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博多祇園山笠用語辞典 YAMAKASA DICTIONARY

地下足袋(じかたび)

足の裏にゴム底が付いた、足の指が親指と残りの二股に分かれている作業労働用の足袋。足の爪先に力が入りやすいというのが特長。
一般的に使われている「地下足袋」は当て字。本来は、土の上でそのまま「じか」に履く「足袋」という意味から「じか足袋」という漢字である。

古くの名前は「貼り付け式ゴム底足袋」。
福岡県久留米市の足袋製造業を営んでいた石橋徳次郎が、滑らない波形のゴム底を取り付けた「地下足袋」を考案。徳次郎の会社「日本足袋」及びその子会社「アサヒ地下足袋」(のちのアサヒコーポレーション)において販売され、特に近隣にあった三池炭坑炭坑や旧陸軍をはじめ各分野で爆発的にヒットした。
その徳次郎の弟であり、日本足袋の実質的な経営者であった石橋正二郎が、このゴム底製造のノウハウをタイヤ製造に活かして創業、拡大させた会社があの「ブリヂストン」である。

その昔、山笠の舁き手は元々草鞋わらじか裸足だったそうだが、大正中期以降から地下足袋を履くようになったらしい。
・・・が、ゴム底が付いてるとはいえ素足に近く、アスファルト舗装された道を5キロも走ると足腰に多大な負担を掛けるということで、近年はスニーカーの履き心地に近い「エアー入り足袋」の需要が高い(子供用のエアー入り足袋もある)。
舁き手の中には、固い路面を長距離走る事になるお汐井取りの日は、膝への負担を軽くするためにエアー入り地下足袋を履き、追い山笠・追い山笠ならしの日は踏み込みのグリップ力を重視して昔ながらの地下足袋・・・と、行事によって足袋を使い分けたりカスタマイズを行う人もいる。

山舁きが行われた後、道に地下足袋から剥がれたゴム底が転がっている風景を見かけることが多々あり、人によってはその残されたゴム底に博多の夏を感じる人がいるらしい。

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