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山笠ナビ山笠ナビ通信山笠ニュース中村人形のギャラリーが開廊。開廊「傀藝堂(かいげいどう)」記念展が始まりました。

中村人形のギャラリーが開廊。開廊「傀藝堂(かいげいどう)」記念展が始まりました。

中洲流の飾り山笠や天神一丁目の飾り山笠を手掛ける博多人形師の中村信喬さんと、土居流の舁き山笠を手掛ける博多人形師の中村弘峰さんの「中村人形」のギャラリーが、本日4月29日(土)にオープンしました。建築家・クリエイティブディレクターの神谷修平さんが手掛けたギャラリーです。

ギャラりーの名前は「傀藝堂(かいげいどう)」。「傀」という神懸かった字に込められた”人形師は何か大きなものによって作品を作らされている”事を後世の中村人形に伝えるため、人が天に突き動かされて技を振るう「藝」という字を合わせて、「傀藝堂」という名が冠されました。

ギャラリー計画始動から足掛け5年。中村人形は創業105年目を迎えた2023年にその努力と想いが結実することができました。博多人形師のギャラリーは珍しく、中村中村信喬、中村弘峰両人形師の作品をたっぷり味わうことができる貴重な場所となりそうです。

本日よりギャラリー開廊を記念しての最初の作品展「杮落とし(こけらおとし)」展がスタート。シンプルで落ち着く内装のギャラリーには、所狭しと中村信喬人形師と中村弘峰人形師の作品が展示されています。

人形の表情は繊細で、じっと見ていると生きてるような錯覚を受けます。また、人形が持つ道具や身に着けている衣装もまるで実際の物を持たせているかのように思ってきます。
「江戸時代の人形の顔に合わせて作っている」と中村弘峰人形師。人形の顔を見て、あの人の顔に似てる、この人の顔に似てるなど、思いをはせるのは、日本人のDNAに何か組み込まれたものがあるのかもしれません。

「傀」の字からインスピレーションを受けて、鬼を中村信喬人形師が、桃太郎と猿の行司を中村弘峰人形師が手掛けた作品も。この作品、初の親子合作の作品だそうです。

天神の元・大名小学校跡にできた新名所「福岡大名ガーデンシティ」の広場に飾られている、中村弘峰人形師が手掛けた巨大な「狛犬(こまいぬ)」のモニュメントの”原型”も展示されています。

五月らしく桃太郎と金太郎の人形も。それぞれの手には「お供」が乗っているのがポイントです。

ライティングについては、かなりこだわったとのことで、自然光を取り入れる一角も用意。天気や時間によって、人形の表情の見え方が変わっていきます。(最後の最後までどのようなライティングにするか悩んだそうです)。

ライティングのこだわりはピンスポット一本で照らした一角にも。その光の先には、カラフルな色が施された作品が多い中、色を使わない”白い人形”を配置。「水滴の神様」とのことで、まるで無の空間からふわっと現れたような演出がなされています。

ギャラリーの壁には、この「傀藝堂」ができるまでのドキュメンタリー映像が流されており、その手前には建築模型も展示されています。「人形と出会うために生まれた」ギャラリーなので、間取りが「人」という感じになっているのがポイントです。

また、ギャラリー内にはグッズショップも展開。中村人形がの干支の人形をはじめ、中村信喬さんが手掛けた博多座の手ぬぐいや、西村織物とコラボした山笠の長法被にも似合う角帯なども販売しています。

「とりあえず、まずはオープンにこぎつけたので、これからの企画展はこれから考えます」とジョークを交えながら笑顔で応対してくれた中村弘峰人形師。七隈線が延伸したことで、「とても博多からアクセスがよくなりました。裏の道を使ったら、桜坂駅から3分でギャラリーに来れるんですよ。早かったら博多駅から15分から20分でこのギャラリー到着しますもん(笑)」と、タイミングの良いときに開廊できたことを喜んでいました。

今年の中村弘峰人形師は、飾りを担当する土居流が誉の一番山笠を務め、そして7月14日から開催される世界水泳を祝うために展示される特製の舁き山笠を手掛けるなど、”大きな仕事”を担当。中村人形四代目として、山笠人形師として、様々なシーンで活躍が見られそうです。