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福岡ドームで小屋入りが、承天寺で夏祈祷が行われました

気持ちの良い日差しの天気となった本日6月2日(木)。昨日より博多祇園山笠は準備期間に入りましたが、博多よりもっとも離れた飾り山となる十二番山笠 福岡ドームが小屋入りの神事を行いました。

昨年まで、福岡ドームの飾り山はスタジアムの前にある通称「山笠広場」に建てられていましたが、悪天候時の安全面や影をつくる遮蔽物がない事による関係者や見物客の体調等を考慮し、本年度より隣接している大型商業施設「MARK IS(マークイズ)福岡ももち」内の2階”ももステ”に移動する事となりました。

開店の10時前より、必要な建材や道具がきれいにまとめられた山笠の台が運び込まれ、神事の準備が進められます。

午前11時より山小屋の神事が始まりました。参加者は櫛田神社の神職にお祓いを受けます。マークイズを訪れた買い物客も、思わず足を止めて神事を見てしまいます。

飾り山が立つ場所は2階から4階まで吹き抜けの場所。公開時は様々な高さと角度から飾り山を楽しむことができます。
神に上奏される祝詞が一体に響き渡ります。エレベーターで移動するお客様も移動階段上から神事を見守ります。

浄め祓いの儀で、飾り山が立つ場所の四隅を祓い清め、山笠台に使う道具類にも大幣が振るわれました。

最後に玉串奉奠が行われ、中沢総務、飾りを担当する中野浩人形師と川﨑人形師、ヒルトン福岡シーホーク総支配人、福岡ソフトバンクホークス株式会社代表取締役専務らが、飾り山の無事奉納を祈願しました。

神事後に中沢総務は「怪我することなく安全に奉納しましょう」と挨拶し、手一本を入れて締めました。
中沢総務は「屋内に移動して初年度目。何もかもが初めての事で大変だが、飾り山が公開されたら色んなフロアからいろんな角度で見る事ができるので、飾り山の新しい楽しみが出来ると思います。」と話してくれました。

また毎年6月2日は、承天寺で行われる「夏祈祷」の日です。今年も承天寺で、山笠の安全と無事が祈願されました。

博多祇園山笠の発祥は、承天寺の聖一国師が水を撒きながら町を清めてまわり疫病退散を祈祷した事から始まったと言われており、毎年この夏祈祷には博多祇園山笠振興会の役員や各流の総務らが出席し、山笠の安全と無事を祈ります。
方丈は完全に開放し、扇風機を回して空気を循環するようにするなど、感染症対策にも配慮しての斎行となり、今年は山笠関係者24名が参列。読経を行う住職も人数を増やし、三年前に近い規模での夏祈祷となりました。

午前11時に時を告げる鐘が叩かれると、住職が方丈に入り夏祈祷が始まります。後ほど山笠関係者に配られる承天寺の御札が祈祷を受けます。

読経が行われる中、住職らは櫃の中から全部で16部600巻に及ぶ『大般若波羅蜜多経』を取り出します。いよいよ『転読(てんどく)』が始まります。

『転読』とは、経典の題名と初・中・終の数行を読みあげながらパラパラとめくる事で全体を読んだことにする、大般若祈祷における独特の読経の方法です。蛇腹状に折り畳まれた大般若経の経典は、住職らに力強く次々と『読まれ』ていきます。
参列した山笠関係者もその圧倒的な力強い読経に耳を傾け、無事奉納を祈願します。

聖一国師の絵が見守る中、読経が方丈に響き渡ります。読経が終わると、住職が五体投地で礼拝し夏祈祷は無事行われました。

(取材協力:山笠ナビ公式サポートスタッフ M_Film