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映画『中洲のこども』がいよいよ6月30日から公開! この道のりを辻仁成監督のコトバと共に・・・

すばる文学賞・芥川賞受賞作家の映画監督 辻仁成さんが監督・脚本・編集を担当した映画「中洲のこども」が、今月末6月30日(金)より中洲大洋劇場にていよいよ公開されます。

この作品は2018年に出版された辻仁成さんの小説「真夜中の子供」が原作で、ストーリーは無戸籍の少年・蓮司が、中洲の人々の支えによって成長していく様子が描かれています。

この作品はもともと「真夜中の子供」の映画化するというプロジェクトで動き出し、2020年の映画公開に向けて2019年に映画化の撮影を開始。クランクイン直前に櫛田神社で成功祈願祭を行い、中洲流の協力のもとエキストラも入れて山笠の山舁きシーンの撮影などを行いました。

辻 仁成「JINSEI STORIES」:2019年07月13日

滞仏日記「僕が髪を短く切った本当の理由」

しかし、2020年世界中を襲った新型コロナの猛威により、映画の撮影を中断せざる事態になってしまいました。

今日、映画「真夜中の子供」の制作会社「株式会社uk」からこのような連絡が届いた。「弊社では新型コロナウイルCOVID-19の影響により休業をしておりましたが、感染状況の経過を踏まえ、8月1日より業務を再開することといたしました。(途中略)また、映画「真夜中の子供」の製作も新型コロナウイルスの影響により当初のスケジュールから変更せざるを得ない状況でありますが、2021年以降の完成に向け進行しています」ぼくのところにも代表の人から連絡があり、続けたいと思っている、ということだったが、簡単ではない。ぼくに出来ることは何かと考え、監督料なども制作会社に全て返し、人件費などに充てて貰った。ぼくも生きていかないとならないので、ずっとボランティアというわけにはいかないが、乗りかかった船という言葉もあるし、伝統山笠を含む博多愛の作品なので、投げ出すつもりはない。しかし、こればっかりは小説と違って集団創作なので、多くの人たちの協力も必要となる。気を引き締めつつ、どうなるか、様子を見守っている状況なのだ。

辻 仁成「JINSEI STORIES」:2020年07月31日退屈日記「雑感」

コロナ禍のため映画撮影ができない中、時間だけが過ぎていくばかり。その間に、コロナ禍による映画制作会社の経営危機、子役の成長。そして撮影のための原作契約も切れるなど様々な要因が絡み、映画撮影の続行が難しくなってしまいました。

コロナ禍になり、撮影に入っていた映画「真夜中の子供」の制作会社がコロナで経営が厳しくなり、コロナが去って経済が動き出すまで映画は暫く動かなくなった。
子役の子たちはその間も成長を続けているので、もう、同じ形での撮影は難しい、かな。
監督のぼくがどんなにやりたくても、現実がそれを許さないこともある。
気を揉んでもしょうがないので、ぼくはその間に、違うシナリオを、もちろん、計画など何もないけど、いつかのために書き始めた。
博多の山笠も今はコロナで出来ない。

辻 仁成「JINSEI STORIES」:20年03月06日退屈日記「人生が停滞しそうな時に、その停滞から脱出する方法」

しかし、2022年。
終わってしまったと思われた映画の話が、博多の映画人の力で動き出します。

2022年になり、コロナがやや落ち着き始めた頃、福岡でインディーズの映画製作をやっているという相川という人物から、
「辻さん、あの原作がどうなっていますか? もう一度メガホンを持ってもらえないでしょうか?」
と連絡が入った。ぼくは驚いた。

(中略)

「福岡の有志でやらせてもらえないでしょうか? ただ、予算はないんです。辻さんにお支払いするお金もありません。福岡でほそぼそとインディーズ映画をとっている若いチームがいます。その子たちと辻さんとでやってもらえないでしょうか? 」

(中略)

「辻さん、でも、みんな本当に映画が好きな福岡の子たちだから、いなくなることはありません。お金はないけど、時間は湯水のようにあります。中洲の人たちの中にも、あの原作を映画にしてほしい、という意見がいっぱいあります。小さな所帯ですけど、お願いします」

辻 仁成「JINSEI STORIES」:2022年08月16日滞日日記「新作映画「中洲のこども」の撮影快調。なぜ、新作映画になったのか」

しかし、撮影済みのフィルムは、権利問題等もあり使用できないため、一からすべてを撮り直す必要があります。
辻さんは熟考し、情熱ある福岡の映画人達と、もう一度「新作」を撮り直すことを決意します。

「愛する福岡と台上がりまでやらせて頂いた博多山笠のために、ぼくはメガホンをとります。ぼくはとりあえず、旅費も、宿代も、食費も全部自腹で参加します。ぼくもちょっとは福岡に関係する人間ですから、手伝わせてください」

「新作」のシナリオは辻さんが新たに書き下ろし、2022年7月映画撮影が再始動。止まった時計の針が動き出しました。

過去のフィルムは一秒も使わない、まったく新しい映画になった。新しい人たちと、一から原作に忠実にやることになった。今度は、ぼくがシナリオを書いた。というか、原作に忠実にエッセンスを抜き出し、撮影が開始されたのだ。

(中略)

博多の祭りを歴史に残せるような、文芸作品にしたい。
お金はないのだけど、映画を愛する地元の人たちには無限の時間と地元愛があった。ここから一年ほどの歳月を費やして、撮影は続く。
ということで、まだまだ暑い夏の後半戦、ぼくは福岡の映画人たちと、この作品に一から挑んでいるのだ。
タイトルは「中洲のこども」となった。いいタイトルである。ぼくが決めた。
まだまだ、長い戦いになるのだけど、なんとか完成させたいと思っている。

(中略)

これは長い戦いになるでしょう。福岡、博多の皆さん、寛大な応援をよろしくお願いします。ぼくは中洲界隈にいますので、見かけたら、「中洲愛!」と声かけあっていきましょう。完全な自主映画ですが、役者も含め、スタッフもほぼほぼ99%福岡および九州の人間です。しかも、めっちゃ若いチーム。一番年下は、18歳のぼくの息子になりますかね。えへへ。

辻 仁成「JINSEI STORIES」:2022年08月16日滞日日記「新作映画「中洲のこども」の撮影快調。なぜ、新作映画になったのか」

そして、2022年10月。辻さんのブログにてついに「クランクアップ」という文字が踊ったのです。

クランクアップを明日に控え、ぼくに言えることは、中洲の人たちはやはり人情深く、山笠の力は大きい、ということである。 それが証拠に、ぼくらは中洲の中に入り、中洲流の人たちの生き方までも撮影が出来た。撮影不可能と言われていた山笠の映画を撮ることが出来たのだった。

辻 仁成「JINSEI STORIES」:2022年10月25日第六感滞福日記「ぼくは博多のパワースポットで邪気を払った。邪気退散、博多は快晴第六感」

某月某日、2019年に撮影がはじまった映画がついに今日、クランクアップしたのであーる。おおお、、、、、 信じられない瞬間であった。

(中略)

ロックダウンの中にいて、絶望しかなかったあの頃、ぼくはこの映画のことを頭の中から消し去ろうと必死だった。本当に、消し去ることしかなかった。
でも、今日、奇跡の一つが起きて、不可能だと思っていた映画がクランクアップしたのである。
「カット!」
とぼくが言った瞬間、この映画は現実、クランクアップしたのだ。

辻 仁成「JINSEI STORIES」:2022年10月26日滞福日記「ついにクランクアップしたのだけど、それでもまだわからない」

再始動した映画撮影も苦難の連続。
辻監督の2023年6月17日付のブログでは、主役だった子と主役になる子の2人存在・・・古賀迅人くん・古賀蒼大くん兄弟の事について語られています。

ぼくを再び立ち上がらせたのは、主演の古賀兄弟の兄弟愛だった。
迅人が現在のプロデューサー、相川満寿美氏に、「ぼくのせいであの映画はなくなったの?」と泣きながら訴えた。
相川は迅人に、絵が繋がらないからよ、と教えた。
でも、相川は、なんとか、迅人で映画を完成させたいと思っていたのだ。

(中略)

しかし、弟の蒼大が残りを受け継ぐなら、この二つの時代は融合できる、とぼくは言った。
相川が蒼大の説得をはじめた。
蒼大は「お兄ちゃんがそばにいるなら、やる。お兄ちゃんの夢だから」とこれを引き受けることになった。
彼は1%も映画俳優に興味がない。
でも、兄が好きだ、だから、引き受けたのだった。

(中略)

古賀蒼大が演技するすべての場面の裏方に迅人がいた。
フィルムに映っていない場所で、迅人が必死で弟をささえた。
焼きもちもやかず、蒼大が拍手を浴びる場面で、迅人も、拍手をしていた。
素晴らしい、と思った。ぼくはそんな迅人を見て、目元が湿った。すまない。
完成が精一杯の映画だった。
でも、ぼくの中ではこの二人に「主演男優賞」を上げたい。

辻 仁成「JINSEI STORIES」:2023年6月17日滞仏日記「映画「中洲のこども」がついに公開になるのだ。兄弟愛が作った映画なのだ」

2019年から始まった長く苦悩と苦難の道。その道を、福岡の映画人の熱意と、そして辻監督の博多愛と情熱によってチームは歩き続け、自身十本目の映画作品「中洲のこども」が完成。いよいよ今月6月30日(金)に公開となりました。

6月16日には、映画の完成試写会が行われました。

映画のチラシの裏に、このようなことが書かれています。

2021年の秋、ある少年に「僕の映画はもう撮れないんですか」と尋ねられました。
(中略)
その少年と中洲の方々へ贈るために。そして中洲を愛する私たちのために。
本作品には、関係した人々のこの4年間のストーリーが伴奏しています。
コロナをのり越え、再生する中洲と共に生きる物語となりますように。

6月30日(金)、大洋映画劇場にて映画「中洲のこども」封切です。
山笠開幕を控えた博多の町にふさわしく、様々な思いを込めて撮影時の合言葉「熱血」を胸に、中洲の人情に触れる「中洲のこども」、ぜひ映画館でお楽しみください。

ともかく、ぼくにとって十本目の監督作品がやっと、日の目を見ることになりました。応援してくださった皆さん、待ちかねている皆さん、福岡の皆さん、山笠関係者の皆さん、撮影協力してくださった中洲の皆さん、前作「真夜中のこども」に力を貸してくださったリアル・ファンの皆さん。今作「中洲のこども」を応援くださった皆さん、撮影スタッフ並びに関係者の皆さん、本当に、本当に、感謝が絶えません。
2023年6月30日より、中洲大洋映画劇場にて公開!

辻 仁成「JINSEI STORIES」:2023年6月17日滞仏日記「映画「中洲のこども」がついに公開になるのだ。兄弟愛が作った映画なのだ」

皆さん、応援ください。皆さんに、この素晴らしくなるだろう作品を劇場で観て貰いたいのです。この映画がスクリーンに上映された瞬間、ぼくは、泣いてもいいですか?

辻 仁成「JINSEI STORIES」:2022年10月26日滞福日記「ついにクランクアップしたのだけど、それでもまだわからない」

6月30日、中洲大洋映画劇場で、辻監督に存分に泣いてもらいましょう!

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