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『祭りアイランド九州』博多祇園山笠の迫力ある走りに、多くの観客から大喝采が湧きました

昨日より開催されている九州・沖縄・山口の祭りが一同に熊本市に一堂に集結する祭りイベント「祭りアイランド九州」。本日9月28日(日)は、最終日となる2日目を迎え、いよいよ博多祇園山笠が登場する日を迎えました。
昨日は大変暑い一日でしたが、今日は一転して薄曇りの天気。しかし、この一週間の予報では29日はずっと雨予報だったので、欲は言えません。参加者は「このまま持ってくれ」と願うばかりの一日のスタートとなりました。

昨日御神入れが行われた博多祇園山笠の舁き山。昨夜一晩は警備員によって警備されていました。およそ5時間後の今日の出番を待っています。

本日の山舁きには、各流から50名ずつ参加。朝6時にバスに乗り込んで博多を出発し、9時過ぎに熊本に到着。到着したらさっそく山舁きのコースとなるシンボルプロムナードにてルートと注意点の説明を受けます。

博多祇園山笠の登場はお昼12時半の予定ですが、10時前の段階で沿道にはすでに水が入ったバケツも用意されており、勢水の準備は万端です。

午前10時40分。舁き山を見に行くと、朝まではちゃんとしていた山笠が、山笠飾りと山笠台が分かれていました。
というのも、そのまま舁き出してしまうと、山笠が熊本市の町を走る路面電車の電線に引っかかってしまうため。
山笠が展示されているサンロード新市街と、山舁きコースとなるシンボルプロムナードの間には市電が走っており、その電線の高さを考慮して飾りと台を分け、山留の場所まで分けた状態で運ぶためなのです。

『その昔、舁き山は飾り山と同じぐらいの大きさだったが、電線の登場により舁き山は現在のサイズになった』という博多祇園山笠の有名話がありますが、その話は本当なんだという事を感じさせるエピソードとなりました。

もちろん、『祭りアイランド九州』に参加する時点でこの事は想定済みだった博多祇園山笠。この時のために使用する運ぶための特製の台車に、山笠台と飾りをそれぞれ乗せます。

二引の旗も付け替えられ、展示の後片付けも始まりました。

午前11時になると、山留までの移動を担当する千代流の参加者が着替えを済ませて、舁き山前に集まりだします。

なお、今回のイベントに参加する人たちには特製の手拭いが配られており、この手拭いがないと参加できません。

午前11時半、いよいよ移動開始。熊本の加藤まつりの参加者の横を、博多祇園山笠が通っていきます。巨大な清正公の人形が動いたとあって写真を撮る人たちであふれ返りました。アーケードの入り口で、千代流の参加者は信号状況と交通整理の指示を待ちます。

そして、ついに移動開始! 千代流の参加者は、慎重に人形と山笠台を押しながら、溝がある市電のレールを慎重に横切り、メイン会場のシンボルプロムナードへ、山笠を運び入れます。

メイン会場の待機場所に据えられた山笠台に、再び山笠人形が据え付けられます。台幕も紺に変えられ、山笠が動く準備が整いました。

締込姿の博多祇園山笠の山舁き衣装に着替えた参加者は、ぞくぞくメイン会場へ。
メイン会場は昨日からはるかに多い見物客が集まっており、博多祇園山笠をはじめ、今日の出演団体が大変注目度が高かったのがうかがえます。

しかしこの時間帯から、今まで空からポツリポツリと雨粒が落ち始めてきました。

会場スタート地点の対岸には、参加者の控えスペースがあり、子供たちは小さな水場に入って自主的に水に濡れていました。

出番を待つ山笠の横を、九州のいろんな祭りが横切っていきます。
ポツリポツリと降っていた雨粒はポツポツに変わり、沿道や桟敷席に傘が目立ち始めます。また、この雨によって急遽お披露目出演を取りやめる祭りも出てきました。

しかし、博多祇園山笠は水を浴びる神事の祭り。これぐらいの雨脚は全く関係ありません。
加藤まつりの人たちが通り過ぎた道に、勢水がまかれていき、しっかりと道路が濡らされました。

午後1時過ぎ。前の出演団体である加藤まつりの人たちがはけた後、ついに博多祇園山笠が登場。
博多祇園山笠を紹介する場内アナウンスの中、桟敷席前の山留に舁き山が据えられました。
前走りの子供達も招き板を持ってスタートを待ちます。

「舁き出しまで5分前!」と場内アナウンスがコールされ、参加者に緊張感が高まります。

そして「5秒前!」のアナウンスの後、「イァアアアア!」の鬨の声が上がり、7月15日から実に76日ぶりに博多祇園山笠が動き出しました。

1週目のコースはメイン会場を飛び出し、熊本城下の加藤清正公の銅像前まで舁き入れ、表敬の清道周りを行った後、再びメイン会場を突っ切るコースです。前走りも久々の山笠の緊張感を味わいながら、舁き山を先導していきます。

舁き山は、熊本城を臨む清正公前にて、180度曲がる「清道周り」を行って表敬。山笠に乗せた清正公の人形をお披露しながら、再びメイン会場へ向かって走り始めます。

メイン会場を端から端まで走った舁き山は、桟敷席前に舁き入れられました。そして博多祇園山笠振興会の豊田会長よりあいさつと口上が読み上げられ、参加者全員による祝いめでたと博多手一本が入れられました。

そして山舁きは二週目へ。次はメイン会場を往復するコースとなります。台上りの交代を行ったのち、再び山笠が走り始めました。

雨の中、勇壮な「オイサ!」の声が響き渡り、駆け抜ける舁き山に沿道や桟敷席からは歓声と拍手が上がります。

会場を合計2周した博多祇園山笠の出演時間は終了に。
舁き山はそのまま山解きの場所まで舁かれていきます。

招き板に招かれ、舁き山は山解きの場所となるNTT西日本の駐車場へ。
無事、博多祇園山笠の山舁きを披露する役目を無事終えました。

手一本が入れられた後、周りからは大きな拍手が上がりました。
熊本市長、熊本県知事も満足した表情で、感謝の握手やインタビューに応じていました。

しかし、その余韻を引きずらないのも博多祇園山笠。
山大工らはさっそく山解きの作業に入ります。走り切った山笠からまずは人形が下ろされます。

山笠台の衝撃を吸収する八文字縄が切られ、縄が緩められ、舁き棒が一本、また一本外されていきます。

解かれた舁き棒と山笠台、そして太鼓はコンテナトラックに積み込まれ、再び博多に向けて運ばれていきました。

そして、山笠台から降ろされた人形からは、台幕が外され、三神額が外されます。

三神額が外された人形は、山大工らが抱え上げてトラックに乗せられました。
山舁きの役目を終えたこの人形は、熊本県庁に飾られる予定となっています。

二日間にわたって行われた、博多祇園山笠の「祭りアイランド九州」への参加はこれにて終了しました。
「博多祇園山笠が熊本で見れるなんて!」「博多祇園山笠を見にやってきました」という声も数多く聞かれ、熊本の人たちに驚きと感動と笑顔をプレゼントできた素晴らしいイベント参加となりました。