山笠ナビ チャンネルYouTube

博多祇園山笠用語辞典 YAMAKASA DICTIONARY

鉄砲(てっぽう)

杉壁の四隅と要所要所に取り付けられた直径約7センチ、長さ約50センチの赤い筒状のもの。先側には黒い帯が巻かれ祇園宮の神紋が付けられている。『鉄砲袋』『手法袋』とも呼ばれる。

鉄砲の中身は麦わら。麦わらから枯れた葉や皮を取り除く『麦剥き』を行ったのちに、高さを揃えて束ねてから赤い袋に詰められる。山大工が制作・準備を行う事が多いが、流の男達も協力して麦を揃える作業を行う事もある。

なお、普通の長さの麦わらは舁き山笠用に、長い麦わらは飾り山笠用に分けて使われる事が多い。

舁き山笠では、台上がりが手に持って指揮、激励をするために使用される。
作りは同じだが、台上がりが手にする鉄砲には祇園宮の神紋が付いた黒帯が巻かれておらず、手元の方には縄で作られた輪が取り付け付けられている。これは指揮で振った際、すっぽ抜けてしまわないようにするため。

その昔、追い山笠で台上がりが手にした指揮用の舁き縄を勢い余って飛ばしてしまい、素手では格好が付かないので杉壁の鉄砲を引き抜いて代用した事から、追い山笠では台上がりが鉄砲を持って舁き手を激励するようになった、と言われている。

この鉄砲は、7月12日の追い山笠馴らしから使うのが習わし。それまでの台上がりの指揮は、舁き縄を二重に曲げて、それを手にして指揮棒の代わりに振る。

千代流は追い山笠で廻り止めに到達したら、歓喜の手一本が入れた後、表の台上がりが手にしていた鉄砲をポーンと空中に放り投げるのが恒例で、廻り止めの見物客の人気を集めていたのが、近年は行われていない。

博多祇園山笠を象徴するアイテムの一つで、山笠アクセサリーやストラップなどではよくモチーフになっている。

山笠期間中、飾り山笠や山小屋前の前には氷柱に入った鉄砲が飾られている事があり、梅雨時の蒸し暑い中の山笠見物に一服の涼をもたらしてくれている。

61