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櫛田神社にて辻仁成監督作品 映画「真夜中の子供」の成功祈願祭が行われました

中洲を舞台にした小説『真夜中の子供』(著:辻仁成)が2020年に映画公開されることになり、その撮影がいよいよ博多でスタート。クランクインを目前に控えた本日7月8日(月)の午前10時、櫛田神社で成功を祈願するための祈願祭が行われました。

祈願祭には、監督を務める辻仁成さん、主役を務める子役の古賀迅人さん、加来遥乃さん、その他撮影スタッフが参列し、撮影の無事と映画の成功を祈願します。

辻監督らは、櫛田神社の神職によりお祓いを受けます。

祝詞奏上と祈願が行われ、関係者各位は櫛田神社の神に博多を舞台にした映画の成功の祈りを捧げます。

最後に玉串奉奠が行われ、辻監督らが玉串を捧げ礼拝し祈願祭は無事終了しました。

神事後、御神酒が関係者にふるまわれます。主役の古賀迅人さんが盃の縁をにちょいと口を付けると、皆の顔から笑顔がこぼれました。

映画スタッフの方々は全員中洲の地図をベースにした物語に登場する重要場所が描かれたスタッフTシャツを着用。
神事後は監督・出演者・スタッフ全員で、境内にて記念撮影が行われました。

主役の古賀迅人さんと加来遥乃さんは、緊張感漂う神事が終わってほっとした笑顔で、写真撮影に応じていました。

辻「こういう写真って珍しいよね」と、辻監督は櫛田神社の神職と巫女と一緒に記念写真。滅多にない光景に、記念写真のカメラが向けられました。

記念撮影後、櫛田神社裏手にある注連懸稲荷神社の前で辻仁成監督がインタビューに応じ、この作品や博多、中洲、そして博多祇園山笠への想いを熱く語ってくれました。

辻「物語自体は割と切ない話で、見終わった後は涙は一杯流れると思うんですけど、あぁ人間の力ってすごいよねと思ってもらえるような、博多や福岡の歴史とか町のすばらしさがにじみ出るような、福岡愛がたくさん出していければなと。」

— 子役オーディションではどこがポイントとなったのでしょうか?

辻「福岡の人限定で集めさせていただきました。やっぱりりナチュラルな博多弁が喋れるという事と、ここ(福岡)で生まれ育っているという事が非常に大切だということで。
女の子(加来遥乃さん)は子役として非常に優れて才能がある子なんですが、男の子(古賀迅人さん)は非常に天然な・・・神がかっているというか「大丈夫なのか?!」と思うぐらい天然な子なんですけども、男の子の天真爛漫なところと、女の子の真面目さとが両方バランスよく、こんなに配役に恵まれることあるんだなと選出してる時思うぐらい、神様の味方のような出会いでして。

女の子はすぐ決まったんですが、男の子は迷いに迷い続けて気が付いたらこの子しかいないよね、みたいな。本当に変わった子です、宇宙人みたいな(笑)」

辻「この映画は、虐待されてた男の子、中洲に生まれて山笠に支えられて生き抜いていくという話なんですね。でも、彼を選んだ最大の理由は、どんなに苦境でも笑い続けるという事なんですよ。本では泣いたりするシーンなどあったりするんですけど、彼に会ってから「泣く必要はないな」って思って。君はこのままずっと笑っとけ!みたいな。その方が救いがあるみたいな。
それで山笠にあこがれる男の子ですから。山笠を見て「自分はここで生きていく」と決めて。中洲が彼を育てるんです。」

昨年実際に集団山見せで台上がりした辻さんの中で山笠に対して変わったこととかりますか?

辻「台上がりして市役所の所で降りたんですが、降りたら地面が揺れるんですよ。「あ、すごい力がかかってるんだな」と。山笠は神事ですから、神様の力がすごいんですよ。皆さんあんな重いものを舁くわけでしょ? あの力ってどうも個人の力じゃないなと。
映画にそれを修めさせていただくのは大変光栄なことだし、襟を正してやらなければ失礼に当たるかと。ものすごい力を掛けてやるという覚悟で臨んでます。」

ここで山笠ナビの質問の番が。思いがけないことに辻監督から「結構参考にさせていただきました」とのお言葉を頂くことに。

辻「昨年で忘れられないのは、スタート地点(呉服町)、台上がりして待っているじゃないですか。そうすると、舁き手の人たちがいきなり「ZOO」(※辻さんのバンド「ECHOS」の代表曲)を歌い出したんですよ。♪愛をくださいって。うおっと思って。お客さんを交えて輪になった時、やばいなぁって思いましたけどね(笑
ずっと市役所まで走るんだけど、心臓破りの橋(※西大橋)で舁き手も疲れが出ているわけですよ。蛇行するんだけれども、その時にみんなの気合でそれを乗り切るときの感動ってないんですよね。
あ、その時、小松政夫さんがいました、見たら「うわ! 小松さんだ!」って思って。こうやって手を振ってました。福岡の愛が溢れすぎてると思って(笑)」

— 今年はその小松さんが中洲流の台上がりなんです

辻「そうなんですか! 先に失礼させていただきました(笑)」

— 辻さんが経験した山笠の経験を、子役の方や役者の方にどのように伝えていきますか?

辻「撮影の時は、自分が経験したことを、手一本の仕方とか生々しく伝えることができたらと。上に上るとこんな気持ちになるんだよ、とか、こういう風にやってくださいね、とか、その辺りは経験者として伝えれたら。」

— 山笠行事では、どのようなシーンを撮りたいですか?

辻「山笠のサイトとか見たら、和気あいあいとしている映像とかがYoutubeに上がってて、これうちら撮れるのかなーみたいな。我々撮影隊がカメラ持って入っていったら皆さん緊張しちゃって、その瞬間に皆さんいつもの感じじゃな無くなるわけです。これをどこまで自然にナチュラルな感じに撮影していくかが我々に課せられた使命だと思ってるんです。山笠の何というか・・・純朴な歴史をそのまんまドキュメントとして映画に封印したいんですよ。この少なくとも一週間の勝負なんですが。秋は人間ドラマの方を撮影していくんですが、夏は山笠のドキュメントが主体となるんで、そこが撮り所であり、お客さん側として見どころ、博多の人にとっては「こんなん撮ったんかぁ!」と思っていただけるように。」

— お祓いを終わられて作品にかける思いを聞かせてください

辻「この映画は僕にとっては10本目の作品になるんですね。10作目にして一番大変な大作を任されたという思いがあります。これからまだいろんな大変なことがあると思うんです。今年還暦ですから、クタクタになりますけんね。その中で頑張ってやっていきたいと思います。」

映画「真夜中の子供」は、日本とインドネシアの共同製作で行われます。ストーリーの舞台は博多中洲。戸籍がない少年蓮司が博多祇園山笠と出会う事で生きる希望となり、山笠に関わる中洲の人々との出会いやつながりから家族を超えた絆が描かれた「希望と再生の話」です。
公開は2020年に予定されており、その撮影が明日以降博多で始まります。