山笠ニュース & レポート YAMAKASA NEWS & REPORT

山笠ナビ山笠ナビ通信山笠ニュース博多中で棒締めが行われました

博多中で棒締めが行われました

本日5月14日(土)、博多中学校(博多区対馬小路)にて二週間後に控えた体育祭で披露する山笠「博中山笠」の棒締めを行いました。博中山笠は、コロナ禍の影響を受け2年間行われておらず(昨年は代わりに「お披露目式」を開催)、2年ぶりの山舁きが行われることになります。

午前8時半、博多中グラウンド前に山大工や校区の生徒の父親で構成された「はっぱの会」のメンバーが集まり、生徒の手で組まれた山笠台を2基並べ、棒締めの準備を開始します。
本日は年に4回土曜に行われる総合学習の日に当てられており、博多中の3年生は「博多の伝統文化を学ぶ」という趣旨で、山笠を通して博多の文化を勉強しています。
この山笠台は3つのグループに分かれた生徒たちの手によって作られたもので、自分たちで山笠を組み立て、小巻縄を作り、八文字縄を掛けるなど、山笠作りを1から体験。そのうえで、今日の棒締めを迎えました。これは伝統文化を学ぶというだけでなく「自分たちの作業が次の作業につながる」「仕事・作業の順番を考える」などの実社会でも生きる事を学びます。

3年生は棒締め開始前にグラウンドに集まって開会式を行い、校長先生や山大工の棟梁より言葉をもらいました。

2年ぶりの棒締めがスタート。感染拡大防止対策として、例年の人数より3割人を減らした人数で作業を行います。
まずは舁き棒を山笠台の棒ぐりに通し、棒締めの際に棒がずれないように横に渡した木材に結び付けていきます。山大工が縄での縛り方を説明し、生徒は日常生活ではまず扱わない縄を使って舁き棒と木材を縛り付けていきます。

そして、荒縄を舁き棒の3番目の棒(三番棒)に掛けていきます。生徒も真剣に「棒を縄で縛りあげる」という伝統的な技法を見つめて、手伝いを行います。

はっぱの会のメンバーも山大工と同様に縄を掛け、生徒が縄をさばきます。入学して一度も舁き山を経験していない学年が担当していることもあり、山大工やはっぱの会のメンバーは丁寧に作業内容を説明していきます。しかし、それははっぱの会のメンバーも同様で、2年ぶりの縄掛けで縄を掛ける順番に戸惑う様子も見られ、伝統文化における2年間の空白期間の恐ろしさを目の当たりにしました。これは博多の山笠だけでなく。日本全国で同様の問題に直面する団体や祭りが数多くあるだろうな、と感じました。

渡り廊下では、棒締め後に行われる「試し舁き」そして本番の山舁きで使用する舁き縄を作る作業「縄ない」を行っていました。

舁き棒に荒縄がかけられると、生徒の「棒締めたー!」の音頭を合図に、おやし棒と呼ばれる道具を使って、てこの原理で縄を締め上げていきます。

山笠台の上や中に入った生徒は、「棒締めた、棒締めた」と声をあげながら、荒縄を木槌で叩いて荒縄の空気を抜きしっかりと締め上げてきます。

生徒は入れ替わりながら6本の棒を山笠台に縛り上げて棒締めを行い、無事2基の山笠台を完成させることができました。

山大工らが一番棒に鼻縄を取り付けて、「試し舁き」の準備が完了です。

完成した山笠台をグラウンドに運び入れ、まずは山笠未経験の先生たちに山舁きの仕方をはっぱの会から簡単にレクチャー。生徒も山舁きをしたことがない学年であれば、先生たちも2年間山舁きを体験していないため、生徒の肩の高さを確認し棒に付けるようになどのケガをしないための山舁きの基本的な注意事項などが申し渡しされます。

先生のレクチャーが終わると、生徒たちが出来上がったばかりの舁き縄を棒に掛けて、棒に付きました。後押しは先生たちが担当します。

そして入場門が作られる場所に、生徒たちの手で山笠台が運ばれます。気がはやるのか思わずスピードが出て慌てて声を上げる生徒も。単に運んだだけなのに、入場門に到着したら2年ぶりに動く山笠台に自然と拍手が起きました。

緊張の時間。先生の「5秒前!」の合図を受け、鼻取の生徒がカウントダウンを叫びます。「3!2!1!」。1のコールの一拍後、生徒たちは「ィヤァァァァ!」の声を上げ、2年ぶりに博中山笠が動きました。

拍手の中、グラウンドに立てた清道旗をぐるりと回り指定の場所へ。1基目の試し舁きを見たはっぱの会のメンバーの中には「鳥肌が立った!」と全身総毛だった人も(本当に鳥肌が立っていました)。考えてみたら舁き山が動くのは、2019年の熊本で行われた「祭りアイランド九州」での特別巡行以来。博多っ子の血が、この試し舁きで騒ぐのも無理はありません。

試し舁きが終わり、閉会式を行ってこの日の一連の授業はすべて終了しました。博多中の山笠は飾りつけが行われ、来週末の体育祭で2年ぶりに山舁きの雄姿を披露することになります。

(取材協力:山笠ナビ公式サポートスタッフ M_Film