々は、お汐井取り参加者が浜での神事信仰をスムーズに行えるよう、箱崎浜への立ち入り制限を行うサポートを行っていただけました。
遠くからうっすらと「オッショイ」の掛け声が聞こえ始め、紺色の東流の旗が次第に近付いてきます。一番山笠・東流の到着です。
汗で額を光らせながら箱崎浜に入った東流の男達。手拭を取り、海に向かって拝礼を行いました。
拝礼を行うと、各人持ってきたお汐井升やてぼ(竹籠)、ビニールに、お清めの浜の真砂を詰めて筥崎宮へ参拝に向かいました。
続いて、中洲流が到着。
拝礼を済ませると、浄めの真砂を足や肩に振りかけます。清めの真砂は博多では塩と同じ意味を持ち、厄除けの意味合いを持ちます。清めの砂を体や足に掛ける事で、これからの15日間の無事を祈願しました。
その後、各流が次々と到着。海に向かって拝礼し、真砂を持って帰ります。
本当なら浜に降り立って砂を取りたいところですが、この日は満潮に近く膝まで漬かる深さ。それでも海の中に入り箱崎浜の真砂をすくい取る人もいました。
箱崎浜で拝礼を行った後は、皆筥崎宮の拝殿に参拝し、無事奉納を祈願します。
そして、今度は櫛田神社に向かって走り始めます。往復およそ約10キロ。初夏の夕暮れのした、博多の男達はオッショイの声を響かせながら博多に戻っていきます。
櫛田神社では、流が到着するたび太鼓を打ち鳴らし、帰ってきた男達を出迎えます。
櫛田神社の神職がシャラシャラと鈴を鳴らす中、参加者は二礼二拍手一礼を行って、櫛田宮の神々に山笠の無事奉納を祈願しました。
夜7時を過ぎると次第に、夕闇が闇へと変わっていきます。
男達は弓張提燈に灯を入れ、次々と櫛田神社に戻ってきます。
午後8時過ぎに、七番山笠・大黒流が櫛田神社の大鳥居を潜り、櫛田神社に戻ってきました。
大黒流の当番町の男達が拝礼を行い、当番町お汐井取りは無事終了。そして暑くて暑い15日間が始まりました。