雷電為右衛門は江戸時代に活躍した大相撲力士。現役生活21年、江戸本場所在籍36場所の内、大関在位27場所で、通算黒星がたったの10個。勝率9割6分を越える大相撲史上未曾有の最強力士とされている。ちなみに当時は横綱制度がまだ確立していなかったため、事実上大関が最高位。日本にはもともと大地を力強く踏みしめることで土地から災いを追い払い、豊作を祈願するという考え方があった。相撲においても土俵の上で力士が四股を踏むことによって穢れや邪気が払われるとされ「五穀豊穣・無病息災」の意味を持つ。山笠神事において、舁き手が山を担いで地面を踏み鳴らし「オイサ」という掛け声と共に、町を駆け回ることも同様に清めと祈りに通じている。令和四年の土居流は力強く四股を踏む雷電の人形とそれを担いで駆け回る舁き手達によって、新型コロナの為に三年の空白の空いた博多の地を踏み鎮め、五穀豊穣と無病息災を願う。
[人形師:中村弘峰]