顔や手を洗った後の汗や水を拭ったり、入浴時に体を洗ったりするための木綿の平織りの布。
その名の通り、「手」を「拭う」道具で、水分を拭き取ったり、寒暑除けや塵除けとして簡易の帽子として被る、祭礼においては装身具として使用するなど、用途は様々。
古くは麻や絹でできた平織物で、奈良時代は神仏の像や飾り付けなどの清掃を目的とした布として使われていたとする説がある。平安時代より神祭具として神事に身に纏う装身具として使われていたが、鎌倉時代以降から庶民にも少しずつ普及。戦国時代には広く用いられるようになった。江戸時代初頭前後になると日本でも綿花が大々的に栽培されるようになった事で広く普及した。なお江戸時代頃から「手拭」と呼ばれるようになったとされる。
博多では「てのごい」と発音し、山笠参加者は必ず携帯・着用する事になっている。
役職柄によって柄と色が異なっており、手拭を見ただけで役割と責務が分かるようになっている。
山笠の手拭いは上記のように役目を表す「役職手拭」(通称「役手」)と、山笠記念に配られる「記念手拭」、お土産用の「お土産手拭」の3種類が存在する。
役職手拭は、山笠参加者しか配布されないため、一般には入手不可である。
記念手拭は基本的に非売品。山笠参加者の他、山笠関係者に挨拶代わりに配ったりする。また、寄付奉賛者には御礼として配ったりする事が多い。櫛田神社では飾り山笠の下絵が染め抜かれた記念手拭を通年販売している。毎年デザインが変わり、基本的に2色刷りの物が多いが、当番町によっては多色刷りの物を作る町もある。
土産手拭はその名の通りお土産用で、山笠関連イラストがデザインされたものが多くデザインは様々。こちらは博多の土産店などで入手可能である。
なお、当番町や町によっては、記念手拭とは別の記念手拭を別途制作する事もある。
山笠の手拭いは、山舁き時は捻じって頭に締めて着用する、いわゆる「捻じり鉢巻き」として使うため、手拭の裏もしっかり透ける「裏抜け」する手法で染められている。
博多山笠の手拭いは、役職ごとに以下のように分かれている。
※流によって役職が増えたり、デザインや色が異なる場合もある。
「若手」と呼ばれる一般の参加者や子供などが該当。大半の参加者はこの手拭となる。流および年によって色や柄は異なる。記念手拭を使用する流もある。
「若手」と呼ばれる一般の参加者や子供などが該当。大半の参加者はこの手拭となる。流および年によって色や柄は異なる。記念手拭を使用する流もある。
町内を纏める「現場責任者」的な役職。町を代表して山笠の運営に関わる。
各町の代表者で、事実上の「町のトップ」。自分の町内だけではなく流全体の様々な取り決めを行う。また、町総代を後進に譲った年功者もこの手拭をすることもある。
流の代表である「総務」を補佐し、行事の円滑な進行を担う。経験豊かな年長者が選ばれることが多い。
その年の「流の代表」として流の統括を行う。基本的に当番町の町総代が就任することが多い。赤・白・青の縮緬模様の手拭を着用する。