昨日から断続的に雨が降る博多の町。本日6月23日(日)より櫛田神社の飾り付けが始まります。早朝8時頃は雨が降っておらず、桟敷席の工事がお休みなので清道の中にトラックを入れ、飾りの搬入作業を行いました。
予報では午前10時過ぎに強い雨が降るという事で、大きな飾りは全てビニールを掛けて山小屋の中に運び込まれています。
矢切(飾り山の骨組み)にはフルハーネスを取り付けた山大工が上がり、矢切を雑巾で丁寧に拭き上げて積もった埃を取り除きます。
準備が整ったので、午前8時半より飾り付けの作業が開始。本日の飾り付けは見送り側となります。山大工は人形師が描いた飾りの下書きを頭に入れて、矢切へ登っていきます。
まずは天神(てんしん:三神の額)に跳木(はねぎ)と呼ばれる木材を付け、上に引き上げていきます。
重さと大きさがあるので矢切の途中で中継しながら矢切の天辺まで引き上げると、ぐっと持ち上げ中心線を合わせて留めます。
そして館を引き上げていき、下絵通りの形に並べ、地上にいる人形師に確認を取ります。飾り山笠は下から見上げてみるので、人形等の飾りは斜め下に向けて飾り付けられます。
武平人形師は、「しろしか(※博多弁で「じめじめしてうっとうしい」という意味)天気やねえ」と苦笑いしながら、飾り山笠を見上げながら「もう少し博多駅側にも少し傾けて」「そうそう」と、山笠独特の地名を使った方向指示を使いながら矢切の上にいる山大工らに飾りの指示を出していき、今年の飾りを次々と山笠に上げていきました。
本日は、同時刻に各所で様々な行事が行われていました。
川端中央街では小屋入りの神事の準備が、
10数メートル先では、上川端通が棒締めの準備が進められていました。
午前9時、川端中央街が小屋入りの神事を執り行います。櫛田神社の神職が、参加者を祓い清めた後、祝詞が奏上され、この場に立てられる山笠の無事建設が祈願されます。
神職は山笠台の両面と、昨日浜宮で洗い清めた舁き棒や飾り山笠建築に使う道具を祓い清められました。
上川端通り 棒じめ 撮って出し
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同じ午前9時より上川端通の棒締めが始まりました。長崎総務の「八番山笠の力を合わせていきましょう!棒締めたっ!」という気合の入った声に合わせて、木槌の第一打が振り下ろされました。
棒締めた、棒締めた、と、棒が締まっていく動画。
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「棒締めた!棒締めた!」の掛け声と共に、縄を締め上げる「おやし棒」が男達の手によってぐっと下げられるたびに、ギリギリと音を立てながら舁き棒を山笠台に縛り上げられていきました。
そして、同時刻、昨日山小屋が出来上がったばかりの千代流でも、棒締めが開始。水法被・ステテコ・地下足袋スタイルで男達が集まり、当番町が行う棒締めが終るのを待ちます。
今日は各町では詰所開きが行われているところも多いようで、土居流の中土居町では詰所で舁き縄の縄ないが行われていました。
今年も博多祇園山笠の舁山の棒締めが行われました。
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「棒締めたー」の掛け声が夏を感じますね。
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小屋入りの神事を終えた川端中央街は、片付けを終えると早速棒締めを開始します。同時刻同場所で川端中央街と上川端通が棒締めを行っているので、商店街には「棒締めた!」の声と木槌が縄を叩く音が広く響き渡ります。
午前11時すぎ、上川端通の山笠台には6本の舁き棒がしっかりと縛り上げられました。
出来上がった山笠台に枝折(天板)が乗せられ木槌ではめ込まれます。棒鼻には山笠をコントロールする「鼻縄」が取り付けられ、山笠台のへの字に番線が張られると、山笠台が完成します。
上川端通の山笠は「走る飾り山笠」なので、土台である山笠台がしっかりとしたものかを確認する必要がありますので、いよいよ参加者が楽しみにしている「試し舁き」の準備が行われます。道路にあるベンチやガチャガチャ等は一旦脇に避けられ、舁き縄が舁き棒に掛けられていきます。
そして長崎総務が山笠台に上がり、さあ、試し舁きが始まります!
この時間になると、外は嵐のような激しい雨が降っており、川端商店街の屋根が大きな音を立てていましたが、そんな雨の音をかき消すのが、突如商店街に響き渡る「オイサ!」の声。通路の脇に避けた通行客は皆スマートフォンをかざしてこの様子を撮影。その間を、出来上がったばかりの上川端通の山笠台が、威勢よく往復しました。
そして、同時間帯に棒締めを行っていた千代流の山笠台も完成。強い雨脚の中、男達は車道に山笠台を運んで据え、総務らが台上がりします。総務がぐっと手拭を頭に巻くと、祝いめでたを唄いあげていきます。舁き手が山笠台を前後に揺らしながら、ズッ!ズッ!とゆっくり前進し、歌い終わった瞬間・・・
当番町の区域を一周する山笠台。雨の中をものともせず、男達は「オイサ」の声を上げながら山笠台が走る道を共に走ります。
安全対策の練習として、山笠を急停止させる練習も行われたあと、山笠台は無事山小屋へ帰還。手一本が入れられ、山笠台が無事出来上がったことを、皆びしょぬれになりながら拍手で祝いました。
午後に入ると、棒締めを終えた上川端通は、台足に筆耕を行った後、矢切を山笠台の上に立てました。そして八番山笠の心臓部でもある山笠の高さを伸縮させる電動ウインチを取り付ける作業を行いました。
飾り付けを行っていた櫛田神社の飾り山笠は、午前中のうちに人形や館などの大きな飾りを飾り付けた後、午後からは一気に岩こぶや波などの装飾飾りを飾り付けました。
人形師の細かい角度や指す位置に合わせ、山大工が飾りの隙間から手を出し指定の位置に飾りを付けていきます。
今年の見送り標題は「鎮大鯰要石(おおなまずしずめるかなめいし」。近年震災が多い日本、「大鯰が暴れると地震が起こる」という民間信仰と言い伝えをもとに、江戸時代に流行った「鯰絵」がテーマとなっています。飾りは鯰が地震を起こしている様を大胆な手法で表現しました。
飾り付けが終ると、表側で作っていた杉壁を見送り側に移動し設置。これで、見送りの飾りはほぼ完成しました。
雨が降っても今日は日曜日ということもあって観光客が沢山訪れた今日の櫛田神社。飾り付けが終わったばかりの飾りをみて、皆感心して見入っていました。
飾り付けは明日も行われますが、完成した後は6月30日の御神入れまで非公開に。一般公開されるのは七月一日からとなります。