舁き手達が舁き出し時の棒に付く、いわゆるスターティングメンバ―に加わるために、同じ舁き棒に付くライバルとポジションを争う行事。ライバルと棒を競るから「棒競り」と呼ばれる。
舁き手にとって大変名誉な事である。それが櫛田入りと尚更である。舁き出しメンバーに加われるか否かが決まる「棒競り」は、ライバルに先んじていかに棒に付くか気合が入り殺気立つため、棒競りの場は異様な緊張感が走る雰囲気と化す。
流によって棒競りのスタイルが異なっており、また同じ流でも行事によって棒競りの行い方が異なったりもする。また、当番町の舁き手が棒に付く流もあったり、すでに棒に付くメンバーが決まっているなど「棒競り」を行わない流もある。まさに流によってその習わしはまちまちである。
その中で、東流と大黒流は、12日の追い山笠馴らしと15日の追山笠の直前に櫛田入りの舁き手を決める「棒競り」を行っている。
東流の棒競りは、舁き山笠が山列に入った後、流の代表取締が各ポジション毎に舁き手を呼び集める所から始まる。
ポジションが呼ばれると、その棒をポジションにする舁き手達は、代表取締をぐっと見ながら自分の肩を代表取締に向かって突き出し、体格と気合いをアピールする。
代表取締は、肩を出してきた舁き手を見比べながら肩の高さ、体格、そして気合いの入り具合を慎重に見比べる。そして適任者の肩を叩き、櫛田入りの舁き手を選抜していく。
この「我こそは!」と気合いを見せつける舁き手達の真剣な様と緊張感あふれる選抜の様子は、櫛田入り前の密かな名物となってる。
大黒流の棒競りは、冷泉公園への山列入り前に山を舁きながら行われる。
土居通りの交差点から土居通りに入ると棒競りが開始。山舁きを行いながら舁き手が次々と肩を叩いて入れ替わっていく。棒競りは山笠を据える直前まで行われ、山笠を据えた時点で棒に付いている者が櫛田入りのメンバーとなる。あまりの棒競りの激しさから、舁き山笠がスグラグラと蛇行しながら進んでいくのが特徴。