明日で2021年の6月は終わり、明後日から7月1日。いよいよ今年の山笠の開幕が迫ってきました。
櫛田神社の清道の周りには、梅が枝餅や牛串、お面、占い、段小屋などの露店のテントが配置されていました。例年だと清道には桟敷席があるため、楼門横から櫛田会館側にずらっと並ぶのですが、今年も清道に桟敷席がなく、また、櫛田会館は改築中という事で、今年は清道の周辺に露店が出ることになったようです。櫛田神社の神職も「今年だけのレアな風景ですね」と笑いながら教えてくれました。
今年は既報の通り、舁き山行事は行われませんが、2年ぶりに各所の飾り山が姿を現します。飾り山の飾り付けもいよいよ大詰め。各所で飾り付けが急ピッチで行われています。
八番山笠 上川端通は、本日6月29日(火)の朝8時より上川端商店街にて飾り付け作業を始めました。
今年の標題は、表は「阿吽金剛力士像(あうんこんごうりきしぞう)」、見送りは「風雷あかちょこべ之縁起(ふうらいあかちょこべのえんぎ)」で、共に田中勇人形師が手掛けています。
午前8時前から飾り山の前に人形師や山大工、上川端通の参加者は、前日搬入されていた飾りの人形を山笠台前に、次々と引き出して準備を始めていました。
表側の力強い金剛力士像、そして見送り側の川端商店街の法被を着たユーモラスなアマビエと風神・雷神の人形は、出勤途中の人の歩みを止めてしまうほどの迫力があります。
金剛力士像はとても大きいので、搬入時は腰から上下に二分割できる「合体式」。二人がかりで組み合わせてネジで止め、各人形に飾り付けの際に飾りの角度を付けて固定するための針金を手足に結び付けていきます。
飾り付け作業の準備は完了。矢切が乗った山笠台を作業しやすい場所に押して移動させ、飾り付け開始です。
アーケードの天井を開け、伸縮式の「からくり矢切」の天辺となる三段目の矢切を空に向かって伸ばし、まずは館の絵飾りを固定していきます。
見送り側も同様に館の絵飾りを固定。飾り山の下から田中人形師がそのバランスを確認します。
三段目の館を取り付けると、いよいよ人形を据えていく番となります。からくり矢切の三段目を格納し、二段目を伸ばした状態にしてから、最初に据える人形を矢切の上にいる山大工が慎重に引っ張り上げて、矢切に据えていきます。
田中人形師は、伸ばした矢切の高さと人形がいる高さを入念に確認し、山大工に指示を出していきました。
上川端通の飾り付けは明日30日まで行われ、明後日の7月1日の一般公開に向けて備えられます。
十四番山笠 博多駅商店連合会は、昨日6月28日(月)より飾り付けを行っています。
今年の標題は、表が白水英章人形師による「国師泰平を祈願(こくしたいへいをきがん)」、見送りは田中勇人形師による「ももち浜ストア「うどんMAP」(ももちはますとあ「うどんまっぷ」)」です。
28日の飾り付け作業は、まずは見送り側から作業を行います。山小屋の下には矢切に上げる飾りが並べられており、その中には見送りの飾りの主役である「うどんMAP」といえばこの人、岡澤アキラさんの人形も。
次々と人形が巨大な矢切の上に引き上げられていき、矢切の下から田中人形師が、スマートフォンに入れた下絵を見ながら、手ぶりを交えながらマイクを使って人形の位置を指示します。博多駅ならではの巨大な矢切の上に登った山大工が、その指示に合わせて位置を調整していきます。
そして岡澤さんの人形もいよいよ矢切の上へ。紐を掛けられ、矢切の真ん中あたりまでに引き上げられた岡澤さん人形は、山大工の手によって固定されます。その岡澤さんの人形の右上には、山笠の起源にも関係し、うどんやそば、饅頭などの粉物食文化を日本に伝えたと云われている聖一国師が、施餓鬼棚の雲に乗ってやってきており、「うどん」の飾り山を盛り上げてくれます。
本日29日は表側の飾り付けの日となります。朝7時から山大工や人形師が集合し、飾り付けの準備を行いました。昨夜遅くまで東流の飾り付けを行っていた白水人形師ですが、気合十分の顔で飾り付けの準備に取り掛かっていました。表の人形の中には昨年一躍有名になったアマビエの小さな人形が。「飾りをみんなに楽しんでもらいたいしね」と白水人形師は笑顔で話してくれました。
博多駅の飾り付けは本日29日まで行われ、明後日の7月1日の一般公開に向けて備えられます。
十二番山笠 渡辺通一丁目は、昨日6月28日(月)の夕方5時より飾り付けが始まりました。
今年の標題は、表が中野親一人形師による「山崎の合戦(やまさきのかっせん)」、見送りは中野浩人形師による「愛と勇気のアンパンマン(あいとゆうきのあんぱんまん)」です。
渡辺通一丁目の飾り付けは、丁度帰宅時間帯に重なるので、通りすがりのビジネスマンや信号待ちの女性がスマートフォンに写真を収める姿が見られました。
6時半には矢切に人形を全て上げ切り、休憩後細かい飾り付けに入ります。見送りはアンパンマンなので、雑木の飾りもピンクや明るいグリーンなどのパステルカラーで作られており、どの色の雑木が一番しっくりくるか、矢切の下の中野浩人形師が確認しつつ飾り付けの指示を出していきます。
表側では、岩こぶと雑木をつなぎ合わせた飾りを、矢切に登っている山大工に手渡し、中野親一人形師が飾り山の真下まで寄って配置を細かく指示していました。
山小屋の横では、奉賛者の名札を芳名板に取り付ける作業が行われており、渡辺通一丁目の飾り山の準備も着々と進んでいました。
四番山笠 東流は、昨日6月28日(月)の夜8時より飾り付けが始まりました。
今年の標題は、表・見送り共に白水英章人形師が手掛けた「華満開太平祈願(はなまんかいたいへいきがん)」です。
午後8時、呉服町ビジネスセンタービルのドトールが営業を終えると、飾り付けの準備が始まります。
午後9時前に飾り山の飾りが到着。若手の男達がトラックから飾りを運び出し、人形は吊るしておいて飾り付けの順番を待ちます。
最初に二引の旗が取り付けられ、旗竿の先には「雲」の紙が。神棚や仏壇のある場所の「上に人がいる場合」、天井には「雲」の字を貼る習わしがあります。これは「神棚(神様)の上に存在するのは雲だけです。もう天しかありません」という環境を作り、神様に敬意を表しています。(同じ理由で、千代流が横切る都市高速の高架下にも「雲」のプレートがはめられています)
いよいよ、飾り付け開始。まずは一番天辺に飾る館を表側に引き上げて据え付けます。
この飾り付けの模様をテレビクルーも取材に来ており、夜遅くまで撮影を行っています。
見送り側にも館を取り付けると、次々と大きな飾りがあげられていきます。東流の飾り山は2019年から飾りを360度見れる「四面飾り」の飾り山になりましたので、飾りを角側に外に向けて配置し角がないような飾り付けを行っていきます。
飾り付けと同時進行で、山笠台の前では飾り付けが終わると最後に取り付ける「杉壁」を組み立てています。
飾る人形は大きなサイズの物へ。大きく持ち上げる際の重さも変わってくるので慎重に矢切に上げられます。白水人形師は下絵を確認しながら、角度を細かく指示を出していきます。
表の標題は「花咲じいさん」がテーマ。意地悪じいさんの手に小さい頃のシロが乱暴に掴まれています。これは針金で釣る形で止めており、風が吹くとぶらぶら揺れるという飾り山では珍しい動きがある仕掛け。飾りを見て楽しんでもらいたいという白水人形師の遊び心が反映されています。
夜9時過ぎから始まった飾り付けは深夜まで続き、2日目の6月29日の夜に最後の仕上げの飾り付けが行われます。
これらの飾り山の他にも、他の場所でも飾り付けが始まっており、山笠ムードが高まってきました。
お、山笠出来上がってきてる pic.twitter.com/J7vcHZRAsm
— フレンズリン(FrensRIN)a.k.a.ダージリン (@french_darjirin) June 28, 2021
43歳人形師初挑戦、博多祇園山笠・飾り山まもなく公開 「気持ち、上向け」 名匠の遺志継ぐ : ニュース : 九州発 : 地域 : 読売新聞オンライン https://t.co/iAeiW9gfB0
— 読売新聞西部本社編集局 (@YOL_seibu) June 28, 2021
キャナルシティ博多来たら山笠じゅんびしとった pic.twitter.com/BbolvIhn8Y
— 🐁れおる🐁 (@reoruuuuuu) June 28, 2021
キャナルシティ博多の飾り付けを見てきました。
— ムハラグ (@mharag) June 28, 2021
千代流チームではない川崎人形師の飾り付けは見ていて新感覚でしたw pic.twitter.com/3HOUXmsrFp
ドーム前の山笠の飾り付け始まってました。
— AKI坊 (@AKI72168534) June 28, 2021
夏が来る、赤い鷹が来る・・頼むぜホークス pic.twitter.com/1EAId8g4Pj
ドームに陣中見舞。飾り山日和の好天。
— M_works (@hawks1973_tm) June 28, 2021
1人だけうちの町内のTシャツ着ててウケたw
うずうずうずうずうずうずうずした。 pic.twitter.com/SJw3YInhwE
中洲川端の飾り山笠。
— うりゃりゃ(ry (@yukiur08) June 27, 2021
公開は7/1
もうひとつはこれから組上がる感じ pic.twitter.com/ytksD5ktke
すでに飾り付けが終わっている川端中央街の飾り山。7月1日の一般公開まで垂れ幕が下ろされ、飾りの全景が見えなくなるようにしていました。(※飾り山は7月1日に行われる御神入れの神事を行い、神様を飾り山に入れて初めて本当の意味の奉納としての「飾り山」となるため)