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櫛田神社雅楽部が例大祭に向けて練習を行っています

山笠の7月15日といえば追い山の行事が一番イメージされますが、7月15日の本来の行事は、博多の人々の安寧と平和を願う櫛田神社の神事の中でも特に大切な祈願の儀式「祇園例大祭」。 この神事を受けて行われるのが追い山行事で、この「祇園例大祭」が行われないと追い山神事は行われません。

その祇園例大祭で演奏されている雅楽は、拝殿内で生演奏されているのはご存じでしょうか。

この雅楽を演奏しているのが、「櫛田神社雅楽部(月照流清音社)」です。

櫛田神社雅楽部月照流の歴史は古く、櫛田神社祇園宮と共に歴史を重ねてきた楽人集団で、尊王攘夷の嵐が吹き荒れる江戸時代後期、安政の大獄からの弾圧を逃れるために、京都から九州へ逃れた西郷隆盛と共に行動した僧侶月照から楽の教えを頂いた事から、恩義を感じた博多の楽人は流派名を「月照流」と命名しました。

宮内庁の雅楽は明治時代に統一制定した楽譜・楽奏・奏法なのですが、櫛田神社雅楽部月照流は調整統一されていない月照流独自の楽譜・楽奏・奏法を行っており、優美で雅な宮内庁の雅楽に対し、月照流は祇園宮の御神体である素戔嗚尊の祭に奏するのに相応しい力強く勇壮な音色が特徴です。

毎年7月15日の午前3時から行われる祇園例大祭で奏でる雅楽の音色。今年は3年ぶりの追い山行事も行われる大事な祇園例大祭となり、その例大祭に向けて櫛田神社雅楽部は練習を行っています。

雅楽部の人達は、毎週木曜日の午後7時半に櫛田神社の社務所に集まり、例大祭に向けての練習を行います。座る場所は各楽器で自然と分かれるようです。

練習開始の前になると、各人で音合わせを行ったり、楽器を温めたり水に差したりするなど手持ちの楽器の準備を行います。

日本古来の音楽であるため、楽譜も独特すぎて、普通の人では全く読むことができません。実際、演奏を聞きながらどの辺りを演奏しているのか目で追ってみたのですが、全くどこを演奏しているかわからりませんでした・・・! 楽譜は明治25年に手書きで転記された楽譜を使用していたり、それを写真に撮ってタブレットで表示している方もいたりと、様々です。

現在使用している楽譜にはおよそ80曲が記載されており、雅楽部で演奏したことがあるのはそのうち20曲ほど。まだ演奏したことがない曲については、本来であれば雅楽の先生から指導を受けながら練習するそうなのですが、コロナ禍の中、ご高齢である雅楽の先生が練習に参加しづらくなり、現在は楽器を教えれる人が楽器を教えているとの事。「未演奏曲は、楽譜が読めるんで演奏したらこんな感じかな?という感じで演奏できるし、今の世の中は便利なもんでYoutubeで調べたらどんな曲か聞くことでできるから、演奏できないわけではないんだけどね、やはり実際に教えてもらったほうがいいよね」。

今年の例大祭で演奏する曲目は決まっており、今日の練習はこの6曲を全員で流して演奏する形の練習となります。

まずは「越天楽」から。大鉦鼓(だいしょうこ)が鳴らされると、笙(しょう)、篳篥(ひちりき)、龍笛(りゅうてき)、羯鼓(かっこ)の音色が部屋中に響き渡ります。

人によってはスマートフォンのアプリでコードとピッチの確認をする人も。

一曲終わると一旦小休憩。吹く楽器の人は首筋に力が入るためか、首を回したりして軽くストレッチも。
「今のはちょっと低かったね」や「どんどん早くなっていってさ!」と和気あいあいとした空気の中で感想を言い合いながら修正の方針を語りあいます。

雅楽部の方々はほとんどが山笠に参加される方ばかり。例大祭の時は山笠の装束に着替える時間がないので、締め込み・水法被姿の上に演奏装束を着こんでいるとか。例大祭が終わると急いで演奏用の装束を脱いで、自分の町や持ち場に移動するとの事。小休憩の間も今年の持ち場や移動時間などの話題がもちきりで、お互いのスケジュールの確認を行っていました。

例年だと2月の節分祭が終わった頃から練習を開始していたとの事ですが、コロナ禍の中ではみんな集まっての練習がままならなず、今年は6月に入ってから合同練習が開始したとの事。合同練習もあと2回しかありません。
しかし、そこは何度も演奏している間柄。各人で家や河岸などで個人練習を行って集まり、数少ない合同練習で調整し確認をしている事。雅楽部も例大祭に向けて、熱の入った練習を行っています。

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